今日は日本文学を読もう-芥川龍之介編-
今日は日本文学を読もう#4
芥川龍之介!!!
日本文学を語る上では絶対に外せない、明治から大正時代を華々しく龍のように駆け上り、そして散っていった大文豪である。
スタイリッシュな肖像画からも感じえる潔癖な感じが文章からもグイグイ伝わる。
そのストイックさは構成段階からも緻密なんだろうな、と思わせる圧倒的な「切れ味」をもった小説家である。
彼の得意とするところ。それは「短編小説」であり、そのテーマの多彩さ、晩年はリアリスティックで嘲笑的な「自伝的小説」であった。
今回も新潮文庫発行の「文豪ナビ」シリーズを使って、芥川の魅力を余すことなく伝えたい。
(学生諸君、これほどまでに読みやすく手っ取り早く課題にできる小説家も少ないぞ)
あらすじ
大正期の流行作家にして短編の名手。
どの作品から読むか、迷います。入門書として最適の一冊!
「蜘蛛の糸」や「鼻」の話、知っていますか?
黒澤明監督の名画「羅生門」の原作も芥川です。
35歳で自殺するまで、彼は短編小説の可能性に挑戦し、
大正期の流行作家として活躍、芥川賞の名にもなったほど。
毒気のある香りを放つ名文、古今東西の素材を使った技を味わってみませんか。
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この順番から読んでいこう!
さて、前述したオススメのガイド本「文豪ナビ」を使って実際に芥川龍之介の魅力を語っていきたいと思います。
「文豪ナビ」が示している芥川龍之介の作品を読むオススメの順番はこうです。
蜘蛛の糸・杜子春
↓
羅生門・鼻(芋粥)
↓
舞踏会(「戯作三昧・一塊の土」収録)
↓
戯作三昧(「戯作三昧・一塊の土」収録)
↓
奉教人の死
↓
河童・歯車(「河童・或阿呆の一生」収録)
↓
或阿呆の一生(「河童・或阿呆の一生」収録)
*以上がお勧めの順番ですが、新潮文庫で読むとすると「収録巻」ではなく、あくまでも「お話」となっているようです。横に収録巻を記載しておきます。
芥川の作品は「王朝モノ」「文明開化モノ」「切支丹モノ」等が主にジャンル分けされていて、新潮文庫ではポップなジャケのものはジャンル別になっているそうです。
こういうの↓
凄腕シェフ芥川
芥川ほど、材料を上手に料理した小説家はいないでしょう。
このガイド本では
と書いている。
初期短編はおどろおどろしく、切れ味抜群。
「藪の中」「地獄変」「蜘蛛の糸」
なんかはまさしくそうでしょう。
丁寧語口調の語り口がまず怖い…。
対してほっこりするお話もあります。
「蜜柑」
なんかはとても短いお話だけど、読後感のスッキリさ、さわやかさは分厚い本を読んだ後のよう。
「芋粥」「鼻」
なんかはとんちがきいた昔ばなしだし
「杜子春」
なんかは小学生でも読めます。
個人的に好きなのは
「トロッコ」
焦燥感がリアルで、子供のころのトラウマを思い出させる少し暗い話。
そして芥川屈指のナンジャコレ話で有名な
「邪宗門」
は大好きです。
大好きすぎて過去にこんな文を書いてしまいました↓
短く、そしてたくさん楽しめる。
それが芥川のいいところですよね。
芥川との出会い
僕が芥川と出会ったのは中学生のころ、坊ちゃんを読んだ後だから中二の頃。
なんと廊下に「蜘蛛の糸・杜子春」が落ちていた。
何の気なしに家に持ち帰って読んでみると、これがハマった。
本が「読んでくれ、おい」と言ったのかもしれない。
この「蜘蛛の糸・杜子春」は童話のような話も多くて、でも芥川特有のおどろおどろしさがあって、「昔の小説っておもしろいな~」と思わせてくれたキッカケの一冊である。
大正時代の終わりと芥川の破滅
夏目漱石は明治の時代と共に生きた人だったが、芥川はまさに大正時代とともに華々しく生き、そして散った人である。
晩年の漱石に芥川の「鼻」が激賞され、文壇の仲間入りをする。
そこから上り龍のように快進撃を続けるが、次第に精神を蝕まれていく。
潔癖だった芥川は自らの人間関係も潔癖とし、そして自分で命を絶った。
昔の小説家たちの自殺が多いイメージなのは、芥川が走りなのかも。
初期短編の小気味良さとは裏腹に、後期の自伝的作品は心を抉られる。
それでも覗かずにはいられない。
「河童」はシニカルに人間世界への絶望を。
「或る阿呆の一生」は自分自身の告白を。
この芥川の破滅への道を、近い存在でしたためた小説がある。
内田百閒の「山高帽子」というものだが、これが実に面白い。
内田百閒は芥川と同じ漱石門下生であった。
百閒は「芥川は病的のある気違い。自分は病的のない気違い」
と言っている。
百閒は長生きするし、面白エピソード満載の作家なので、ぜひ読んでみてください。
そして伝説へ
夏目漱石から芥川龍之介へ、そして芥川は誰にバトンタッチをしたのだろうか?
同じ門下生だった内田百閒は彼の死を見つめる。
生前、谷崎潤一郎は芥川と大論争を交わす。
芥川と同級生だった菊池寛は「文芸春秋」を立ち上げる。
そんな中。芥川に憧れ、「彼のようになりたい!」と叫ぶ少年が青森にいた…。
そう、太宰治である。
バトンは渡された。そして芥川龍之介は伝説へ…。
次回!バトンを受け継いだ太宰編!
文豪たちは巡り巡ってるので、おもしろいよ。
100円でいい事があります(僕に)