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【メモ】2024.02.25 mol-74 presents「∴」vol.5 @渋谷ストリームホール

たぶん2年前くらいからだと思いますが、精神的に疲れた時にmol-74の曲をぼんやりと聴くようになりました。

そんなモルカルが、私の大好きなPELICAN FANCLUBと対バンするとの情報を目にし、すぐにチケットを取りました。

この日はあいにくの雨ではありましたが、降りゆく雨ですら美しく感じてしまうようなライブでした。(後から知りましたが、モルカルは雨バンドなんですね…)

PELICAN FANCLUBは約1年ぶり2回目、mol-74と大橋ちっぽけさんは初めましてとなりましたが、それぞれのアーティストの魅力が冴え渡るステージを見ることができて楽しかったです。

1.大橋ちっぽけ

・一組目は、この日出演する3組のなかで最も若手の大橋ちっぽけさん。今回は、ギターとキーボードにサポートメンバーを迎え、3人での演奏。この編成でやるのは珍しいですとちっぽけさんは言ってたけど、普段はもっと人数が多いのだろうか。(追記:普段は5人編成でやっているみたいですね。リズム隊が加わったバージョンの演奏も、いつか聴いてみたいです。)

・ハンドマイク、スタンドマイク、弾き語りなど、曲によって歌唱スタイルががらりと変わるのが印象的だった。前半はハンドマイク多め、アコギで弾き語りする楽曲が2曲ほどあり、ラストの曲ではエレキギターを手にし歌唱。

・まず第一に思ったのは、ひとりのシンガーとしての声の良さ。優しくソフトな歌声に、心が癒される。曲中に何度も登場するファルセットも全て綺麗だった。

・「今日共演するmol-74、PELICAN FANCLUBとはそれぞれシンパシーを感じると思っていて…。僕自身とても好きでよく聴かせてもらっているのですが、このようなライブのトップバッターとして出ることができてとても嬉しいです」

・ちっぽけさんの代表曲である「常緑」の演奏前には、インストの段階からすでに手拍子が響き渡る。「今からやるのは、ハッピーな恋の歌です。すでに手拍子していただいてますが、ぜひ手を叩いたり、口ずさんだりしてください」というMCから始まったこの曲は、みんなが知っている楽曲だけあって一段とあたたかい空気が流れていた。

・ストリームホールはとても照明が綺麗な会場で、ステージ上は暑そうだった。中盤、曲終わりに汗をぬぐったちっぽけさんは「2月を生きた人間のなかで、いちばん汗をかいたんじゃないかと思っています」とフロアを笑わせる。次の曲が始まる前に、「もう一回だけ汗を拭いてからやります」とふたたび汗をぬぐうお茶目な姿も。

・最後のMCで「僕、ちっぽけって名前でやっているんですけど、メンタル面でもちっぽけな部分があって。すぐに落ち込んじゃったりするんですけど、自分の人生を描いていけるのは自分しかいないって、今日改めて強く思いました」と語った後に演奏されたのは「主人公」。ひとりのシンガーソングライターとしての決意表明的な一曲である。

・たとえ小さなことだったとしても、それをひとつひとつ掬い上げ、音楽で表現できるからこそ、ちっぽけさんの楽曲は多くの人に響くのではないか。そんなことを思えたライブだった。


2.PELICAN FANCLUB

・二組目は、長年にわたりモルカルとも親交の深いPELICAN FANCLUB。ボーカル、エンドウアンリ氏によるソロプロジェクトである。

・ステージに堂々たる姿で登場したエンドウさんは、自身がプロデュースしているエンドウインダストリアルのロンTとジャケットを身に纏っていた。

・一曲目に披露されたのは「俳句」。ここ数年では比較的演奏されやすい楽曲である。


・この楽曲の一音目を聴いた時、筆者はこのバンドのライブを見るのは初めてなのではないかと錯覚した。一年前に代官山のライブハウスで彼らを見たときとは、なんだかモードが違うと感じたからだ。

・よくよく考えてみると、バンドの編成が当時とは異なる。新体制になってすぐの頃のペリカンは、サポートメンバーにギター、ドラム、シンセサイザーを迎え、ロックとエレクトロを半々くらいの割合で融合させた音楽をやっている印象だった。しかし、最近はシンセなしベースあり編成でやっているようだ。

・この日のサポートベースである神崎さんはかなり躍動感のあるベースを弾くタイプのかたで、それがバンドサウンドをさらに強固にし、轟音を会場中に響き渡らせていた。

・この日のエンドウさんはステージ上でかなり激しく動き回っていた。過去曲で例えれば「ガガ」「許されない冗談」「Black Beauty」みたいな雰囲気の新曲も増えていた。ペリカンファンとしては想定内だが、ちっぽけさんとモルカルのファンはわりとびっくりした人も多いのではないだろうか。

・セットリスト自体も前半はかなり尖っていたと思う。2~4曲目に披露されたのは、いずれも豪快なシャウトが入る楽曲。エンドウさんの声は昨年見たときよりもさらに野太くなり、ボーカリストとしての求心力も一段と上がっているように感じた。

