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「大学スポーツはビジネス」の代償

コロナウィルスにより、大きな影響を受けているのはプロスポーツだけでなく、学生スポーツも同じです。日本でも全国高校野球選手権の中止が噂されていますが、米国ではバスケットボールの全米選手権「マーチ・マッドネス」が中止、更には一番の収入源であるアメリカンフットボールシーズンについても議論が続いています。

一方で大学のスポーツチームが消滅を余儀なくされるというニュースが相次いでいます。大学としても経営の先行きが明白でないため、苦渋の決断を強いられています。4月14日には1973年から続いていたシンシナティ大学がサッカー部が消滅。

そして5月18日にはFurman大学が野球部、そしてラクロス部の消滅を発表。この大学は広島東洋カープでもプレーしていたジェイ・ジャクソン選手の母校でもあり、1896年から存在していたチームだっただけにその衝撃は大きいです。

このコロナウィルスにより、OBからの寄付金が大きく下がったことが大学に大きな影響を及ぼしたようです。約100億円の支援がなくなってしまい、さらには新入生の見通しなども立たないことから大きな打撃を受ける大学にとってスポーツに出費を続けることが困難になってしまったのです。

野球部の監督のメッセージは本当に心苦しいですが、「大学そしてダグアウトで作った関係性は一生残る。それに感謝すべきと」いう言葉が今の状況の全てを表現している気がします。

ここでは全てを紹介できないほどの大学スポーツチームが消滅するというニュースが出てきています。もしもは考えたくないのですが、大学スポーツにとって一番の収入源であるアメリカンフットボールシーズンが開催されないとなると、この動きは更に加速することになってしまうと思います。大学スポーツはアメフトとバスケによって支えられています。そのためいずれかで収入が確保出来ない場合は次に規模が大きい野球やサッカーが削減の対象になってしまうのでしょう。

シンシナティ大の例を出すとサッカー部を無くすことで72万5千ドルの出費を抑えることになりますが、アメフト部のサポートスタッフ(アナリストやコーチ以外のスタッフ)には87万5千ドル掛かっているという報道もありました。本来であれば、選手に奨学金がさほど掛かっていないバスケ・アメフト以外の競技ではあるのですがあくまでもその二つを守らないといけないという大学側の使命もあるような気がします。

こういう逆境の中、各大学のスポーツプログラムは生き残りを掛けてファンとのエンゲージメントを高める仕掛けをデジタル上でしています。これは大学、プロ関係なくエンタメ業界を含む、対顧客のサービスはみんなが同じ意識を持って取り組んでいると思います。

先行きが見えない不安な状況だからこそ、出来ることもあります。人生で誰もが経験したことのない時代をアメリカのスポーツ界に身を置き、デジタルの運営を担う経験を得ているのは本当に財産になると感じています。暗いニュースも増えてきているスポーツ界ですが、生き残りを掛けてみんなで前を向いていきたいですね。


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