見出し画像

今年の冬

「昨年、一昨年はエルニーニョ現象でしたが
今年はラニーニャ現象が発生する見込みで…」
一体全体誰がこんな変哲な名前を採用したのだろう。
毎朝朝食後に消していたTVを付けっ放しにしていたことに気づいたのは、突然ニュースキャスターの言葉が私の脳内で再生不可能の旗を揚げたからである。
はてなんて言ったんだろうか、
エルナーニ、エルニーノ、いやエレニャーノ、
ラニーニ、ラニャーニ、ラニャーニャ、、、
流石にこんな猫語ではなかった。報道陣がニャーニャー言ってはまともな仕事にならない。
取り敢えず今年の冬が寒いことは確からしいし、2つの単語が分からないからと言ってこれから私は何ら代わり映えしない生活を過ごすのだ。こんな朝の迫られている時にずっと気にするようなことではない。
「では春前までずっとラニーニャ現象が続くと、、」
「そうですね今日も寒いです」
「皆さん暖かくしてくださいね」
「クラスターも怖いですね、オーバーシュートしないようソーシャルディスタンスを保っていきましょう」

不意打ちにやられた。ラニーニ、いやラニャーニかもしれない。ああそんな事考えている暇はないのに。
しかし二度目となると慣れるものだ。言葉こそ分からないが雰囲気は掴めた。私は多少の達成感に満足しながら、TVを消して支度を急いだ。


引用写真 : 岩倉しおり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?