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会って話したい

思いついたときに昭和の思い出話を綴ろうと思って、このnoteを書き始めた。でも、プロフィールに「ライター」と書いたせいか、ライター関連の記事がたくさんオススメに上がってきて、やっぱり同業者さんのお話は興味深くて読んでしまう。なので、自分もたまには「書く仕事」に関することが書きたくなってしまう。

てことで。

10月は久しぶりに、対面でいくつかインタビュー取材の仕事をした。やっぱり、現地に行って人の話を聞くのは楽しい。取材というのは本来、耳だけでなく五感を総動員してやるものだと思う。相手の言葉だけでなく、表情やしぐさ、立ち居振る舞い。その人の働く場所、周りの人たちの様子。その人の住む町の雰囲気。風景、風、匂い。そういうものすべて、これから紡ぎ出す文章の素材になり得る。

もっとも、書くべき記事のフォーマットが取材相手の一人語り形式だったり、一問一等形式だったりする場合は、相手の言葉以外の周辺情報を盛り込む余地は限られるから、「お話はオンラインで」というのも不可能ではない。でも、書き手の一人称で書く通常の記事は、画面越しのインタビューだけでは絶対に無理だ。

ライターにもいろいろな種類があって、基本ネット上の情報収集のみで書くwebライティングというカテゴリもあるらしい(定義が間違ってたらすみません)。でも、わたしは人の話を聞いて文章をつくる仕事がメイン。だから、あの新型コロナパンデミックのときは人と会えなくなって、ただでさえ少ない仕事がますます減るかと思った。もちろん昔から電話取材というのはあったが、それは手短に事実関係の確認をする場合などに限られ、じっくりと話を聞くには「相手の顔を見ながら」というのが、発注側にとっても受注側にとっても当然であり常識であると、信じていたからだ。

無論、フリーランスというのはコロナの前から一人リモートワークみたいなものなので、会議や打合せがオンラインで済むのはわかっている。でもインタビューはただの情報のやり取りじゃない。ちょっと(かなり)カッコよく言えば人間対人間の真剣勝負。ネットでできるわけない、とわたしは思っていた。

でも、コロナ禍は長引き、クライアント側もそんなことを言っていたら仕事が回らないということで、否応なくzoomなどを使ったオンライン取材が始まった。画面越しの「勝負」には当然、最初は抵抗というか違和感もあった。が、こちらも背に腹は代えられない。やっているうちになんとか慣れていった。

そして、実際のところ、求められるアウトプットの形式・内容次第ではオンラインで十分事足りる場合もあるとわかってきた。

わたしの場合、この経験のおかげで却って仕事の幅は増えたように思う。他の要因も相俟って、コロナの前後で比べると、自分の住んでいる場所(今は福島県)に紐づく案件と、どこに住んでいてもできる案件の比率が逆転した。もっともこれはインタビューを伴わない編集系の仕事も含めての話だけれど、取材案件に限っても、最近オンラインで話を聞いた相手の所在地は東京、埼玉、熊本、宮城など。まったく便利な世の中になったものだ(コロナ以前からこれが当たり前だったライターさんには笑われそう😅)。

でも・・・。

やっぱり、わたしは対面で話を聞くのが好きだ。

いや、オンラインで十分な場合もあるとわかった今、どんな取材も対面でやりたい、という意味ではなくて。

現地に行って五感で取材しなければ絶対に書けないような文章を書きたい。生身の人間同士で勝負しなければ書けないような原稿を書きたい。

だから、いろんな意味で、がんばれ、自分。

二本松市東北(とうきた)地区の赤ソバ畑。
トップの写真も同じ場所だが空の様子でだいぶ見え方が違う。





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