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失われた自信を取り戻す方法【3】

東京砂漠で失った自信を取り戻すべく、社会人留学を決意したアラサーの話。前回までの話はこちら→【1】【2】

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悩みを打ち明けた友人の口から出た
「誰も君の人生なんて気にしてないんだよ」

その言葉に続いて、

「『海外行ってこんなこと達成しました!』って凱旋帰国なんて誰も期待してないよ」
「自分がどういう決断したとか結果とか、周りのみんなの人生には全く関係ないんだから」

ドライに聞こえるこの言葉たちは、周りにどう思われるかを無意識に、必要以上に気にしていたその当時の私にかける「はげまし」として非常に的を得ていた。

確かにそうだ。私がここで英語や海外で生活していくことを止めて違う道を選んだところで、一体誰が残念がって、はたまた批判してくるのだろうか。

私が恐れていたのは、「勝手に自分の中で膨らませた」他人からの期待と、それに応えられなかった時の、途中で諦めたダメなやつ、という、これまた「勝手に作り上げた」周りからのレッテルだった。

そう、それまでの私は勝手に期待を背負って、勝手にプレッシャーを感じていたのだ。

***

東京で働いた間、学生時代に思い描いたような社会人にはなれず、どうやって生きていくべきかわからなくなった。

だから、考えて考えて、どうすれば学生だったあの頃の、バイタリティ溢れた日々とそれにわくわくした自分自身に戻れるのだろうと、その時の感覚をもう一度体現したくて、留学を通して学生時代に思い描いていたビジョンを実現する道に戻ろうとした。

でもその道半ばで、思うようにアクセルを踏めなくなり、アクセルを踏むための、気力という名のエネルギーも十分調達できなくなって、ついには迷子になった。

この友人からの言葉たちは、迷子になってぐるぐる同じ場所を回り続けていた私の中でストンと腹落ちした。目の前の迷路がいきなり一本道になって、長くたちこめていた心の中の霧が、すーっと晴れていくのを感じた。

語り明かして泣き明かした夜。その次の日の朝は、いつになく清々しかった。

***

それを機に、今まで掲げていた目標や宣言はまっさらな状態に戻した。そして、この留学の目的を今一度考えた。そして行き着いた答えは、

生き方を見つめなおすため。

大義名分として掲げた、もう一度自分の専門を極めるためでも、それを通して世界をよくするためでもない。この留学は、私はどう生きたいのか、もう一度探るための、新たな一歩。ゼロからゆかりのない土地で、一度全てをリセットして、今まで通って来なかった道を含めて、これから進む道を探すため。

たとえ過去の自分が宣言した通りにことが進まなくとも、いいじゃないか。そのプロセスに自分が納得し、自分の気持ちに嘘をついていない限り。

自信を取り戻すには、まだまだほど遠いけど、きっと留学する決断をしたことは間違っていない。

この一つの結論を胸に、その当時唯一進むべき方向として確信していた、「ヨーロッパに残り続ける道」を模索することにしたのだった。

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