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短編小説

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何事も、継続は力なり。コツコツ続けていこうと思い、作成しました。
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青春は、時に盲目で、時に全てでもあり、時に、切り抜いた思い出の、鮮やかなる1ページとなる。3

冬は、小さな幸せが、ギュッとつまった季節だと思う。

自動販売機には、温かい飲み物が追加され、僕の大好きなお汁粉の容器も、隅っこの方に小さく置かれるようになる。

機械に小銭を入れた瞬間に鳴る、あのガコガコ、という音も、小銭がお金と認識されずに返却口に流れ返された時の、ちょっとした気だるさも、今やICカードの参入により、あまり見かけない光景となった。

便利な世の中になったものだ、と感心しつつも、

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青春は、時に盲目で、時に全てでもあり、時に、切り抜いた思い出の、鮮やかなる1ページとなる。2

青春は、時に盲目で、時に全てでもあり、時に、切り抜いた思い出の、鮮やかなる1ページとなる。2

今日は、高校生活で、最初で最後の文化祭。
文化祭には、いろんな夢が詰まっている。

中学生の時。
学校見学の一環で、目星をつけていた高校の文化祭を見に行った。
当時、セーラー服だった私は、白いシャツに数段折り重ねたスカートを、小洒落た風に着こなしている高校生を見て、「かっこいい」と思ったのを、今でも覚えている。
みんな、キラキラして、眩しくて。
たった数個しか年が違わないのに、とても大人びて見えた

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青春は、時に盲目で、時に全てでもあり、時に、切り抜いた思い出の、鮮やかなる1ページとなる。

青春は、時に盲目で、時に全てでもあり、時に、切り抜いた思い出の、鮮やかなる1ページとなる。

霜が降りて、辺りが真っ白な世界で包まれている。
玄関のドアを開けて、肌の表面にまとわりつく冷気に軽く身震いしつつ、かじかんだ手で自転車のハンドルを握った。
家から学校まで、自転車で約20分程度。
この道を進むのも、もう片手で数えるほどになる。

学校が見えかけた位置にある、十字路のおっきな交差点。
いつも私は、ここで自転車を降りて、自転車を押しながら歩いて学校の門まで向かう。
そのまま自転車に乗っ

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