進むべき方向。
アーネムランド滞在時にヨォロンゴ達が唄とイダキをしているのを横で見ていると『お前もやってみろ』って具合でイダキを渡される事がよくある。
彼らの受け継ぐ曲の構成や尺は独特で、イダキの演奏も即興性が高く、手本を見せてもらっても毎回少し内容が変わったりして、ある程度理解して慣れるまでは対応できなかった。
この経験から僕は『コレに対応出来たら認めてもらえるのかぁ』と、日本に帰ってから現地で録音した曲の練習に取り掛かった。この時期から以前にも増してイダキが楽しくなっていく。
平成生まれの僕がこの楽器に出会った時点で既に流行期は過ぎていて、日本には素晴らしいアーティスト達が居て、ディジュリドゥショップ、アボリジナル伝統主義があって、飽和を感じていた。
自分のスタイルが定まらないまま、まるで流行の後追いをしている様な気分だったけど、
北東アーネムランドの伝統音楽の魅力に吸い込まれる様に自分の進むべき方向が定まった。
現在進行形アボリジナル音楽に順応するというのが、僕の目標になった。