心の氷山の奥底で見つけたもの:サラリーマンが幸せになる方法 その46
これは、サラリーマンが幸せになるために「ありたい自分( being )を軸に持ち、ありたい自分を良好な状態( well-being )にし続けること」について書かれた note です。
深層心理。生きてきた中で徐々に身につけた、または教育や原体験により凝り固まった、表層的な意思や行動を決める無意識の自分。先日、これを掘り進んだ先に「とんでもないもの」を見つけ自分を再発見しました。そして well-being に至った経験を共有します。
※ かなりパーソナルな内容となっています。
氷山思考
「氷山思考」とはレジリエンス(ストレスからの柔軟な回復力)の考え方の一つ。自分の思考の癖や価値観、感情の傾向とは無関係にわき起こる激しい感情の高ぶりや反射的な行動を引き起こす深層心理のこと。(私の解釈です)
客観的に見たら一見何てことない出来事に、瞬間湯沸かし器のように激怒したり、深く傷ついたり、意思決定できなかったり。自分でも説明できないことありませんか?それが氷山思考の現われです。
水面下に深く沈んだ氷山のメタファーを見たことがあると思いますが、正にこれ。表層に現れた感情・言動の奥底には、自覚していない深層心理があり、むしろ見えている部分よりもはるかに大きいと言います。
もちろん深層心理は、礼儀正しさや、思いやりなどのポジティブな反射も起こします。
しかしレジリエンスの文脈で語るとき、これはやっかいなネガティブ要素。本人の望まぬ感情・言動を引き起こす要因(しかも説明つかないので相当に手強い)となるため、これを自己分析し、理解・受入れるためのメソッドが考えられています。
先日、この氷山思考の根源を見つけ、それに対する短期的・中期的なアクションを考えるワークショップに参加しました。まずそのワークについて少し解説します。
欲求のタイプ
はじめに自分の欲求のタイプを確認します。
レジリエンスでは氷山思考は、達成・受容・コントロール、3つの欲求のどれかに必ず分類できるとしています。どの欲求が高いかを確認し、氷山思考の分析に使います。
■達成
やり遂げること。しかも完全に行いたい欲求。
完璧主義。
完璧主義ゆえの先延ばしや諦め、視野狭窄、完璧でない自分への肯定感の低さ、他者への不寛容さ、などの問題となり得ます。
■受容
人に受入れられたい、愛されたい、認められたいという欲求。
承認欲求。
嫌われたくないための八方美人、過剰な承認欲求、人間関係の依存、ネガティブなマインドリーディング(心の操作)、早とちり、などを引き起こします。
■コントロール
全てをコントロール下に置きたい、掌握したいという欲求。
自責思考。
自分の責任ではない事象まで全て自責に感じる、助けを求められない、変更できない結果を受け入れられない、などのネガティブ要素として現れます。
調べてみると私は「受容」が目立って高く、達成欲求がほぼないという結果でした。この結果を踏まえて氷山思考を分析します。
説明のできない感情
次に、参加者それぞれが感情が急激に動いたエピソードを深掘りします。私が選んだエピソードは「妻が私を気遣ってした提案を断りなく反故にした」というできごと。もうすっかり過去のことですが、当時はあり得ないくらい激昂し、もしあのとき口を開いていたら取り返しのつかないことになっていたでしょう。
冷静に考えば「そんなことで?」と首をかしげるようなこと。しかし意味不明なほど感情が掻き乱されたのでした。
このエピソードを深掘っていくことで、自分自身が思ってもいなかった深層心理が明らかになりました。
私は普段、家族や親しい人を第一に立てて、自分のことは二の次として振舞っています。あまりに主張しないので、かえって妻との関係性をギクシャクさせてしまったほど。
しかしそれも深層心理の裏返しだったのです。
深層心理では、家族など大切な人に「軽く扱って欲しくない」「第一に気にかけてもらいたい」と願っていたのです。だから存在を軽く扱われたと感じると、強い受容欲求が引き金となり感情が爆発する、という氷山思考を持っていたのでした。おそらく幼少期の原体験が原因だと思われます。
自分のネガティブ面がストーンと理解できました。
そしてめちゃくちゃスッキリしました!
自己受容
この思いがけない自分の欲求を知り、認めることで、私は私を再発見することができました。そして受入れることで、なお一層、自分を愛せるようになったのです。
ワークショップでは自分の心を小さな子どもに見立てて、優しく問いかける形で行います。そうやって氷山の奥底を覗くと、幼少期に閉じ籠った私の心が、ずっと叫んでいたことが明らかになりました。
キミ、そんなふうに思っていたんだ。
もう大丈夫。見つけたよ。
自分を包み込む温かい感情がわきました。
そして後日、自分の氷山思考を素直に妻に話すことができました。恥ずかしさなどの負の感情は全くありません。ありのままに知って欲しかったのです。
心理的 well-being は以下6つの次元からなります。
① 人格的成長
② 人生における目的
③ 自律性
④ 環境制御力
⑤ 自己受容
⑥ 積極的な他者関係
今回の気付きは正に「自己受容」。
自己受容とは「自己に対する積極的な態度を持っている」「ポジティブ・ネガティブ両方の自己の多様な側面を認め受入れている」「自分の過去に対して積極的な感情を持っている」という3つの特徴があり、私の再発見はこの2つ目3つ目を非常に濃く満たしていました。
自分自身のネガティブな側面を認知し、受入れ、ありのままに他人に開示することで、今までにない心の平穏を手に入れられました。この状態は正に心の well-being だと感じます。
ストレス回復力のレジリエンス手法によって、well-being の自己受容を高めることができたのです。
氷山思考の深堀りで、私のような体験が必ずある訳ではありません。幼少期の原体験に紐づかないケースも多いそうです。しかし、それでもやはり自分自身のネガティブな感情の源泉を知ることが、自分自身を愛おしむ行為には違いなさそうです。
本当の自分を知り、認め、受入れる。
ネガティブな感情を恐れないでください。
そこにこそ、自分自身が隠れているのだと私は考えています。
まとめ
1.説明できない感情の発現は氷山思考
2.氷山思考の底の、ありのままの自分を認知する
3.ありのままの自分に優しく声をかけ、受入れる
このワークの面白いところは、デメリットだけでなくメリットも一緒に考えるというところ。なるほど、私の受容欲求も裏返せば私の良い性質でした。大切なのは、蓋をしたり、矯正しないこと。認知できれば、負の側面との付き合い方も分かります。自己受容とは「ポジティブ・ネガティブ両方の自己の多様な側面を認め受入れている」ことなんです。
そして、今回私が辿り着いた状態が「ヴァルネラビリティ」と言われるものだと知りました。次回はこのヴァルネラビリティについての考察してみます。初めての次回予告。お楽しみに。
私の体験が、あなたのヒントになれば幸いです。
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