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140字小説 「海を見る」

海岸線を誰かが歩いていた。装いを見る限り旅の青年だ。浜辺前の道路に、荷物を積んだ大型バイクが停めてある。あの年頃では自分探しでもしているのだろうか。ふと気づくと、青年はその手に白い花を持っていた。そして波打ち際で、これを海に流し、手の平を合わせた。潮騒に乗る思い出は、きっと苦い。

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