・「今日のライブのタイトル、読み方がよく分かっていないんですけど…なんていうんですか?」と観客に問うエンドウさん。客席から「ゆえに!!」という声が飛ぶ。

・「そう。ゆえにっていう意味なんですけど…こんなタイトルをつけるmol-74は、通だな…と思うんですよね。余計なことを言ってしまうかもしれませんが…モルカルのファンも大橋ちっぽけくんのファンも、物好きといいますか…なんか通なんじゃないかな…と思うんです…」
と前置きしたうえで、
「そんな通なライブなので、僕もそれに倣って通なグッズを持ってきました。僕は防音シートが好きなんですけど…それの写真集をつくりました」
と、この日の物販で販売されていた「防音ZINE」の紹介をし始めた。
「防音シートの写真集だけではみんな買わないかな…と思ったので、僕が一枚一枚の防音シートを評価して、星をつけました。それでもギリ買わないかな…と思ったので、音源をつけました」
と淡々と語る。はじめは笑いが飛んでいた会場も、徐々に笑いとはてなが入り乱れ、変な空気が流れていた。エンドウさん、この会場で一番通なのは間違いなくあなたです。

・『当社比で120%おいしくなりました!』みたいなお酒の広告を見ても、どれだけおいしくなったのかよく分からないよね、みたいな例を示しながら、「次は、ペリカンファンクラブ当社比で一番有名な曲をやります」と
いって披露された「三原色」。前半のような激情的な楽曲も、三原色のようなポップな楽曲も、全く違和感なくやり切ることができる幅広さが、PELICAN FANCLUB、そしてエンドウアンリというボーカリストの凄みである。

・PELICAN FANCLUBはその存在自体がデザインのようである。この日のライブを見て、それを強く感じた。音楽を聴いているというよりかは、エンドウ氏によってデザインされたモノ(ステージ)を、私たちが見ているという感覚のほうが近いような気がする。私はペリカンの良さを知っているつもりで、実はまだ何も知らないのかもしれない。そんなことを考えてしまうくらい気迫溢れるアクトだった。

1.俳句
2.TOUMEI MAIKO PLAZMA
3.説明
4.新曲
5.プレイバック秘密
6.三原色
7.Day in Day out
8.飛行姫

PELICAN FANCLUB 公式Xアカウント参照


3.mol-74

・ラストの登場は、この企画の主催者であるmol-74。メンバーの4人がステージに上がると、まずは昨年発売されたミニアルバム「きおくのすみか」から「0.1s」、「ひびき」の2曲を演奏。

・この2曲を聴いた瞬間、このバンドはライブで化けるタイプだ、と確信した。筆者は普段モルカルを聴く時、メロディーやひとつひとつのフレージングの美しさなど、どちらかというと音楽の横の動きに注目していた。しかし、生音を通して聴くモルカルは想定していたよりも立体的で、縦と横、両方がしっかりと交差した網目状の音楽であると感じた。

・「まだ少し早いですけど、4月の曲をやります」といって3曲目に演奏されたのは、彼らの代表曲でもある「エイプリル」。

・ここまで聴いてきて感じたことは、リズム隊の安定感が抜群であるということである。ドラムのテンポが物凄く安定していて、そこにベースが軽やかに乗ることで、がっちりとした基盤をつくっている。地盤がしっかりしているからこそ、ギターのフレーズやメロディーの美しさが際立っているのではないだろうか。これは素人なりの考察でしかないが、そんな感じがした。

・そしてボーカルの安定感も同様に凄い。武市さんは、声のコントロールがとても上手いボーカリストであるように思う。ファルセット中心の歌唱がモルカルの特徴だが、そのひとつひとつがとにかく美しい。早口のフレーズも発音が明瞭で聞き取りやすいし、「Answers」のサビにみられるような語尾を短く切るフレーズの切り方も綺麗。一切のノイズなく音楽のなかに吸い込まれていく感覚。


・6曲目に披露された新曲「遥か」は、おそらく少し切ない春の曲だと思う。リリースが楽しみ。

・「遥か」が終了したあとのMCでは、今回の自主企画「∴」が9年ぶりの企画であること、「今純粋に一緒にやりたいと思っているアーティストを二組呼ぶのがこの企画の趣旨であるということなどが語られた。ここまで大きい会場でやることは初めてとなるため、感慨深いと話す武市さん。

・ちっぽけさんとは今回が初の共演となるモルカル。初対面のアーティストに挨拶するのはいつも緊張するが、ちっぽけさんが歌声通りの柔らかな人柄だったことに安堵したと話す武市さん。「僕もちっぽけさんみたいな、柔らかい男になりたかったです。こんなに早口でべらべら喋ってるんじゃなくてねえ~~」みたいなことも話していたが、ふたりの違いは早口かそうでないかという部分だけで、全体的な雰囲気はわりと似ているのではないか?という気もする。

・ペリカンとは長きに渡って親交があり、今回は久しぶりの対バンであるという。中国で一緒にライブしたり、曲作りで行き詰まったときに連絡を取り合ったり…。盟友ともいえるくらい、ずっと仲の良い存在であると語る。

