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「西九州が真っ赤に染まる日」西九州新幹線部分開業1周年!


2023 年 9 月 23 日(土)に西九州新幹線「かもめ」が開業して 1 周年を迎えます。
JR九州では、開業 1 周年を記念して、~西九州が真っ赤に染まる日~「GO WEST」西九州新幹線開業 1 周年記念プロジェクトを実施いたします。
本プロジェクトでは、公募による「かもめ」のお掃除イベントや、西九州新幹線各駅で開催される 1 周年記念のお祭りイベント、さらに、この日限りの西九州新幹線乗り放題のTシャツきっぷの発売や特別新幹線を運行いたします。ぜひ、この特別な 1 周年記念イベントにご参加ください!

JR九州HPから引用

https://www.jrkyushu.co.jp/train/gowest/

九州新幹線長崎ルート、通称・西九州新幹線のうち、武雄温泉ー長崎間が開業1周年を迎えた。開業日の9月23日は沿線各地で様々なイベントが開催された。
そして、開業1周年の目玉の一つ西九州新幹線の各駅が乗り放題となる真っ赤なTシャツきっぷ 「 GO NORI-HODAI」きっぷが発売された。
今回はTシャツきっぷを利用して西九州新幹線への初乗車と新幹線各駅を訪問した。


長崎へGO WEST!

リレー特急で博多から武雄温泉へ
特急リレーかもめ17号 博多10:04発→武雄温泉10:58着

長崎へ新幹線と言っても、残念ながら博多から直通しておらず、武雄温泉までは在来線での移動となる。これまで特急かもめが運行されていた区間のうち、一部ルートを変更し、佐世保線の武雄温泉経由がメインルートとなった。まずは、博多から武雄温泉へと向かうことにする。

博多駅4番のりば
行先表示には従来通り「長崎」の文字。武雄温泉駅で新幹線に接続と表示されている。この列車はあくまで新幹線へのリレーなのである。


新幹線に接続することを前提としたリレー特急、特急リレーかもめ17号に乗車する。使用されるのは白いかもめとしても名高い885系。日豊本線のソニックとともに九州在来線特急の主力車両である。

博多駅を10:04定刻に発車した。武雄温泉までは、鳥栖、新鳥栖、佐賀に停車する。なお、江北(新幹線開業までは肥前山口)は通過となる。新幹線への接続及び速達性を前提としているこの列車は武雄温泉までを54分で走る。
次の鳥栖までは鹿児島本線である。福岡都市圏であり普通、快速列車もそれなりの本数を保っているが、ダイヤ上は特急列車が優先される。南福岡駅では先に発車した普通列車を追い越した。この先の基山では運良くななつ星inKyusyuを追い越した。およそ20分で鳥栖に到着する。鳥栖は現在も鹿児島本線と長崎本線の分岐駅であり、すべての列車が停車する。鳥栖駅手前には貨物ターミナルも隣接しており、まさに交通の要衝を象徴している。

博多駅。5番のりばから新たな人生が始まった。


鳥栖駅を発車しゆっくりと右へカーブしておよそ4分で新鳥栖に到着する。新鳥栖では九州新幹線に接続している。すぐに新鳥栖を出発すると列車は再び加速する。長崎本線については鳥栖から江北まで複線であり、直線区間も多く、最速時速130km/hに近くで走行していた。
およそ13分で佐賀に到着した。佐賀駅では一定数が下車したものの、入れ替わるように乗車があった。

特急リレーかもめは指定席でも博多駅始発時点で90%以上が予約済みであった。江北駅が近付くと、減速しながらホームに進入し、渡り線をまたぎ佐世保線へ入る。

ここから武雄温泉までは西九州新幹線の部分開業に合わせて高速化事業が行われている。130km/hへの最高速度引上げ、大町ー高橋間の複線化が行われた。複線区間が終わる高橋を通過すると高架を登ったところで武雄温泉に到着する。

