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AIが明らかにした若い星たちのやんちゃな一面

こんばんは、りょーです。

毎日その日に更新される天文系の論文を紹介する「天文マガジン」!昨日から毎日更新に変更して今日で2日目!今日紹介するのは、 AIを使って遠くの若い星の爆発を発見してあげたお話です。

論文には「Abstract」という全体の概要、みたいなものが最初のページに書いてあります。これを読めば全体的に何が書いてあって、何が主張したい論文なのかはわかるんです。

なのでみなさんにも一度見ていただこうと思います。
今回の論文のアブストラクトはこんな感じ。

All-sky photometric time-series missions have allowed for the monitoring of thousands of young (tage<800Myr) to understand the evolution of stellar activity. Here we developed a convolutional neural network (CNN), 𝚜𝚝𝚎𝚕𝚕𝚊, specifically trained to find flares in Transiting Exoplanet Survey Satellite (TESS) short-cadence data. We applied the network to 3200 young stars to evaluate flare rates as a function of age and spectral type. The CNN takes a few seconds to identify flares on a single light curve. We also measured rotation periods for 1500 of our targets and find that flares of all amplitudes are present across all spot phases, suggesting high spot coverage across the entire surface. Additionally, flare rates and amplitudes decrease for stars tage>50Myr across all temperatures Teff≥4000K, while stars from 2300≤Teff<4000K show no evolution across 800 Myr. Stars of Teff≤4000K also show higher flare rates and amplitudes across all ages. We investigate the effects of high flare rates on photoevaporative atmospheric mass loss for young planets. In the presence of flares, planets lose 4-7% more atmosphere over the first 1 Gyr. 𝚜𝚝𝚎𝚕𝚕𝚊 is an open-source Python tool-kit hosted on GitHub and PyPI.

"Flare Statistics for Young Stars from a Convolutional Neural Network Analysis of TESS Data" Feinstein et al. 2020


今回研究されている対象は「若い恒星」です。恒星とは自分で輝いている太陽みたいな星のことですが、今回扱うのは太陽よりももっと若い星達。

太陽の年齢はだいたい46億歳(!!!!!)ですが、今回見たいのは8億歳以下の星達。なんか宇宙規模すぎてピントこない数字ですが、星の中じゃペーペーな星たちです。

星っていうのは宇宙に固まっている塵の中で、そいつがくっつきながらできていくものです。

最初は塵

それが固まっていく

中心に集まって球を作り出す

回って余った塵で円盤(土星みたいな感じ)を作ってく

円盤がなくなって星だけになる

って感じで太陽みたいな状態にたどり着きます。なんとなくわかりやすそうな写真を貼っておきます。真ん中の絵だけみればOK!!

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これの一番下が円盤を作っている状態で、この状態で1億歳ぐらい。なので今回見る星達は、この円盤がなくなってすぐとか、ちょっと残っている程度の星達です。

実はそんな星達って宇宙には無数にあります。そこで今回は太陽系以外の惑星をたくさん見つけて、住めそうな星を探しているTESS衛星を使って、運用中に見えた8億歳以下の若い星全てを見てしまおうという研究です。

こういった若い星達は、太陽よりも活発で、表面の爆発であるフレアを頻繁に起こすことが知られています。そしてその規模は太陽の数十倍にも及ぶとか。。。

フレアってのはすごく怖いんだよって話は、この記事を見てもらうとして〜

今回の研究で使うTESS衛星を紹介して起きましょう!TESSというのは、こんな感じの衛星です。

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恒星とたっっっっっくさん見て、どんどん惑星を探しています。

惑星を探すときには、その惑星が前を通ったときにほんのちょっと暗くなる小さな変化を見つけてやります。なので、非常に高い精度が必要で、このTESSは現在この精度では世界一です!

こいつのデータから、3,200個の若い星をピックアップして、そいつをAIプログラムにかけて、フレアが起きているかを調査する研究がなされました!

AIと一言で言っても幅広いです。今回使われたのは、人の顔を判断したり、犬と猫を見分けたりするのに使う「畳み込みニューラルネットワーク(CNN)」と呼ばれるもの。

これを3,200個の若い星達の光度曲線に適応してあげて、小さいフレアから大きいフレアまでAIにお任せして見つけてもらおうという、なんともずるい研究。笑

スクリーンショット 2020-05-19 18.19.44

AIさんの活躍のおかげで、17,479発のフレアが発見されました!!すごい!!

特に今回注目したいのは、星の温度です。

今回注目した星の中で、星の温度が4,000度以下の星に注目すると、それ以上高い星たちに比べて、フレアが発生する確率が高いことがわかりました!


そして今回は、惑星を探す衛星を使っているので、周囲にいる惑星にその高いフレア活動性がどのように影響を及ぼすかも調べられました。

その結果、たくさん起こるフレアのせいで、最初の10億年間で惑星の表面の待機の4-7%が失われることになるそう。

太陽は46億歳だから、このように空気が剥ぎ取られてから30億年経っているんですね。つまりもっと待機は剥ぎ取られていく。。。と。

まぁ若い星の高い活動性で4-7%ですから、太陽くらいおとなしい星なら、そこまで気にすることはないのかな?

今日公開された論文は、太陽よりも30億歳以上若い、やんちゃな星達の活発さと、その周りにある惑星のお話でした!!


こうやって宇宙の話をしていると、大きすぎる数字や、長い年月の果てしなさに不思議がいっぱいになりますよね〜。

最新の研究とか論文とかではなくて、もっと一般的な話を聞きたい!なんて人はこの辺りがおすすめです!

個人的には下の方がおもしろかったなといところ!まじで読みやすくて、研究がしんどくても、面白さを再認識できる感じです笑


それではまたあした!!





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