世界の民謡〈1〉帰れソレントへ

イタリアのナポリは、有名な観光地の一つだが、イタリアの地図を見ると、ナポリ湾をはさんでナポリと向かい合っている「ソレント」という町がある。

ソレントの西側には、カプリ島という島がナポリ湾に浮いていて、ソレントの東側は、有名なアマルフィ海岸がある。

ローマは、ソレントやナポリから見て北西の方角に位置する。

ソレントは、ソレント半島にあるのだが、ソレント半島の南側には、シチリア島がある。

シチリア島のさらに南側には、マルタ共和国のマルタ島がある。

これらの美しい景観が一望できるソレントの魅力を伝えるべく、1902年、当時のイタリアの首相だったジュゼッペ・ザナルデッリがソレントを訪れたとき、ソレントの市長がPR曲として紹介したのが『帰れソレントへ』という歌である。

作詞作曲は、クルティス兄弟が担当した。兄のジャンバッティスタ・クルティスは詩人だったので作詞を行い、弟のエルネスト・デ・クルティスがピアニストだったので作曲した。

2人ともイタリア人だが、ジャンバッティスタ・クルティスは7人兄弟の長男で当時42才であり、エルネスト・デ・クルティスは末っ子だったので27才だった。

『帰れソレントへ』は、愛する女性が戻ってくることを願う思慕の情も歌われている。

【原曲歌詞と邦訳】
Vide ‘o mare quant’è bello, spira tantu sentimento, Comme tu a chi tieni mente, Ca scetato ‘o fai sunnà. 
見てごらん、なんて美しい海。たくさんの感情が溢れてくる。君の優しい言葉が夢の中へと誘う。 Guarda gua’ chistu ciardino; Siente, sie’ sti ciur’ arance: Nu prufumo accussi fino Dinto ‘o core se ne va… 
見てごらん、この庭を。オレンジの香りを感じて。 その芳醇な香りは君の心に届く。
E tu dice: “I’ parto, addio!” T’alluntane da stu core… Da sta terra del l’ammore… Tieni ‘o core ‘e nun turnà? 
あなたは言う、「さよなら」と。私の心から遠く、この愛の地からも戻る心はもうないのか? 
Ma nun me lassà, Nun darme stu turmiento! Torna a Surriento, Famme campà! 
ねえ、行かないで。私を苦しませないで。帰れ、ソレントへ。私を助けて。

以上である。

イタリア語の歌詞をどう発音するかは、ユーチューブで聴いてみてください。


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