法の下に生きる人間〈第79日〉

利息制限法の改正で、借主が以前よりは安心できる状況になってきたことは、昨日までの解説で理解できたことだろう。

今日は、貸金業者側がどのように法律の縛りを受けているかを、貸金業法をもとにみていこう。

貸金業法は、第52条まであるが、そのうち第12条の2から第24条の6までは、貸金業者の業務について定められている。

それらの条文の中でも、特に重要なのが、第17条と第18条である。

「17条書面」や「18条書面」といわれているが、具体的には契約書面と受取証書のことである。

これらを私たち借主に交付することが貸金業者に義務づけられていて、しかも明示する項目も決められている。

次に、実際の条文の一部を示そう。

(契約締結時の書面の交付) 
【第十七条】
貸金業者は、貸付けに係る契約を締結したときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項についてその契約の内容を明らかにする書面をその相手方に交付しなければならない。当該書面に記載した事項のうち、重要なものとして内閣府令で定めるものを変更したときも、同様とする。 
一    貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所 
二    契約年月日 
三    貸付けの金額 
四    貸付けの利率 
五    返済の方式 
六    返済期間及び返済回数 
七    賠償額の予定に関する定めがあるときは、その内容 
八    前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項

(受取証書の交付) 
【第十八条】
貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けたときは、その都度、直ちに、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面を当該弁済をした者に交付しなければならない。 
一    貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所 
二    契約年月日 
三    貸付けの金額
四    受領金額及びその利息、賠償額の予定に基づく賠償金又は元本への充当額 
五    受領年月日 
六    前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項 

2    前項の規定は、預金又は貯金の口座に対する払込みその他内閣府令で定める方法により弁済を受ける場合にあつては、当該弁済をした者の請求があつた場合に限り、適用する。

以上である。

これらの書面には、貸金業者の商号だけでなく、貸付けの利率など返済に関する情報が記載されているわけだから、もしトラブルになったときは、これらを弁護士に提示すればよいのである。

また、返済が完了するまでは紛失しないように保管しておく必要があり、完了後も、それを証明する受取証書は一定期間、大切にしまっていたほうがよい。

以上に述べたことは、最低限の知識ではあるが、実はまだまだややこしい取り決めはある。

勘違いしやすいことも多いので、引き続きお読みいただけると幸いである。


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