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英語圏で2ヶ月暮らして、英語力よりも無くて困ったもの

ちまちまと日記を書いているが、5月〜7月でカナダの叔母さんの家に住んでいた。その時、英語力の無さよりも困ったことがある。それが「雑談力」だ。

オンラインであるものの語学学校にも通っていたのだが、先生にしばしば「英語で話しかける機会がなくて」と相談していた。一方、グループレッスンで一緒に授業を受けている生徒は「今日スタバでさ〜、カッコいい靴履いてる男性に『その靴イケてるね!』って言ったら隣の彼女に嫌な顔されちゃったんだけど!ウケる!めっちゃ弁解したわ!(私には英語が関西弁に聞こえる)」とか話していて、「会話力の差…知らない誰かの服装、褒めたこと無いわ…」とびっくり。

また別の話で、週末、現地でCostcoに行った時、ウロウロ商品を見ていると、急に隣のおばさんが「この珈琲豆な、先週まで9$やってんで!やのにこの値上げ見てや!ヤバない?!?!」と話しかけてきた。

さらにその帰りには複数グループで巨大エレベーターに乗ったのだが、誰かが買ったローストチキンのいい香りが。すると「チキン、ええ匂いやな…」と誰かが言い出す。すかさずチキンの持ち主が「ここでチキン買うんやったらな、調理済みがええで、その方がお得やねん!」と、突然始まった会話とは思えないお得情報を返してくれる。

海外では、スーパーのレジで「こんにちは〜」的なノリで「How are you?」といった会話が行われるのだが、それすら私は最初硬直してしまった。「How are you?と聞かれても…うーん。Good?いや別にスーパーに来ただけです」と言いたくなるがそういうことではない。

そういう場合、「Good! you?(ええかんじやで?自分は?)」みたいに返すのだが、もうこれも全然無理。知らない人に話しかけられたらできるだけ早く会話を終わらせたいのに、相手に聞き返すなんて。

そういうわけで、英語のクラスでも「雑談をやってみましょう!」という授業で1人だけ全然話を広げられず、「Ryoka、なにか聞きたいことは?もっと話を広げないと!」と言われるのであった。

英語力はもちろんだけど、この「なんでもない話」を「知らない人と突然」会話する、とっさの会話力を身につけるのにものすごくハードルがあった。

会話スタイルの違いを感じる瞬間

会話スタイルのスタイルは、あらゆるところで感じる機会がある。たとえばpodcastで話したのだが、接客スタイルも全然違う。(番組内30分以降)

日本の「お・も・て・な・し」といえば、お店に行けば丁重に扱われ、「お客様〜〜〜!!」という感じで至れりつくせりやってくれる感じだが、海外のおもてなしは、まさに "人と人とのコミュニケーション" って感じ。「俺は、このパスタめっちゃ好きやからおすすめやで!」ってカジュアルに勧めてくる感じで、こっちも「そうなん!ほなこれかな〜でもな、赤ワイン飲みたいねん!」とか会話する感じ。

誰かに話しかけることに抵抗がないので、道を歩いていると割と親切も受け取ることができる。例えば、GoogleMapを見ながらウロウロしていたら、車の中から「植物園の入口は!あっちやで!!!!(特に植物園に行くとは言ってない)」と話しかけてくれたりする。

ある時バスに乗っていたら、とある日本人が車内に財布を忘れたこともあった。すると向かいに座っていたマダムが隣のマダムに「これ、どうする?」と相談し、あれよあれよとバスの乗客ほぼ全員を巻き込む会議に発展。「とりあえずバス止めたほうが良いんじゃない?!」「いやそれは無理よ!とりあえずバスの運転手さんに財布を預けましょう!」など話し合った末、財布は安全に運転手さんに届けられたのであった。

こういうことがあるたび、「日本だったらどうだろう?」と考えた。もちろん財布を預けてあげる人はいるだろうけど。とっさに何人がこの会話に参加できただろう?道端に困っている人がいたら声をかけようと思うだろう?

英語力が無いことと同時に、こういった会話に対する姿勢の違いで、「なんかうまく話せない…(というよりはノリについていけないという感じ?)」と感じることも多かった。

仕事の話題以外で、どれだけ「自分」を語れるか

一方、ほんのりとそういった文化に慣れながら日本に帰ってきたら、日本の会話の、あることが気になるようになった。とにかくみんな、「仕事の話」ばかりしているのである。

誰々はどこの企業出身だの、最近あの人はあんな仕事しているだの、自分は最近こんな仕事しているという会話で2時間くらい話す。コース料理の前菜が出てきてからデザートが出てくるまで、そんな話がずっと続くのだ。なんとなく私は「会話ってこんな感じだったっけ…?」と違和感を覚えた。

そのことを友人に話したら、「それって海外で話すことがなかった、とっさになんでもない会話をするのが難しかった、という話に似てない?」と言われた。

なるほど、確かに自分は仕事が好きで仕事人間であることもあって、会話といえば仕事の話で、だから基本的に仕事の話をしないカナダでなんでもない雑談ができなかったのかもしれない。知っている人と仕事の会話ばかりしていたから、知らない人となんでもない話をするなんて、私の普段の会話からは一番遠くにある会話だったのかもしれない。

これを読んでいる皆さんも考えてみて欲しい。もし、仕事の話を禁止されたら、周りの人たちとどれだけなんでもない話をできるだろうか?

私はまるで話が弾まない気がして、「私って何なんや」という気持ちになった。仕事以外に話せる内容のある人物でいたい、そう思うようになった。

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