・そんな二組に感謝を伝えた後に演奏されたのは、ちっぽけさんの「寂しくなるよ」とペリカンの「記憶について」のカバー。筆者は「記憶について」が人生のベストソングレベルで好きなので、この瞬間がいちばんどきどきした。形として残らなかったとしても、決して忘れることのない記憶として頭の中に刻まれることでしょう。

・こうして2曲のカバーを聴いていると、mol-74、PELICAN FANCLUB、大橋ちっぽけというそれぞれ表現のスタイルが違う三組の根底的なつながりのようなものを感じることができる。集まるべくして集まった三組の対バンという感じ。

・本編全9曲を終えた後、アンコールで再登場した4人は、モルカル公式グッズのスウェットに身を包んでいた。

・グッズ紹介では、タオルを紹介した武市さんが「ちっぽけくんとペリカンのファンの方々は知らないかもしれませんけど、モルカルのグッズ、結構かわいいんですよ…!」というと、
観客「かわいい!」
武市「かわいい~?」
観客「かわいいー!」
という今までに聞いたことのない謎のコール&レスポンスが炸裂する場面も。実際、モルカルのグッズはどれもめちゃくちゃかわいい。

・ここでモルカルから告知が。告知が記載された紙の裏が透けてしまうため、紙を黒い布で必死に隠す武市さんに対し、「そのくらい覚えなはれ」とツッコむ井上さん。

・そしてついに告知が読み上げられる。「5月22日、ミニアルバム『Φ』をリリースします!」と告げた武市さんにメンバーから「フルアルバムだから!」と総ツッコみが。告知の紙には「new album」と書いてあったようだが、それをなぜかミニアルバムと読み間違えてしまったらしい。告知内容を覚えられないどころか文字も読み間違えてしまうというミスをメンバーにさんざんツッコまれ、恥ずかしそうな武市さん。

・アルバムタイトル「Φ」の読み方は「ファイ」。今回のライブのタイトル「∴」に続き、読みにくいタイトルを使いがちなモルカル。よくよく考えれば、バンド名も読みにくいから至って通常運転なのかもしれない(?)

・アルバムリリースの告知とともに、それをひっさげたワンマンツアーを行うことも発表された。東京の会場は、モルカルが初めてワンマンライブを行った思い出の場所、Spotify-Onest。

・2024年初ライブの最後を飾る楽曲は、現時点で一番最新リリースである「寝顔」。ライブで聴くと、メロディーの流麗さがさらに際立つ。

・筆者の立ち位置からはステージの様子が見えなかったのだが、退場するときにまた武市さんがおっちょこをしでかしたらしい。捌ける前に「こんな僕ですが、これからもよろしくお願いします…。」と話し、「なんでさっき間違えちゃったんだろう……」と先ほどの読み間違いを思い出し、顔を手で覆いながら退場していた。

追伸・ちなみに筆者もわりとおっちょこタイプなので、こういうバンドはすぐに好きになってしまいます(?)

1.0.1s
2.ひびき
3.エイプリル
4.Answers
5.瞼
6.遥か(新曲)
7.∴cover session(大橋ちっぽけ「寂しくなるよ」、PELICAN FANCLUB「記憶について」カバー)
8.%
9.Replica

mol-74 オフィシャルグッズ
セットリストポストカード参照


4.グッズについて(おまけ)

モルカルとペリカンのグッズをいくつか購入したのですが、それぞれとても良かったのでおまけとしてまとめておきます。

左のステッカーはBa.高橋さんが撮った写真を使用したもの。
写真と水彩画の狭間みたいですごく綺麗。


まずはモルカルのステッカーから。右は、今回のツアー「∴」の3つの点をモチーフにしたドットロゴステッカー。こちらはネイビーのみ購入。
左のステッカーは昨年12月から販売されているみたいです。こちらは4種類あるのですが、どのデザインも好きすぎてセットで購入しました。

こちらは手書き歌詞アートワークカード。表は武市さんが描いたアートワーク。

Moonerの歌詞、すごく好きなんですよね…。。

裏側には手書きの歌詞がプリントされています。

これが欲しすぎて、真っ先に物販列向かいました。

お次はPELICAN FANCLUB。出ました。こちらが例の防音ZINEです。
街のさまざまな防音シートの写真と、エンドウ氏によるコメントが載っています。
評価はわりと辛口でした。
エンドウ氏は普段からSNSに防音シートの写真を投稿しているのですが、それらの集積がひとつの冊子として、保存性の高い媒体にまとめられたことが本当に嬉しいです。大切にします。

金色の部分はかなり光沢があります。

こちらは透明舞妓ステッカー。昨年からさまざまな種類のものが販売されています。今回のステッカーはギャルver.らしい。

グッズ紹介は以上。
欲しかったグッズ、全部買えて大満足でした~


おわりに

思いもがけない新たな出会いがあるから、対バンライブは良いんだよな~と改めて感じることができたイベントでした。

ストリームホールも初めて行ったのですが、比較的ステージも見えやすく演出も綺麗に見える会場で良かったです。駅直結なのもポイント高め。

どのアーティストのライブも、また機会をつくって見に行きたいと思います。

ではまた。


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