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HR業界にかける思い


こんにちは。株式会社アカリク 代表取締役の山田です。
note第4弾となる今回のテーマは、「HR業界にかける思い」についてお話します。

新卒で企業に入社してから今に至るまで、一貫してHR業界に携わっている私が、HR業界にどのような思いを抱いているのか、これまでの経験を振り返りながらご紹介したいと思います。同じくHR業界に身を置いている方や、企業の人事戦略を模索している経営者や人事担当者の方にとって、このnoteが参考になると嬉しいです。

この記事では

がむしゃらだった学生時代のインターンシップ
「凡事徹底」による新規事業の成功体験
やりがいを感じた人材支援のエピソード
HR業界の課題は、人事の人手不足とKPI管理への固執
高度研究人材の専門分野や基礎的教養・コアスキルに目を向ける
アカリクだからこそ生み出せる、アカデミックとビジネスの化学反応

このようなテーマでまとめていますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

HR業界に携わることとなったきっかけ

HR業界の中でもファーストキャリアとなったのは、新卒で入社した企業でした。主に社員研修を扱っている企業で、新人研修から、ネットワーク・光回線などといった専門的な研修、管理職向けのリーダー・マネジメント研修などの研修商材営業に携わりました。

「日本で働いている人々が研修を通じてスキルアップすることで、企業が伸びて日本全体も伸びるのではないか」といった学生らしい希望を抱いて入社しました。しかし、結果として1年で離職という道を選ぶことになります。離職に至る経緯は、学生時代の経験が起因しています。

学生時代の長期インターンシップ

学生の頃に、フラッシュマーケティングと呼ばれるような、割引価格や特典がついたクーポンを期間限定でインターネット上で販売する事業を展開するスタートアップ企業で長期インターンを行っていました。

当時はmixiがブームで、TwitterやFacebookの黎明期で、SNSで友人と繋がることが市民権を得はじめた頃でした。クーポンの利用条件として、購入者が一定数に達する必要があるので、ユーザーがSNSを介して知人に情報を広めていくといった仕組みで、既に海外で流行していたビジネスモデルでした。2010年頃に日本にも進出し、同様のサービスを扱う企業が数社立ち上がりはじめていました。その中のスタートアップ企業でインターンを経験することになるのですが、これが結構大変でした・・・。

職場は、中野にある古いアパートの1室で、そこに経営メンバーが寝泊りするような環境でした。当時の私は営業として、テレアポやチラシを作って飛び込み営業などを行っていました。そのような環境で「事業を作っている」「時流を作っている」といった感覚を強く感じることができて、とにかく楽しかったのです。時給は安かったのですが、それを上回るやりがいを感じていました。

一方で、新卒で入社した企業は、事業や時流を作っていると思える場面が少なく、インターンの時のワクワクする感覚が恋しくなり、1年程で転職することになりました。

前職での経験

転職先となった前職は、HR業界の100人程度の規模の企業だったのですが、代表の不思議なオーラと企業の活気に惹かれて入社しました。当時の代表は、まるで未来が見えているかのように会社の未来を事細かく淡々と話す方でした。それまでは、どちらかというと会社のビジョンを熱く語る方々を多く見てきた私にとって、かなり異質なその姿は魅力的に映りました。最終面接後に会社の中を覗いた際には、職場の活気が凄まじく、この会社は絶対伸びるだろうなと感じました。詳しい事業内容は入社後に知ったほどで、そのくらい会社の雰囲気や勢いに魅力を感じました。

入社後は、フリーのエンジニアをスポットで起用いただく SES と呼ばれるサービスの営業に携わりました。例えば、当時ソーシャルゲームが流行していたのですが、開発期間にはたくさんのエンジニアが必要となります。一方で、運用フェーズになるとそこまでの人数は必要ありません。そこで、開発期間だけ集中的に人員を投下できる SES のニーズが高く、ソーシャルゲームバブルということもあり、事業はかなり順調に伸びていきました。

伸びている産業に最前線で携われることは、すごくやりがいがありました。しかし、携わっているうちに、支援をするのであればスポットではなく、もっと長期的に携わって伴走したいという思いが強くなっていきました。

そんな時、運良く社内で人材紹介事業を立ち上げるという話があり、ぜひ携わりたいと手を上げて参加することになりました。今思い返せば、まだ入社して1年も経っていない私がそこに参加できたのは、学生の頃のインターンでひたすらテレアポを行って新規開拓に自信があったという点が評価されたのだと思います。

成果を出すためには「凡事徹底」

ビギナーズラックというものは事業においてもあって、最初のうちは求人の開拓と求職者の流入がスムーズに運び、チームが発足して1〜2か月で予算を達成できました。ただ、その後の安定した人材紹介が難しくなり、数字が伸び悩み、苦戦の日々が続くことになりました。

