少し強くなれる匂い

物心ついた頃から、いい匂いが好きだった。もっと言うと香水が好きだ。さらに矛盾したことを言うと、そんなに鼻がよくないのに香水が好きだ。繊細な匂いは近くによらないと嗅ぎ分けられないはずなのに。

最初につけた香水は、ディズニーの絵柄のミストだった。ピンクのプラスチック瓶に入った甘い匂い。しゅっと吹きかけると一気にいい匂いになる。すぐに夢中になった。学校に行くのにも、お出かけをするのにも常に付けていた。なんなら家にいるだけの日にも。

鼻が悪い弊害としては多めにつけないと、匂いが分からないということ。実家にいた頃、何度も母に付けすぎだよと言われていたっけ。ちょうどテレビでアーティストの人が香水が好きすぎて、頭から足の方まで付けまくってるというのを観て真似していたのもある。

それからというもの私の机の上には、香水の瓶やボトルが何本も並ぶようになった。1番好きだったのは、インカントチャーム。入れ物がハートのような形で可愛らしいし、匂いがどタイプだった。好きだった人が、ほかの女の子が付けてた匂いが好きだったと話すのを聞いて迷わず買った。本人もなんの香水だか分からないと言っていたのに、店頭で端から端まで匂いを嗅ぐ中でこれだという謎の確信があったのだ。彼と会う時はいつも付けていたし、片思いのパワーなるものは凄い。 

自分専用の香水を作ったこともある。友達と京都旅行に行った際に、神戸で香水を作れるところがあるんだってと聞き電車に揺られて行ってきた。靴屋さんの上に入っている小さな部屋で、カウンセリングなるものを受けながら香水が作られていく。その時も甘い匂いを希望したっけ。神戸は一昨年ちゃんと観光しに行ったけれど、それまでは香水を作った場所だった。

最近はすっかり香水を付けなくなった。深い意味は無いけれど引き出しに閉まっていたら、すっかりご無沙汰になってしまったのだ。新しい香水を探してもいいけれど、まずはあるやつから。今はたまにsamurai womanの薔薇のを使っている。付けるだけでちょっと自分が強くなれる気がするのは変わらないし、香水がふんわり香る人になりたいなと思う。


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