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勝つためではなく死なないための戦略論「最高の戦略教科書孫氏」守屋淳

戦い方から考えるのは次善の手。最高なのは戦わないこと。


戦略書の古典として有名な孫子をビジネスマン向けに分かりやすく解説した本です。


戦わずして勝つのが最善


 孫子の戦略論の前提として、負けたら命を失うこと、ある国になんとか勝っても多数の敵となりうる国が多数あることが考慮されています。今のビジネスのように失敗前提で試す行動ができず、力を使い切れば侵略される危険があります。



 なので孫子の戦略論は戦わずに相手を制するというスタンスです。自分の方が強ければ相手を傷つけずに味方に、相手の方が強ければ戦わず逃げて生き残りを図ります。勝てる相手としか戦いをしません。



 このような考えのもとで孫子が編み出した戦いの原則が「不敗」と「短期決戦」です。


それでも戦うなら不敗と短期決戦を守る



 戦争は不確実性が高く、長引かせると思わぬ被害が起こります。戦う場合は必ず短期での決着を狙います。不敗とは勝ってもいないが負けてもいない状況です。短期で決着がつかなくてもこの状態を守りきる=生き残るのが戦いにおける最大の目的です。



 そしていざ短期決戦を行う際に重要なのが、手の内を隠しつつ相手の急所を狙うことです。孫子はこれを詭道(騙し合い)と呼んで戦いにおけるポイントだと主張しています。情報の格差をいかに作るかが戦いの有利不利に大きくつながってきます。


 他にも孫子は組織論やパターンごとに取るべき戦略なども述べています。




 また、本書の特徴として「どう現在に応用するか?」をかなり念頭に置いていることがあります。スポーツや格闘技、ビジネスなどいわば現代の戦いの世界にいる人々へのインタビューを通して筆者が得た知見を孫子と結びつけつつ紹介しています。

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