パワーみなぎる六人の観音さま
私がお詣りに行ったお寺の中で、最も強いエネルギーを感じた観音さまたちを、ご紹介します。
京都の上京区にあります、大報恩寺さん(通称千本釈迦堂さん)の、六観音さまです。
この観音さまたちは、運慶一門の慶派仏師、肥後定慶によってつくられました。
もともとは、北野天満宮大鳥居の南門にあった、願成就寺経王堂(北野経王堂)に安置されていたのですが、寛文10年(1670年)に、大報恩寺さんに移されたそうです。
今は、霊宝殿にいらしゃいます。
霊宝殿の中の扉はすこし透明になっていて、その扉ごしからも、観音さまたちのすごいパワーを感じました。
観音さまは、人々の悩みや苦しみ、願いに応じて33もの姿に変化し、救ってくださいますが、その代表が六観音さまです。
スーパー戦隊ヒーローはだいたい5人なのに、観音さまは、なぜ6人なのか?(スーパー戦隊ヒーローと観音さまは、どこか似ているような☆)
ちょこっと解説します。
仏教では、天道、人道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の、六つの世界があるとされています。
この六つの世界、六道をそれぞれの観音さまが、担当されているのです。
☆ 聖観音さまは、(観音さまの基本の姿です)地獄道担当。
慈悲をもって、自在に救いの手を差し伸べてくださいます。
☆ 千手観音さまは、餓鬼道。
千は無限を意味します。そして、千の手のひらにある眼で人や物事を観察し、その手に持つ持物を駆使して、あらゆる苦悩から救ってくださいます。
☆ 馬頭観音さまは、畜生道。
天馬のように縦横無尽に駆け巡り、困難を乗り越えて目的を達成されます。
その奮闘が馬が草をはむのに似て、煩悩を食い尽くしてくださいます。
☆ 十一面観音さまは、修羅道。
多くの顔は、四方をくまなく見渡し、助けを求める人々を観察して、あらゆる悩みや病苦からも救ってくださるお力を表しています。
☆ 准胝観音さまは、人道。
たくさんの仏を生み出した、仏母と呼ばれています。母のような深い慈愛で多くの人々を救ってくださいます。
☆ 如意輪観音さまは、天道。
あらゆる願いを叶える如意宝珠と、あらゆる人々を教え導く、仏の智慧の教えを象徴した法輪をもたれ、苦しみから救い、願いを成就させてくださいます。
この六道すべての生けるものたちが救済され、輪廻から逃れて、極楽往生することを願って、六観音さまはつくられたそうです。
担当はあっても、私たちがお願いすれば、どの観音さまも救ってくださいます。
心を静かに…。ゆっくりと…。
順番にお詣りしながら、六観音さまのお姿を拝見していきます。
ふっくらとした優しいお顔。
厳しい眼差しの中の、深い慈悲。
しなやかな手や、流麗な衣の美しさ。
今にもお声がしてきそうな、柔らかな口元。
観音さまに向き合っていると、自分の中で何か、じわじわと変化が起きてきます。
それぞれの得意分野で、私たちを全力で、救ってくださる観音さまの心と、私たちの心が通じるのでしょうね。
もう、悩みだってお見通しなのでしょう。
自然と引き寄せられる観音さまの前で、しばらく立ち止まって、一緒に時を過ごすのもいいかもしれません。
観音さまは、観自在菩薩といいますよね。
観ることが自在。
あらゆる面から、自由自在にものごとを観ることのできる方です。
私たちも、自分や、自分を取り巻く環境を俯瞰して見ると、視野が広がって行きます。
ついつい目の前のことに囚われて、心も激しくゆらぎ、途方に暮れていたことが嘘のように、心の霧が晴れてゆきます。
また、別の角度から見ることで、自分や他者を客観視できて、柔軟に対応できたり、解決策が閃くかもしれません。
観音さまは、そのような生きる智慧を教えてくださいます。
そして、その智慧は、もうすでに私たちの中にある。
ということにも、気づかせてくださいます。
観音さまは、遥か彼方にいらっしゃる方でも、幻でもありません。
私たちの一番近いところでいつも、私たちが幸せに過ごせるように、みなぎるパワーでサポートしてくださる、心強い味方です。
大報恩寺さんの六人の観音さまは、そんなことを伝えてくださいます。
そして、私たちは、決して一人ぼっちではない。ということも。
秋も深まってまいりました。
京都の美しさが、ひときわ感じられる季節です。
お時間あれば、六人の観音さまにも、会いに行かれてみてくださいね。
今回は、長い文になってしまいました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
💗感謝💗 天海瑠璃
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