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「旅情奪回」について(*加筆版)

 これまで20年近く、あまりフォーマットにこだわらず、様々な場所で原稿を書いてきたが、案外ネット上で公開される原稿というのは書いてこなかったような気がする。

 自分の中には、ライフワークと呼べる太いテーマがあり、枝のような興味関心にこれを仮託するようなスタイルで原稿にしてきたが、その中で「旅」に特化した原稿を一箇所に集めておこうと思い立ち、この春先にアーカイブのような、HPのようなもの−「旅情奪回」−を立ち上げた。こちらにもnoteと同一の記事が載せてあるが、noteの方はよりカジュアルに、自由に、アーカイブとは違う形で原稿を上げていくことと決めている。

 さて「旅情奪回」というタイトルは、今から10年ほど前に本を書いた時すでに頭にあった言葉で、何らかの形でこのコンセプトにコンテンツを与えたいと思ってきた(旅行記の企画にしようとしたこともある)。特に、「奪回」という言葉にこだわってきたのは、記憶でも思い出でも故郷でも、自然に失ったものより無理矢理に奪われたものならば、どのような方法を使っても取り戻したいような、放っておくこと能わざる「何か」があるといつも考えてきたからだ。そして「旅情」もまた、無自覚なまま自然と失った側面とともに、世の中の変化の動乱に紛れて、いつの間に略奪されてしまった部分が多いにあるのではないか、という気がしてならないのである。我々が失った「旅情」とは、一体どのような風味風合いだったのだろう。

 「旅情奪回」シリーズは、先のアーカイブ版と同じく、デザインとセットで一つの作品、という思いが強く、文字だけで読んでいただくことも勿論嬉しいが、アップされているレイアウト済みの画像を一緒にご高覧いただければ、筆者の想いがより精確に伝わるものと考えている。あくまで不定期、どのくらいの頻度で、いつまで続けるか決めていないが、これも一つの作品集として残して行こうと今は考えている。(了)

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