見出し画像

身に着けたい4つの「力」

#就労支援の現場から  Vol.1

せっかく昨日「新たな試みについて」という記事を書いたのだから使わないともったいない。なんなら今日の記事は就労支援の現場から、でもあり新卒採用の現場から、でもある。

*

「働くために必要な力ってなんだろう」と考えるとと目に見えてわかる部分を鍛えたくなりがちだ。

例えばパソコンスキル
Wordがどれくらい使えるか、Excelがどれくらい使えるか、プログラミングがデザインが。資格があるかないか。追い求めたらキリがない。

例えば作業スキル
袋詰めが素早くできます、三つ折りが丁寧にできます、裁縫ができます、計量ができます、などなど。事務仕事としては欠かせない。

もちろんこういった部分を鍛えて、力をつけて就職していってもらいたい、ご自身が望む社会参加の形を実現していってもらいたいと思っている。そこに対してのサポートをする。

でも働くってそれだけではない。
私自身「社会人」というかたちで働き始めてからまだ2年弱だが、一定程度の基礎スキルは必要だとしても+αの部分は働きながら、経験しながら身についていくもののように感じている

だから一定程度のスキルを身に着けた先に見据える力として、より難しい能力の習得よりももっと大事な力が4つあるように感じるのだ。

*

①質問力

最初はわからないことが多い。でもそれは当たり前の話。それは相手もわかってる。ここで一番やっちゃいけないのは、「わかったつもり」「なにもしない」にならないこと。こうやって書きながら自分自身にも言い聞かせてます(笑)「わかったつもり」は間違いになりかねないし、「なにもしない」からは何も生まれない。それなら早めに聞くことが大事。

ただ質問にもポイントがあると思っていて。
いきなり「ここわかりません」じゃ、質問される側も、

「この人、何も考えてないな」

という印象を持ちかねない。1回まずは自分で考えてそのうえでどこがわからないのか質問する。質問される側が答えやすい質問をする。そして一度聞いたことを何度も聞かない。

こういった部分を普段のプログラムの中で利用者さんにもつけていただこうと促している。

②検索力

上記の「この人、何も考えてないな」と思われないための力の1つとして検索力も大事だと考える。

今さまざまな検索ツールが発展した。そしてそれが持ち運べる時代にもなった。調べればある程度の情報が手に入る時代にもなった。自分はどこまでわかって、何がわからないのか、そこの線引きを伝えることで質問される側も、

「この人なりに考えてみたんだな」

という印象を持つ。そしてその人の検索過程を知ることでアドバイスの声掛けも変わってくる。

最初からお手上げ状態になるのではなく、まずは調べてみる。そういった意味での「検索力」。

これも日常的に支援の中で促している部分。わからないところがあったら

「一緒に調べてみますか」

と伝えている。正解にたどり着くのが目的ではなく、正解へのたどり着き方を身に着けるのが目的だから。

最初は自分の気になる話題、好きなものについて検索することからでもいいと思う。「調べる」ということをぜひ習慣化してもらいたい。

③メモを使いこなす力

そしてメモ。
これは「メモをする力」ではない。「メモを使いこなす力」だ。

メモには段階がある。

メモができる
→メモを見てその通りに実践できる
→メモから新しい着想を得る

まず「メモができる」って大切な力。メモができない人だっている。

上の質問力、検索力でも書いたけど、「相手に聞く」ということは相手の時間をいただいていることと同義だ。だから同じことを何度も聞くことはできるだけ避けたい。そのために大事になってくるのがメモ。一度聞いたことを再度聞かなくてもいいようにメモとして残す。まずこの残す作業が大切。

でもここで終わりじゃない。メモはそれを見てその通りに実践できないと意味がない。中にはメモはできるけどあとで振り返った時に何て書いてあるかわからない、だから実践できない、ということもある。何とかして「メモの通り実践できる」は身につけたいところ。

さらに次のステップに進むとすれば、そのメモをから新しい着想を得ていくこと。メモの内容を抽象化(=より一般化)し、ほかの場面で転用(=同じように使えないか)を考えること

結構難しいことだけど、ここまで出来たらメモを使いこなせたも同然だ。

④自己決定力

そして最後が「自己決定力」。
何はともあれ、最後に自分の道を決めるのは自分自身だ。だから自分で決めるということを習慣にしてもらいたい。

われわれは多くの人に助けられながら日々を生きている。自分1人だったら絶対にここまでこれなかった。その前提は持ちながらも、結局最後はみんな他人。自分の人生は自分で責任を負わなければいけないのだ。

そんなとき、与えられたものばかりで過ごしていたら自分で考える力が一向につかない。いざ1人になったときには時すでに遅し。

自分で決める、という経験により責任が生まれる。そのためにしっかり考えるという工程が生まれる。”就労移行支援”という、まだ失敗できる環境だからこそ、たくさんたくさん自分で決める機会を作ってもらいたい。そこで失敗して失敗して、たまに成功して。じゃあなんで成功したのか考えて自分なりの成功パターンを見つけていく。そんなことを身に着けてもらいたい。

*

以上、普段の支援の現場で意識している4つの力だ。

これは自分が皆さんに伝えていると同時に、私自身ももっともっと意識したいところでもある。ぜひ学生さんもこれを身に着けたらうまいことやっていけると思う。

ほかにも「こんな力必要だよね!」というのがあればぜひ教えていただきたい。それがたくさん集まって、それを身に着けていくことで、一人前の人間になっていけたら。


いいなと思ったら応援しよう!

塩浦良太
今後の記事の質向上のための資金として使わせていただきます!

この記事が参加している募集