到着は10番のりば、左側には接続の新幹線がリレーかもめからの乗換待ちをしていた。10番のりばは新幹線との接続を考慮して準備がなされた。リレーかもめのみの乗車、下車であっても新幹線乗り場からの乗車となる。
リレーかもめと新幹線との接続時間は3分である。3分は九州新幹線が全通する前に行われていた輸送方式で、乗り換えとなる新八代駅と同様であった。

接続の新幹線「かもめ」に乗り換え、最速列車のはずが、大混雑で各駅停車に変更

新幹線かもめ17号 武雄温泉11:01発(11:04)→長崎11:35着

無事にリレーかもめからの乗換を済ませ、1号車指定席へと落ち着いた。
しかし、当日は開業1周年のお祭り状態で、とくにTシャツきっぷ利用者は自由席のみに乗車可能となっていたこともあり、乗換客も相俟って乗換に時間を要していた。
結局3分遅れでの発車となった。
列車は諫早までノンストップと思っていたが、この日に限り各駅に止まることになった。

かもめ17号に乗車
武雄温泉駅を出発。

西九州新幹線の列車はかもめ号のみであるが、時間帯により停車駅が異なる。諫早のみ停車、新大村と諫早に停車、そして各駅停車の3タイプである。中でも通過の一つ嬉野温泉駅は時間帯により2時間近く新幹線が停車しない。今回臨時停車となったのも上記のダイヤパターンが存在するためである。

佐賀県側に武雄温泉と嬉野温泉駅の2駅が、残る新大村、諫早、長崎は長崎県に位置する。

嬉野温泉を出発してしばらくすると大村湾が見え始め、右手には車両基地も見える。すぐに新大村駅に到着する。しばらく大村湾を見渡せるが、徐々に左へカーブしていく。

トンネルを抜けると大村湾。晴れていると視界が開けるような感覚に陥る。

住宅や道路の交通量も増えつつある中、肥前鹿島方面からの長崎本線と大村線と並走しながら諫早駅へと到着した。諫早到着時点で所定より10分ほど遅れていた。

諫早駅を出発すると列車は南へ直進し大小5つのトンネルを通過する。新長崎トンネルを抜けるといよいよ終点の長崎である。
14番線に到着した。武雄温泉から約30分、イレギュラーな運行ではあったが、かつての長崎本線ルートと比較して大幅な時間短縮が実現している。
車両は最新鋭のN700系Sが投入されている。外観は近年の新幹線車両としては実にオシャレでカッコイイ。壁面のかもめの揮毫も気持ちが籠もっていて良い。内装にもこだわりがあり、短時間の利用とはいえ快適である。

パンタグラフを覆う部分にも「KAMOME」

Tシャツきっぷで乗り尽くす

当日の乗車記録。
長崎12:12→嬉野温泉12:37 かもめ82

嬉野温泉13:00→長崎13:29 かもめ25
長崎13:58→武雄温泉14:29 GOWEST90
武雄温泉14:41→新大村14:55 GOWEST91
新大村15:58→武雄温泉16:13 かもめ40
武雄温泉16:58→諫早17:14 かもめ41

諫早17:46→長崎17:54 かもめ43
長崎20:20→新大村20:36 かもめ58

自由席車両。
デッキ部分1
デッキ部分2
デッキ部分3
内装、外装ともにデザインにこだわりがある
Tシャツきっぷ。
きっぷの部分。自由席に限り利用できる乗り放題きっぷ。
Tシャツ胸部分

(1)長崎駅
新幹線の開通に合わせて、駅舎は在来線も含めて高架化、駅舎自体も西へ移設されている。地上時代、操車場となっていた場所である。

長崎駅新幹線ホームが見える。左手には秋にもオープンするアミュプラザ長崎の増築部分。
駅名標
長崎駅14番のりば。行先表示は博多行きとなるが、最終のかもめ64号は、接続するリレーかもめが門司港まで運転されるためこのような表示がなされる。

(2)諫早駅
こちらは既存の在来線ホームに隣接する形で建設された。新幹線駅では珍しい地上に設置された。東西をつなぐ自由通路があり、東口にはバスロータリーがキレイに整備されている。

駅名標
開業を記念した宣伝が多数
開業1周年をお祝い!
用紙2枚で新幹線開業後の運行形態の変化がコンパクトに説明されている
駅舎。バス、タクシー乗り場が広々と整備された。

