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「私が、着物図案家となるまで」

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2021年11月の記事一覧

着物の思い出

着物の思い出

 最初の思い出は、金魚の浴衣です。
 3歳くらいで着ていたサッカー生地(縦の縞糸を縮めてしぼを作った縮織)の注染のゆかたは、肩揚げ腰揚げがあり、暑いのをがまんして、ひらひらする兵児帯を結んでもらい、夏場にはよく着ていたとおもいます。
 七五三の着物は、買いにいった記憶もあります。西武百貨店池袋本店。青緑の地色にチョウチョの柄、黒地の帯。着付けは美容院で、髪を結うのも着るのも苦しかったですが、着物の

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兵隊が家にいる家庭

兵隊が家にいる家庭

 父親のことを、兵隊だと思ったことはありません。何でもやる人だなあとはおもっていました。

 大きくなって、「ベトナム帰還兵が、市民生活になじめず森の奥に一人でサバイバルしながら住んでいる」といったニュースを聞くと、「おや……そうかもしれないな……」と分かってくるのです。

 当時父は、夜寝ているとよくうなされていて、寝言というより結構な大きな声で、ワーワー言ってました。父親ってよく夜うなるんだと

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少年兵の経験

少年兵の経験

 父親の子供時代とくらべるのはなんですが、私は小学校4年くらいまではどの勉強もおもしろく、折り紙もすきだったので立体把握は他の人より早かったかもしれません。算数も国語も理科も好きでした。美術は得意で、その時描いた絵も思い出せる気がします。皆と一緒の授業でも、自分だけの課題を設定しながら描いてたとおもいます。

 中学入試のために5年生くらいから近所の学習塾に行き、それもたのしかったのですが、小学校

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