様々な施策を試しましたが、結局は、「求職者が行きたいと思える求人の獲得」と、「良い支援するための徹底した情報収集と情報提供」という、凡事徹底しか活路はありませんでした。トリッキーな施策を打っても人は集まらず、目の前のことにコツコツと向き合い続けることで徐々に成果を出す事ができ、徐々に支援した人事の方や求職者からの紹介に繋がっていきました。

結果として、こちらから新規開拓を積極的に行わずとも、自然と事業が広がっていくようになりました。結局、凡事徹底が安定した成果につながるということを成功体験として得ることができました。

印象的だったご支援

これまで数多くの人材支援に携わってきました。そのエピソードを紹介しはじめると、きりがないのですが、中でも特に印象に残っているケースについて書かせてください。

1つ目は、スタートアップの企業から、「エンジニアのマネージャークラス」とそれに紐づく「プレイヤー」、海外事業を進めるにあたって「英語が強いスタッフ」が欲しいという問い合わせをいただいた件です。

ちょうどいいタイミングで、レベルの高いエンジニアのマネージャーとプレイヤー、そして海外籍のトリリンガルの方の流入があり、運良くその3名をスムーズに支援できました。本当にこんなことあるんだなというくらい、タイミングが良かったです。そこからは、安定的に支援させていただくことになるのですが、結果的にその企業が上場することになり、上場パーティで「山田さんの支援がなかったら上場できなかったかもしれません」と感謝の言葉をいただきました。

もう1つは、音楽系の大学を中退後、介護分野でアルバイトをしながら自身でプログラミングを学んでいるエンジニア希望の方がいました。就業未経験でしたが、とにかくギラギラしている方でした。

一方で、当時伸びているシステム開発企業に未経験から成り上った、同じようにギラギラしているCTOの方がいらっしゃいました。直感的に、その方と相性が良さそうだと感じたので、「未経験の方ですが、相性が良さそうなので騙されたと思って会ってみてください」と掛け合ってみました。するとその日のうちに内定承諾まで進み、その後2年ほどでテックリードにまで登り詰め、最終的にはシリコンバレーで起業するまでに至りました。その方には「山田さんが今のキャリアの入口を開拓してくれました」と感謝の言葉をいただきました。

このような経験を通して、人材支援って本当に良い仕事だなと感じました。個人にとっても企業にとってもその重要な岐路に携われる仕事は、とてもやりがいがあると思っています。

HR業界全体が抱える課題

とてもやりがいを感じることができる一方で、多くの課題を抱えているのがHR業界です。

課題の1つは、どの企業も人事部門が手薄だということです。やはり事業を伸ばすために「人」は必要不可欠ですが、どうしても人事はコストセンターと思われてしまいがちなのです。

人事が良い人材(自社にマッチした人材)を採用することで企業が伸びるという構造は明らかなのですが、なかなか人事に投資がなされないため、日々忙殺されてしまい、人事戦略の策定に工数が割けず、外部のエージェントなどに丸投げしてしまうケースが多いです。

人事は、様々なチャネルを使って採用スキームを考える必要がありますが、そのような時間がありません。目の前の業務に忙殺されてしまい、大枠を考えることができない状況にあるのです。

また、本来は人材が定着して活躍するまでを見るべきなのですが、選考への流入数や内定承諾率などといったKPI管理を極端に意識してしまいがちです。もちろん、そのような数値を管理することは、採用戦略を見直すという点においては重要な視点です。しかし、そこばかりに目がいくと、どうしても自社の採用がどこか他人事になってしまい、採用することだけがミッションになっていくのです。もちろん採用も大事ですが、その先を見据えるところまで視野が広がらないことは企業にとって問題だと思います。

更に、近年では、様々なHRサービスが増えたこともあり、人事が情報過多になっています。採用手法においても、ダイレクトリクルーティングやイベントなどがあり、イベントの中にも様々な切り口のものがあります。

いろんな情報を取捨選択するという点において、効果検証ができないまま、1度サービスを使ってみて上手くいかないからすぐに辞めてしまう、というケースが多いのです。きちんと使うことで効果が出ている企業も存在しており、そんな中で効果が出せないのは、人事が忙しいがために求職者との接点が荒くなってしまっているなどの原因があるのです。

このように、人事が忙殺されており、良くも悪くもKPI管理に固執してしまっていることが、HR業界の課題だと感じています。

中小企業は、人事にコストをかけることが難しいのは分かりますが、採用アシスタントを少し増やしてみるなどして、もっと先を見据えた業務に取り組めるような体制づくりができれば、企業はもっと良くなるのではないでしょうか。

高度研究人材の動向

HR業界の中でも少し特殊な、アカリクが扱う領域の特徴などについて少し書いておきたいと思います。

以前は、高度研究人材は民間企業に興味が無いという風潮がありました。しかし、近年では少なくともアカリクのユーザーにおいては、アカデミックと民間企業を平等に1つの選択肢として捉えているようです。

