美容師としての自分の価値はいくら?
こんにちは。
フリーランス美容師をやっております加藤と申します。
今回は「美容師としての自分の価値ってどのくらいなんだろう」ということについて考えてみたいと思います。
僕はフリーランスとして美容師をするまでは同サロンで正社員として9年、業務委託として3年勤めていました。
正社員として勤めていた時代に当時の社長からこんな質問をされたことがあります。
『お前のカットの価値はいくらだと思う?』
僕はアシスタントからそのサロンに入社し、そのサロンのカリキュラムをクリアしてスタイリストになりました。
当時のサロンのカット料金は3500円だったので、当然自分のカットの価値は『3500円です』と答えました。
その時の社長の口からは『そうか』と一言。
今思えばその時の表情は、『お前そんなだからダメなんだよ』と言ってるような顔だった気がします。
フリーランスとして美容師をする中でより一層「自分の価値とは」ということを考えるようになりました。
⬛️そもそも価値を決めるのは何
僕たち美容師はお客様に髪型というデザインを、そしてカットやカラー、パーマなどの施術というサービスを提供しています。
施術にはそれぞれ料金設定があるものの、デザインによる料金設定の違いはありません。
例えば、ボブスタイルならいくらとか、ショートスタイルならいくらとか。
求められる髪型を提供することはもちろんですが、技術やサービスに関しては明確に可視化することができないため、わかりやすい指標の一つになるのが施術料金なのではないかと思います。
正社員として勤めていた当時は当然会社が決めた料金で施術をしていたため、社長から問われた「自分のカットの価値」=「会社が決めた施術料金」だと思っていました。
つまんないやつですよね。
なので当時の僕の価値の高め方というのは、どんどんお客様をこなして指名をつけて売り上げを伸ばすことが自分という美容師の存在価値を高めること。
つまり自分自身の美容師としての価値は会社が決めるものであり、それを高めるには売り上げを伸ばし会社に評価されることが美容師としての価値の向上だと思っていました。
⬛️価値の定義とズレ
僕は同じサロン内で正社員から業務委託へと契約を切り替えたため施術料金はそのままで基本給は無しの完全歩合制になりました。
会社から業務を委託されてこなす、いわば外注さんです。
個人事業主とはいえ、集客や材料費は負担してもらえているため半分フリーランスかな、という印象です。
正社員の頃に比べてやればやるほど、つまり売り上げを伸ばせば伸ばすほど報酬額は上がり自分も潤うし、それと同時に委託元である会社からの評価も上がるため、美容師としての価値は上がっていると思い込んでいました。
そのため自分はイケイケな美容師だと勘違いし、当時は報酬の歩合交渉も割と強気でやっていたように思います。
とはいえ業務委託で美容師をやるにあたって売り上げを上げるためには限られた時間内でたくさんのお客様を施術していく必要があります。
そうなってくるとマンツーマンで施術するため必然的に一人のお客様にかける時間を短くせざるを得ません。
売り上げと手取りの報酬はが上がったことで自分の美容師としての価値は上がったはずと思い込んでいた僕。
結構やれている気でいました。
そんな毎日を送っている中で求められる髪型や仕上がりに対しては料金に対しての価値を提供していたつもりでしたが、可視化できない「価値」は提供できているのだろうかとふと思うようになりました。
仕上がりにそんなに遜色はないけれど以前に比べて常に時短でできる方法を考えるようになってきたなとか、お客様との会話やコミュニケーションが減ったなとか。
それと同時にちょっとずつ疲弊している自分にも気付きながらもお客様からこんな一言を言われました。
『最近どんどん仕事が早くなってきたね』
こう言われた時に最初は「手際良くなって技術が上達したね」的なニュアンスで言っていただけたのかと思ったのですが、、、
そのお客様は来店されなくなりました。
そこで初めて気づいたんです。
「もしかして手抜きをされていると思わせてしまったのではないか、知らう知らずのうちに価値の上げ方を履き違え、手を抜いてしまっていたのではないか」こう思うようになりました。
自分だからこそお客さに提供できる価値とは。
お客様が求めるものとのズレを生んでしまっていました。
⬛️お客様は何を求めているかを理解する
カット料金が5,000円の美容師さんもいれば10,000円の美容師さんもいます。
