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1月7日——七種粥に舌鼓

カレンダーを見たら「小寒」とあった。昨日のことだ。 ここから節分までさらに寒さが厳しくなるらしい。【寒の入り】

今日が何の日か、私は忘れていない。午前の仕事を切り上げて、近所のスーパーに向かって「【春の七草】セット」を買う。

積み重なった山から1パック手に取ってカゴに入れるだけでいい、便利な世の中。だって、想像してほしい。昔の人はきっと極寒の野原を見渡して、雪の下から微かに春の兆しを伝える七草を探し、家族の分を摘んで帰ったのだから。

湯を沸かし、青菜を刻んで塩でさっと茹でる。【芹】【薺(なずな)】【御行(ごぎょう)】【繁縷(はこべら】【仏の座】
【菘(すずな)】【蘿蔔(すずしろ】は薄く切って加える。

炊飯器を開ければ、お粥が炊き上がっている。
茹でた七草を混ぜたら【七種粥】の完成。角切りのお餅を焼いて入れるのは、実家で昔からの定番。

青々とした野草の味がする。根菜は少しシャキシャキと歯応えがあって、カブのやさしい甘さがとろける。香ばしいお餅の焦げ目を一緒に口へ運ぶ。

お正月のご馳走で疲れた胃を癒すための食事なのに、薄味のお粥を食べていると濃い味付けがほしくなる。佃煮が食べたい。

1年間の無病息災を願う【人日】の節句。
大地に根を張った、小さな草花の力強さが五臓六腑を満たす。

参考文献
『俳句歳時記 新年 第五版 角川書店編』
(角川ソフィア文庫)

おやつを恵んでいただけると、心から喜びます。