(3)新大村駅
西九州新幹線の部分開業の恩恵を最も受け変貌を遂げたのが大村市である。新幹線駅は大村市の中心部から少し離れた場所にあり、新幹線の開業に合わせて区画整理事業が行われた。在来線大村線と接続している。また、新大村駅の北に位置する大村車両基地にも大村線の新駅が誕生している。

みどりの窓口付近にはお手製の飾り
長崎県出身の長濱ねるさんも西九州新幹線の盛上げに寄与
駅前はバースデーを祝う人々でにぎわう
新幹線の駅名標
在来線・大村線の駅名標

(4)嬉野温泉駅
嬉野温泉の玄関口であり、有明海沿いの鹿島市方面への乗換駅でもある。通過する新幹線があるため、昼間の本数は少ないが、これまでバスでしか訪問できなかった場所に新幹線が開通したことの影響は計り知れないものある。

駅名標
駅ホームから駅前広場。左奥には嬉野医療センターが見える。
自動販売機も新幹線仕様
ギネス記録
駅舎
Tシャツ切符はネットでの事前販売であったが、枚数限定で当日販売も行われた。嬉野温泉駅では訪問時にはすでに完売であった。

(5)武雄温泉駅

新幹線側の駅舎

こちらも温泉駅であるが、新幹線開通に合わせて駅舎の高架化、駅前の再整備が行われた。特急リレーかもめとの乗換駅であり、多くの乗換客が利用するが、乗換時間はわずか3分。のんびり散策とはいかないかもしれない。

乗換となる特急リレーかもめ。新幹線は6両編成なのに対して、リレー特急は最大8両編成で運転される。
西九州新幹線の開業に合わせて運行を開始した観光列車「ふたつ星4047」
新幹線で「まち」が変わる
武雄温泉駅新幹線改札口
GOWEST
武雄温泉駅の12番乗り場。こちらから新幹線が発車することはしばらくなさそうである。
10番、11番乗り場へのエスカレーター
同じホームで接続する新幹線と787系特急リレーかもめ
新幹線車両N700系S
車体のオレンジ色に注目
特急ハウステンボスに使用される783系も臨時リレーかもめに使用されることがある。

ピカピカに磨き上げられた新幹線と臨時列車GO WEST号

開業1周年に合わせて様々なイベントが開催されたが、そのうちの一つに新幹線かもめのお掃除イベント「GO MARU-ARAI」~1 年間がんばったかもめを丸洗いしよう~ が大村車両基地にて開催された。
1年間走り続けた「かもめ」を参加者の手で丸洗いする企画である。参加は JR 九州 LINE 公式アカウントにて限定 150 名で公募され多数の応募があったという。

そして当日は、丸洗いした車両が長崎〜武雄温泉間を1往復した。この列車には「GOWEST90」「GOWEST91」として運転された。全車自由席であったこともあり、乗り放題きっぷを始め多くの乗客で賑わいを見せた。デッキ付近まで立ち客が出る有り様だった。
筆者は長崎から武雄温泉、武雄温泉から新大村間を乗車した。

長崎駅発車案内
武雄温泉駅発車案内
全車自由席なので、指定席車両に乗ることにした
武雄温泉駅に到着したGO WEST号
ライト部分を目に見立てて、お化粧が施される
新大村駅で並んだ新幹線

文字通り真っ赤に染まった1日

開業から一年で利用者242万人、地球約8周分に相当する距離を走り続けた。

武雄温泉から東側の区間は現在もルートが決まっていない。沿線の佐賀県との調整が難航している。費用負担を巡っても着地点を見いだせていない。
部分開通とはいえ、時間短縮以上の効果を発揮していることを感じた。
Tシャツきっぷによって真っ赤に染まった西九州新幹線は1日限定であったものの、地域の人々にとって一体となるためのツールであった。

新幹線が地域に根差し、生活の一部として溶け込ませていくためにも、こうした取り組みが必要なのであり、JR九州はもとより、沿線自治体をはじめとする関係団体との連携が欠かせない。


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