りょう

アボリジナル楽器Yidakiに魅せられて度々オーストラリア アーネムランドを訪れヨォロ…

りょう

アボリジナル楽器Yidakiに魅せられて度々オーストラリア アーネムランドを訪れヨォロンゴ族に受け継がれる曲の伴奏を学んでいます。 その過程の経験やアイデアなどを書き残します。

最近の記事

イダキ販売開始とその訳。

インスタグラムでイダキの販売ページを公開してから一ヶ月が経ったので立ち上げに関する考えを書きたいと思う。 まず、僕の扱うイダキについて。 これらは、日本で友人から買い集めたものや、現地で直接ヨォロンゴの作り手から買った物をラインナップしています。 全て僕が実際に触れて入手した物のみ販売しています。楽器を選ぶ際にポイントとしているのは演奏のしやすさ。 複雑なリズムを刻む事が求められる現代の北東アーネムランド域のイダキの演奏において、ハンドリングのしやすさ、スムーズさに重きを

    • 伝統曲のタブー視。

      僕の最近の練習方法は、現地で録音してきた曲をコピーする事。 音源を書き起こしたノートに沿って、歌い手とイダキ奏者の二役を一人で録音していく。 これは優れた練習法で、完全なコピーが出来るまで何度も録り直す必要があるので、その過程で身体が曲の形を覚えてしまう。 形さえ身体に入れば、ヨォロンゴ音楽は流れに沿った即興的な演奏が当たり前なので、一言一句を丸覚えする必要はない。コピー後は自分のスタイルで演奏ができる様になる。 頭で覚える作業を省く事ができ、自分の練習した成果を音源

      • いただきます。

        もうすぐGove旅行から帰ってきて一ヶ月。 今年も運良く会いたい人にとことん会えて、充実した滞在の中で多くを学ばせてもらった。 今回も個人的に感じた事は沢山あるけれど、ここに書けそうな事といえば、現地と日本国内でのイダキへの認識のギャップだ。 僕自身、イダキを学ぶ上で大きな壁となっていた認識のギャップについて書きたいと思う。 まず日本ではこの楽器を難しく捉え過ぎている節がある。見た通りイダキは物凄く原始的でシンプルな物なので、もっと気軽なものとして捉えるべきじゃ無いかと

        • 使えるイダキ。

          イダキって同じ物が2つとなくて、演奏するスタイルやプレイヤーによってチョイスが違う。 アボリジナル奏者の中での『使えるイダキ』の基準はあると思うけど、それもプレイヤーの力量によって様々だと感じる。 楽器について僕の感じてる事を書く。 現地で好まれる楽器は音がデカくて、ファットなF#からG#ぐらいの、スムーズな演奏感の楽器だと思う。素直に楽器として扱いやすい物が良いんだと感じる。 初めのうちはファットな楽器は鳴らすのがしんどいので、スキルのあるイダキ演奏が人チョイスする

        イダキ販売開始とその訳。

          オリジナリティ。

          僕ら外国人がアボリジナル奏法を学ぶ際に苦しむのは、答えに近づく為に自分を否定し続けるからだと思う。 このスタイルを身に付けようと試みる人の大半がこの苦しみを持ち続けている様に感じるし僕もそうだった。 自分のルーツでない部族の文化を身体に入れるってことは、元々自分の中に答えはないのでそりゃ初めは苦労すると思う。 でもアボリジナル的メソッドに慣れさえすれば、その次のステップに求められるのは、オリジナリティじゃないかなと最近思い始めた。 決まりの中で自由に演奏するのがアボリ

          オリジナリティ。

          アボリジナル音楽のススメ。2

          音楽の素晴らしさは語り尽くせないけど 醍醐味の一つに同調や調和を感じられる点が挙げられると思う。 そんな醍醐味をアボリジナル音楽にも感じる事ができ、ミニマムながらも現代音楽に通ずる要素を持ち合わせています。 例えば、スリーピースバンドといえば ギターや鍵盤楽器+ベース+ドラムスです。 これはリードとリズム隊による現代音楽の最低限の編成と言えると思います。 アボリジナル音楽はソングマンとイダキ奏者の最小二人から成り立つシンプルなものですが、 唄+イダキ+ビルマ(拍子木)の

          アボリジナル音楽のススメ。2

          アボリジナル音楽のススメ。

          アボリジナルの演奏を目指してイダキをやっているけど、自分の音に納得がいかなくて足踏みしてる人って少なくないと思います。 私の最終目的は究極の出音を手に入れる事だ。 って人には必要の無い話ですが、書きます。 発音の基礎が頭に入っていて、ある程度ドローン、トゥーツ、コールが出る状態なら 自分の出音を認める事が大切だと思います。 骨格や声は人それぞれです。 育った環境で方言や発音が違う様に イダキの音もそれぞれで良いと思います。 音源やYoutubeで聴くイダキの音は本物

          アボリジナル音楽のススメ。

          イダキ奏者の姿。

          目標や役割を明確にするのって大事で、 向かう先決まればあとは進むだけです。 イダキ奏者の役割について。 伝統的な音楽の中ではイダキは伴奏楽器です。 ソングマンの叩く拍子木に合わせて、唄を支えます。 という事で僕の思う曲の伴奏するのに必要なスキルを3つ書きます。 ⚪︎曲の構造を把握してること。 当たり前ですが、これを押さえない事にはいくら音質が良くても伴奏はできません。 構造が頭に入っていれば、その縛りの中で自由に演奏して構わないので、丸暗記する必要はないです。 ⚪︎イ

