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てりやきマックバーガーの考え方こそ 今世界が必要とすること

最初に注意しておきますが、これはてりやきマックバーガーの話ではありません。DAZNでの経験を含めたローカライゼーションについてのお話です。

ローカライゼーション。この言葉を聞いてピンと来ない人も多いのではないでしょうか。日本語で説明すると、「現地環境に適合させること」といったところですかね。

企業が海外に進出する際にその国、地域に合うサービスや商品のカスタマイズを行うことが多々あります。言語は当たり前ですが、その国の文化に合った商品を提供するために試行錯誤します。

例えば、マクドナルドのように”ビッグマック”という看板商品はほとんどの国で販売する中で日本人向けのメニューも展開しています。てりやきマックバーガーのようにその国に住む人々に合った”限定品”を作っています。このてりやきマックバーガーの存在こそがグローバルな企業であるマクドナルドが本気で日本でビジネスを展開していこうという証なのではないかと思います。

一方では世界中で同じ商品を展開しているけれども、グローバルにファンを増やすために違う国の言語で認知度を高めていく仕掛け。公式ウェブサイトやSNSアカウントを作る場合もあります。

グローバル化する世の中では、おそらく外資系の企業でローカライゼーションを担当する者、またはそれをビジネスとする代理店のような存在は数多く存在します。

このローカライゼーションという仕事に向き合うことになったのが、DAZNというスポーツストリーミングのサービスが日本上陸を果たすこととなった2016年6月でした。当時のマーケティングディレクターと会ってみないかという連絡をいただき、その翌日朝にはホテルのカフェで待ち合わせをしていたのを思い出します。

そして話を一通り終えた後にすぐに来られないか?という内容の話に。別の仕事も抱えていたため流石に正社員ということは難しいと伝えた結果、コンサルタントとしての契約を結ぶこととなりました。

まだマーケティング部は3人しか在籍していなかった時代。事務所もまだ定まっておらず、出勤最初の3日間が全て違う場所でした。その中2ヶ月後のローンチに向けて、怒涛の日々の始まりでした。では仕事として一体何をしていたのか。

それは立ち上げに必要なプロセスを目の当たりにする貴重な機会でした。DAZNを日本で展開していくためにブランドガイドラインの日本語版の作成、公式ページの日本語化、テストユーザーの声を英語にして本社に届けること。本社の意向を日本へ、そして日本の声を本社へと届ける役割でもありました。状況が日々変わっていく中で表記を考えるところからローンチパーティーの招待状を作成するところまで。最終的にはパーティーやカンファレンスでCEOの付き人も経験することになりました。

ローカライゼーションで苦労するのが、本社からこれを翻訳してくれと送られてくる言葉で直訳が難しいこと。その微妙なニュアンスの違いをどう日本人向けにするか。英語だとめちゃくちゃカッコイイ表現をただ直訳すると、めちゃくちゃダサくなる。

これはSNSを運営する時でも遭遇します。これをそのまま訳しておいてと簡単に言われます。でもそれが一番難しい。

これが時々問題になるのは、日本語にカタカナで表された言葉がある場合です。カタカナの言葉は、英単語が日本語の中で使われているので、日本語ではもともとかっこよく聞こえます。つまり、「ああ、この外国風の響きに魅力があるから、とても面白そうに聞こえる」というわけです。しかし、私がその単語を英語に戻すと、それはただの普通の単語になってしまいます。

先日読んだゲームの世界でも同じ悩みは存在するようです。独特な世界観に人々を惹きつけるための翻訳は難しいだろうなと思うと共に面白さもあるだろうなと感じます。一度映画やゲームなどの字幕付けとかもチャレンジしてみたいですね。

何故今こんな話題について綴ったかというと、アメリカそして世界中で今人種を巡る抗議デモが起こっています。

日本でも他人事ではないのかもしれません。

人種の権利を巡っての争いが続いています。ですがグローバルに展開する企業はまずそこを理解するのに取り組んでいるということです。相手のことを知って、文化を知って、お互いにとってWIN-WINとなるようなサービスや商品を生み出そうと努力します。

それがローカライゼーションという仕事なのではないかと思います。企業が海外で展開する際に一歩間違えれば、相手を侮辱することになり、相手を全く理解できていないという認識に繋がります。その間に立ち、文化や言語の翻訳を行う立場。世界中ですれ違いが起こり、悲しい事件へとつながっている今だからこそ相手を心の底から理解しようと思うローカライゼーションの心が必要なのではないでしょうか。

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