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基礎必須英文法【品詞】

「基礎必須英文法」は以下のねらいで書きます。

1.文法の指導に役立つために。
➡文法指導する先生の手助けになれればと思っています。このブログ自体の目的です。

2.科学文法(学問文法)ではなく、学習文法(実用文法)とする。
➡厳密な文法を目指すのではなく、実用に資するために習得のしやすさを優先します。

3.最近の英語入試(高校・大学・英検などの外部入試)の傾向を踏まえたものであること、実用性から見て時間対効果の低いものは扱わない。
➡比較でのいわゆる「クジラの公式」、話法の転換、連鎖関係代名詞のようなものは扱わないということです。


「品詞」

一番初めは品詞の理解から。

高校の教科書のはじめは品詞から始まります。

品詞の理解なんて実用的な英語っぽくないので、ほとんど触れられないことが多いようです。

気持ちとしてはわかります。

「よし、これから英語頑張るぞ!」と思っているところに、いきなり品詞の勉強から入ると意欲をくじかれますよね。

しかし、品詞の勉強から入るから意欲がくじかれるというのはいいわけですね(昔の自分に言っています)。

品詞の勉強と実用英語は十分両立します。

ただ、今回はその方法はおいておきます。

品詞の勉強がなぜ重要なのかというと、品詞の理解をしっかりしないまま、先に進んでいくと、すぐに壁にぶつかるからです。

一番早い場合は第二文型の勉強を始めたぐらいかな。

SVCのCが形容詞のところでつまずきます。

TOEICでも品詞の理解を問う問題は頻出です。


では、これから品詞で扱うべきポイントを品詞ごとに書いていきます。

名詞(代名詞)

働きは「主語」「目的語」「補語」になること。これは必ず覚えてもらわなければならない。

しかし、「主語」「目的語」「補語」を定義することは難しい(1+1=2を「ペアノの公理」で証明するよりも難しいw)。

なので、はじめは「トムが走った」の「~が」に当たる部分と伝えるぐらいでよい。

たまに「~は」も主語ではないのかと質問してくる生徒がいる。

とても残念でならない。

いまだに主語は「~は、~が」で表されると説明してある本があるからだ。

格助詞と係助詞の違いが分かっていないのである。

「そばは太らない」(うちの近くの蕎麦屋の看板)で「そばは」は主語ではない。

ただ、これを説明していくと授業崩壊を起こすので、「が」に置き換えても意味が通る「は」は主語だよ、ぐらいに言っておけばよい。

「目的語」は「~を」に当たるものだよぐらいで十分(目的語を理解しようとすると「他動性」について理解が必要だが、それを中学・高校で説明したら授業崩壊を起こす)。

「補語」であるが、これについてどの参考書の説明を見ても全く意味不明なことしか書いてない。あるいは何も説明していないかのどちらか。

これも大雑把に言って「述語」のことだよぐらいで十分。それから一つ具体例を挙げる。「She is beautiful.」「彼女は美しい」で「美しい=beautiful」で述語だというぐらいにしておく。

はじめのねらいで書いた通り、「She is beautiful.」の述語がbeautifulなのかis beautifulなのか、この場合のisに意味はあるのかないのかを考えることはしない。

補語の説明で「主語とイコールのものだよ」は許しがたい。害悪だ。
(➡「第五文型は5回おいしい」)

動詞

動詞とは何かについて説明するかどうかは教える対象の生徒による。(文法は対象生徒によってどこまで教えるかが本当に異なる。)

わかっていない場合は、日本語の具体例を示して教えるのがよい。

「動作や状態を表す」などと言ったら、その瞬間に生徒はひいていく。

具体例を示して、「のばして言うと「う」になるやつね。走る~ぅ」


形容詞

これまた厄介な品詞。

働きは2つ。

1.名詞を修飾する。
2.補語(述語)になる。

ここまではいい。

だが、日本語文法ではなく、学校で国語文法を学んだ生徒は混乱する。

国語文法で形容詞とは「い」で終わるものだからだ。

「安全な」は形容動詞というらしい(名前からして意味不明)。

生徒に「形容動詞って何?」と聞いても絶対に答えは返ってこない。それでいいのだ。

ここでは動詞の時に「のばして言うと「う」になるやつ」と形で説明したが、形容詞は働きから説明する。

名詞修飾:「面白い人」「安全な場所」
補語(述語):「彼は面白い」「ここは安全だ」

どうしても形で説明したいなら、「日本語の形容詞には2種類ある。「い形容詞」と「な形容詞」がある。「面白い」は「い形容詞」、「安全な」は「な形容詞」だ。」とすればよい。

形容動詞はどうかと聞いてくる生徒がいたら、「それは形容詞。「な形容詞」とでも覚えておいて」といって、形容詞であることを理解させる。


副詞

働きから説明。「名詞以外を修飾する」。

しかし、これが生徒はなかなか理解できないらしい。

教:「副詞の働きは名詞以外を修飾することです。では形容詞を修飾するものを何というでしょう?」
生:「???」

まぁ、上のような質問をすると、生徒は形容詞を修飾する何かほかの品詞があると思ってしまうから混乱するのでしょうが、なかなかこの「名詞以外」というのが初めのうちはわかりにくいようです。

笑い話ですが、実際に合った話です。むかし、ある同僚の先生が「副詞の働きが名詞以外を修飾するというのはおかしいです!Ryan先生は疑問詞や間投詞を修飾するものも副詞だというのですか?」と怒られたことがありましたw

「疑問詞って品詞なんですか?間投詞ってどうやって修飾するんですか?」と聞き返したら、何をお前は言ってんだとばかりの表情でにらまれましたw


前置詞

かなり説明が大切な品詞。
⑴「at, in, onなど」と具体例をまずは示す。
⑵「前置詞」は「名詞の前に置く詞(ことば)」で、前置詞の後ろは必ず名詞が来ることを伝える。
⑶「前置詞+名詞」のまとまりを「前置詞句」といい、「何かを修飾する働き」をすることを示す。


助動詞

can, will, may, mustが助動詞であることは大概の生徒が知っているので、それでいいかと思います。

ただ、中学校の偏差値が55以下ぐらいの生徒になると、助動詞の後ろには動詞の原形が来るということを知らない生徒が出てくるので注意。

それと、「中学校でいちばんはじめに習う助動詞は何か?」というクイズを出すと少し盛り上がる。

だいたいcanかwillを言ってくる。

もちろん正解はdo。文法的な理由とともに説明してあげると、学力レベルが高い生徒たちは喜ぶ(be動詞が助動詞という主張には付き合わない)。

canやmayは意味を持っている助動詞だから動詞の前で見えるようになっているが、doは意味を持っていない助動詞なので動詞の後ろに隠れいているだけ。意味を持った強調のdoになれば、動詞の前に見えるようになる。


冠詞

「品詞」のところで取り立てて説明しる必要はない。


接続詞

教えるときの導入の仕方に配慮が必要な品詞。はじめは従位接続詞は教えず、等位接続詞だけでよいと思う。従位接続詞を説明すると混乱する。できる生徒でも混乱する。等位接続詞だけ説明して、「「等位」の名前からわかるように、等しい位、すなわち名詞と名詞、動詞と動詞、文と文など同じ種類の者同士を結びますよ」ぐらいにする。ただし、等位接続詞は必ず理解させる必要がある。


すでに長くなったので、ここまでにします。


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