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個人的に好きな読み物

ここでのnoteを読んでくださっている方には「だろうね」とわかってもらえるかなと思うのですが、私は今まで自分が何者かを考えてこなかったし、無理に考えるつもりもなかったし、実際今でもつらい時は考えるのを停止してもいいと思っています。

なので、この分野の書籍などにはとても疎いのです。

そんな疎い私が偶然出会うことができた読み物を、ちょっとここで紹介したいと思います。

論文と、書籍(対話形式の文章)、漫画です。

論文は、前の記事でも触れたGoogle Scholarで「Xジェンダー」、「アセクシャル」などのキーワードを入れると出てきます。

論文は、研究を重ねられるごとに新しいものが出ます。新しい論文によって、以前の論文でなされた解釈に同意されたり、疑問を呈されたりすることがあります。論文はそうやって進化していくタイプのものなので、あえて「この論文いいですよ」とは言わないでおきます。
ただ、読みやすそうなものは冒頭部分から読みやすいことが多いので、興味があれば調べてみてください。

書籍で好きなのは、牧村朝子さん(タレント、文筆家。フランス人の奥さんがいらっしゃいます)の『ゲイカップルに萌えたら迷惑ですか?』です。

書籍の内容は、一つの質問に対し、牧村さんと奥さん(モリガさん)の対話による回答(話し合い)形式で、いくつかのトピックが取り上げられています。
また、性自認、性指向のわかりやすい分類図、LGBTQ関連のよく聞く単語の解説ページもあります。

この書籍のいいところは、「マイノリティとの付き合い方」という枠が、実は「人間と人間の付き合い方」である、ということに着地しているところです。実際これは真理だと思います。

例えば花田というXジェンダーの人がいたとして、その人と話す時に、その人をどういう風に見るのか。
「Xジェンダーの人」として見るのか。「一人の人間の花田さん」として見るのか。

「花田さんという人は、漫画家だったり、運動不足で階段で息が切れたり、猫と旦那さんがいたり、ゲームが好きだったり、Xジェンダーだったりする」と思ってもらえるのが私は気楽です。
ただし、どう感じるかは人それぞれです。耳慣れない言葉は目立って見えるものでもあります。でもいつか、なんでもない特徴だと感じてもらえるようになったら気楽だなと思うのです。性自認も性指向も、その人を構成する側面の一つにすぎません。

次は漫画です。『しまなみ誰そ彼』、著者は鎌谷悠希さん。他の代表作は『隠(なばり)の王』、『少年ノート』、『ヒラエスは旅路の果て』など。もうはちゃめちゃに絵は上手いわ脚本は上手いわで、大尊敬している作家さんです。

この『しまなみ誰そ彼』は、実際のところ、読んでいるとかなりメンタルがえぐられます。もうズタズタ。ズタズタになったあと、思いにふけり、癒され、そしてまたズタズタになり、感情がこみ上げる。
全4巻と読みやすい長さですので、ぜひ読んでみてください。

なぜズタズタになるかというと、主人公を含め多くのキャラクターたちの視点で物語を追いかけていくからです。これは漫画構成の一つとしては当然のことでもありますが、この体験は、リアル世界で遭遇すれば反射的に逃げてしまうような、でもそこらへんにまぁたくさん落ちていそうな体験で、それを読者は主人公たちにくっついて追体験するのです。

主人公たちが怒りを感じる時、私たちも怒りを感じます。悲しみや緊張や安堵や喜びも同様にです。そしてそれが感情豊かな作画によって表現されています。鎌谷さんの描く表情、特に目の感情表現は、特別この『しまなみ』では恐ろしく深く、暗く、綺麗です。

純粋にこの表現豊かで絵からビリビリ伝わってくる情感を、読んでみて欲しいなと感じます。


最後はなんだか好きな漫画の紹介みたいになっちゃいました。
いつか、ただ好きな漫画の紹介をするだけのテキストを書くかもしれません。すごく長くなりそうですね。


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