          イダキ奏者の姿。

          ノリが大切。

          ヨォロンゴの演奏を目指す人は、自分の音を聴くと全然ノリが違うって感じるのはよくある事だと思います。 僕は今でもイダキだけで録音して聴くと残念な気持ちになる。 基礎的な要素を押さえて、リズムの練習を始めたけど、中々それっぽくならないって壁にぶち当たる人におすすめが日常的なリスニング。 凡人の僕は、聞いた事ないノリは表現できないし、数回聞いた程度では身体に染みつきません。 曲やリズムは覚えようとして覚えれるけど、ノリを身体に染み込ませるのは日々のリスニングの結果だと思う。

          ノリが大切。

          基礎的な練習。

          十人十色の練習方法があり正解などありません。 僕の試行錯誤してきた練習方法を書きます。 まず、初心者のウチは毎日壁に向かって、 今日は調子が良いとか悪いとか、舌や唇がどうとか、呼吸がどうのとか、身体の内側に意識が向く中でイダキの練習すると思います。 僕もそうだったし、 これはみんなが通る最初のステージだと思う。 この時に身につけたいスキルは ドローン、トゥーツ、コールの3つの音と 基本的なマウスサウンドの発音です。 そして大切な事は、 その質にあまりこだわりすぎない

          基礎的な練習。

          書き起こし。

          僕の場合リズムや曲を学ぶ際、最初に取り掛かる作業が書き起こしです。 今まで数百曲も書き起こしをして来ましたが、初見の複雑なリズムを耳と頭だけで完コピすることは未だに出来ません。 そしてイダキを学ぶ上でこの作業にかなりの時間をかけています。 書く前と書いた後では曲の聞こえ方が変わります。北東アーネムランドの曲はアンキャッチーで僕ら日本人の耳には耳に残りにくく、初めの頃はすべて同じに聴こえます。 書き起こした後にはその曲の歌詞、リズム、展開が少し予測できる様になり、曲の判別

          書き起こし。

          リズムパーツ。

          イダキの演奏に使用するリズムを口に出して表す事をマウスサウンドと呼ぶ。これがリズムを紐解く鍵になる。 もちろん、ヨォロンゴはネイティブだし、元々文字は持たないらしく、書いて表す事はない。 でも僕ら外国人がそれを学ぶ際には書いたものを読み上げていく練習が効果的だと感じる。 ⚪︎例えば、アルファベットでマウスサウンドを書くとこうなる。 Dith Dhu Dhirrl Dhirrl ⚪︎ビルマ(拍子)が入るところに×をつける。 × Dith Dhu Dhirrl Dhirrl

          リズムパーツ。

          イダキ≠英会話。

          イダキは外国語を学ぶ事にすごく似ている。 英語を学ぶ初めのステップとして、 ①英単語を覚える。 ②文法の基礎。 ③英語を聴いて耳を慣らす。 たったこれだけを覚えれれば、 日常会話程度の英語力は身につくはず。 イダキもこれに近い。 ①演奏に使われるリズムパーツの発音を覚える。 ②唄や拍子に対してのリズムの合わせ方を学ぶ。 ③曲を聴き込み耳を慣らす。 ある程度イダキが鳴らせてこの3つを押さえれば、簡単な曲の伴奏は可能になってくる。 特に③には様々なメリットがあって イダキ

          イダキ≠英会話。

          イダキの鳴らし方。

          はっきり言って自由です。 でもアボリジナルの演奏に近づきたかった僕は 自分の憶測だけでは上達しませんでした。 アボリジナルのイダキの演奏方法についてサラッと書きます。 既に北東アーネムランドのイダキの演奏方法は 『Hard Tongue Didgeridoo』という教則CDによって2005年に情報が公開されていて今更僕が伝えれることは多くない。 なのでコレに習った僕の感じてる事を書く。 図付きで丁寧に発音の解説をしてくれるので、すごくわかりやすく、スタイル問わずディジ

          イダキの鳴らし方。

          進むべき方向。

          アーネムランド滞在時にヨォロンゴ達が唄とイダキをしているのを横で見ていると『お前もやってみろ』って具合でイダキを渡される事がよくある。 彼らの受け継ぐ曲の構成や尺は独特で、イダキの演奏も即興性が高く、手本を見せてもらっても毎回少し内容が変わったりして、ある程度理解して慣れるまでは対応できなかった。 この経験から僕は『コレに対応出来たら認めてもらえるのかぁ』と、日本に帰ってから現地で録音した曲の練習に取り掛かった。この時期から以前にも増してイダキが楽しくなっていく。 平成生

          進むべき方向。

          現在地。

          オーストラリアにワーホリに行った2012年に ディジュリドゥに出会ったので、今年で11年目かな。何かをやる上で10年で1周ってよく言うけど、去年はそのサイクルを強く感じた。 振り返れば1周目は情報収集に費やした。 初めの2.3年は楽器を所有してるだけ。 本当に面白くなっていったのは5年目ぐらい。 そのぐらいから日本人のアボリジナル伝統奏法思考の人達に学んだり、本物の演奏を体感しに何度もアーネムランドを訪れた。 そして、この楽器の理解が基礎的なレベルに達したと感じたのが9年目

          現在地。