社会人の博士号取得を支援する企業も増えてきており、1度民間企業を経験してからアカデミックに行くなどの双方の行き来のハードルが低くなっていることもあり、民間企業へ前のめりな方々が増えきたと感じます。実際に、年々アカリクの登録者とイベント参加者は増加傾向にあります。

一方で、企業側は「博士の採用に積極的な企業」と「博士の採用経験がないがために消極的な企業」の二極化が進んでいます。博士の採用経験がある企業は、そのポテンシャルの高さを体感しているので、より積極的に採用を行っています。採用経験が無いほとんどの企業では、博士への理解が薄く、「学部生」「修士」「博士」の給与テーブルを分けていないことで、博士の方も「あまり必要とされていないな」と感じて遠ざかってしまっています。

博士の採用経験がある企業が、博士採用により注力していくように、1度採用してしまえば高度研究人材の捉え方は変わります。もちろん、相性が良い企業とそうでない企業に別れますが、まずは新しい風を入れてみるという点で、多様性を受け入れるダイバーシティの観点からも、採用してみてそのパフォーマンスの高さを知ってもらいたいです。そして、徐々に博士の採用に前のめりな企業の割合が増えていくような流れを作っていきたいと思っています。

その為に、ジョブ型研究インターンシップの試みがあります。また、長期までとはいかなくとも、サマーインターンシップなどに博士を呼んでみて、その実情に触れると優秀さがわかると思います。

このような博士を採用したことがなく消極的な層に対し、どのようにして積極的になってもらうかが、我々の事業領域ならではの難易度の高さだと感じています。

専門分野や基礎的教養・コアスキルにも目を向ける

博士人材と接点を持つ際に、ぜひ意識していただきたい点があります。
例えば、彼らの研究テーマだけを切りとって、事業との親和性を判断してしまうと、博士のポテンシャルは理解しづらい場合があります。

私の場合、大学で「生産管理」を学んでいましたが、その専門性だけを捉えると、インターン先は工場などの生産管理に限られてしまいます。この専門性を少し分解すると、バックグランドに「機械系」「工学系」といった分野があり、それらのスキルや知識も持ち合わせています。さらに掘り下げると、「データの扱い方」「文献の使い方」などの基礎的な教養を備えています。

博士の場合、自身で研究テーマを決めて遂行する「スケジュール管理」や、研究室メンバーをまとめる「マネジメント」、後輩に対する「指導経験」などの能力も持ち合わせています。このような点まで汲み取って業務を割り振ると、期待以上のパフォーマンスを発揮してくれる確率が高まるのです。

アカデミックとビジネスの交錯による化学反応

最後に、私が思うHR業界の面白さについてお話します。

新しい技術やサービスを生み出すのも、昨今話題のジェネレーティブAIなどといった技術を使いこなすのも、結局は「人」です。

人の可能性は無限大で、例えば、キーマンが1人会社やチームに入るだけでその組織はガラリと変わります。そのような事例を直近で見てきたからこそ、人材支援に対する可能性とやりがいを実感しています。

例えば、新しいサービスを導入して生産性が上がった場合、数値で判断できるため、効果が分かりやすいと思います。これは、人材が入ってきたことで売り上げが上がった場合でも同様ですが、その人がメンバーにノウハウを伝承したり、他者のモチベーションを上げるといった点は数値では評価が難しいです。このような化学反応が起こるケースが溢れているので、人には無限の可能性を感じています。

前職までは、ビジネス現場で活躍している方を、他のビジネスの現場に紹介するといったビジネス界が盛り上がる人材支援を行ってきました。しかし、アカリクの場合は、アカデミックとビジネスを行き来する支援ができるので、そのマッチングの枠を広げることでより素晴らしい化学反応が起こせると思っています。

実際に、この数年間でアカデミックで得たスキルや経験が、ビジネス現場で大いに活用される場面をたくさん見てきました。このように、アカデミックとビジネスを越境することで、より広範囲な化学反応が起こせることが、アカリクならではの面白さであり大きなやりがいだと思っています。

これから先は、より専門性が求められるように思います。昨今では、AIや機械学習の登場によって人は不要になるのではないかと言われていますが、それらを使いこなすにも専門性が必要なのです。

「知恵の流通の最適化」というアカリクのミッションのもと、人が持つ専門性が縦横無尽に行き来し、様々な化学反応が起こることを期待しています。
この記事を読んで、アカリクのミッションや、私の考え方に共感してくださる方がいれば、ぜひ弊社にジョインしていただきたいです。社会貢献性の高いアカリクの事業に、ぜひ皆さんの力を貸してください。

株式会社アカリク 採用特設サイト
山田 諒のTwitter

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