もちろん施術料金に対する価値観は人それぞれ違うと思いますし、いくらなら高くて安いというのは個人の捉え方で変わってきます。
とはいえ5,000円の美容師さんの元にカットに行かれるお客様は『高いなぁ』と思いながら嫌々通っている方はいないでしょうし、もしそう思うのならもう少し料金の安い美容室に行くはず。
10,000円の美容師さんの元にカットに行かれるお客様も提供されるデザインに納得していることはもちろんそれ以上に別の価値を感じているはずです。
当然ではありますが、フリーランスになると自分の施術料金は自分で設定しなければなりません。
・「料金てどうやって決めるのですか」
・「値上げするタイミングっていつなんですか」
こんなことを聞かれることがあるのですが勿論考え方は皆さんそれぞれありますし、正直僕も正解はわかりません。
とはいえ大前提として美容師である以上求められる技術を提供することは当たり前で、それプラス自分にはどんな価値がありそれを提供できるかについて考える必要があると思っています。
僕もフリーランスになりたての頃は自分の美容師としての価値がわからず、とりあえず以前の料金設定で始めました。
それもあってか以前の勤め先からは少し離れたものの想像以上に多くのお客様が来てくれました。
そんなある日、今度はお客様にこんなことを言われたんです。
お客様:「加藤さんなんで料金上げないの?せっかくフリーランスとして独立したんなら料金は上げればいいのに。」
ボク:「いやでもスタイリストになってずっとこの金額でやっていたので。」
お客様:「ここに来てるお客さんは値段で選んでるんじゃなくて加藤さんにお願いしたいと思ってきてるんだから料金なんてあまり気にしてないと思うよ?」
お客様:「みんな応援したいと思って来てるはずだから自信を持って料金上げて、加藤さんの責務はその料金以上の価値をしっかり提供することだよ。」
こう言われて僕はハッとしたんです。
これまで自分の価値というのは自分や会社が決めるものであって、それに共感したお客様が対価として料金をお支払いいただいていると思っていました。
お客様からこう言われたことで僕たちフリーランスというのはお客様というファンの方が求めるものを常に考えなければいけないこと、そしてその都度自分にできるものを提供し続けていかなければいけない。
そしてそれは自由な働き方を選んだ責任でもあります。
⬛️価値はどんどん創造するもの
「〇〇円いただくからからこれをしよう。」
これだと美容師としての価値のアッパーを自分で作ってしまいます。
「〇〇円いただくならそれに見合ったモノやそれ以上の技術とサービスを提供しよう。」
こう考えることで自分の価値とは何かを常に考えアップデートできるし、お客様へも2回目、3回目と回数を重ねるたびによりいものをお届けすることができます。
美容師としての価値というのは可視化できるものではないため、特にフリーランスっていうのは難しい働き方だなぁと思います。
僕の周りにはカット料金が10,000円の方もいれば20,000円の方もいます。
とはいえその美容師さんを選ぶお客様は技術や髪型を買っているのではなくその人にカットしてもらうことの価値を買っているのだと思います。
お客様が求めているのもを理解し提供することができれば、そのお客様にとっての価値はどれだけでも上げることができる。
期待に応え常により良いものを提供し続けた結果だと思います。
美容師としての自分の価値はお客様が決めるもの。
フリーランスという働き方は大変なことが多いですが、自分の価値をアップデートし続けることができる働き方だなと僕は思います。
ちなみに今僕のカット料金は7,700円(税込)でフリーランスを始めた頃の倍の金額をいただいています。
僕のお客様は男性のお客様が多いので髪型に関しては「いつもと同じで」というオーダーが多いです。
可視化できる価値とすれば7,700円かもしれませんが、前回と同じ髪型を提供しつつ、前回以上の可視化できない価値をどうやって提供すればいいかを常に考えてサロンワークをしています。
毎日自分のアップデート大会ができるとういうのは程よい緊張感と刺激があって自分の成長につながる気がします。
時間とお金が手に入るということだけに満足しないようフリーランスという働き方を選択した以上、自分の価値をどんどん創造していきたいと思います。
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