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NPOカタリバ・経産省とnoteで開催した「#みらいの校則」投稿コンテストの審査結果を発表します!

2021年9月27日から12月31日までの約3ヶ月の間、校則についての考えやユニークなアイディアを募集した「#みらいの校則」投稿コンテスト

投稿期間中には、316件もの作品をご応募いただきました!
校則についてのご自身の体験やこうあってほしいというアイディア、校則見直しに取り組んでいる方々の思いなど…素敵な作品を投稿いただき、ありがとうございました。

「#みらいの校則」の応募作品は、こちらをご覧ください。

投稿期間終了後、つぎの審査員のみなさんと審査会を開催しました。
・浅野大介さん(経済産業省 商務・サービスグループ サービス政策課長(兼)教育産業室長)
・若新雄純さん(慶應義塾大学特任准教授/株式会社NEWYOUTH代表取締役)
・真下麻里子さん(弁護士/ NPO 法人ストップいじめ!ナビ理事)
・古川真愛さん(武蔵野大学アントレプレナーシップ学部1年)

以上の4名と、みんなのルールメイキングプロジェクト事務局による選考の結果、グランプリ1作品、審査員特別賞4作品、入賞5作品が選ばれました。

審査員のみなさんからいただいた、受賞作品へのコメントとともにご紹介いたします。

グランプリ

■ 破る校則、生きる校則

自分が高校生の頃は校則はバカバカしく意味のないものだったと語る作者のシマフィーさん。現在は勤務しているアメリカの私立校では4つの大雑把な校則があるといいます。たった4つの校則にいろんな意味・解釈が込められており、生徒は校則の意味や、なぜ教室に掲げられているか等を考えさせられる時間が設けられているのだそうです。生徒は校則をいわば使って、学校生活でのふとした課題に対して柔軟に声をあげていると教えてくれます。
「生きる校則」は毎日活躍し、みんなが納得していて、馬鹿らしいとも思っていない、そして忘れることもないというシマフィーさんの作品が「#みらいの校則」にふさわしく、多くの学校が目指していきたい在り方という理由でグランプリに選ばれました。

浅野大介さんより
この作品はとても短いが、「シンプルで、抽象度の高いルール」の大事さを教えてくれる。作品中で紹介されたような校則の良さは、生徒にも先生にも「何が大事か、何が本質か」を常に立ち返る思考習慣を求めてくるところにあり、良いルールというのは「単に遵守すべき規則」でなく、「何か判断に迷ったとき、立ち返れる拠り所」のように機能するものだということに気づかさせてくれる。
逆に、達成したい目的との関係性や合理性も曖昧なまま、細かくゴチャゴチャと規制をする(日本の校則によくある)ルールは、生徒や先生から「何が大事か、何が本質か」を自力で考える癖を奪い、依存させる、麻薬のような存在にもなる。
大人の視点で、中高生たちにも役に立つルールメイキングの要諦をシンプルに凝縮した作品だと感じました。
若新雄純さんより
もし、「未来の校則」というものが本当にあるんだとしたら、それはもう、僕たちが知っている「則」じゃない。人間のもつ欲望や生きる力を制限・管理するためじゃなく、可能性をひろげるために「則」を考え、つくっていく。同時に、僕たちは決して一人で生きているわけじゃないってことも、忘れない。窮屈じゃなくて、あたたかくて、寂しくない。「ルールメイキング」という新しい学びに取り組むすべての人たちが、最初に読んで、味わって、話し合えたら、いいな。そんな作品です。
真下麻里子さんより
法や規則は、私たち一人ひとりが“個人として尊重されるため”に存在している。しかし、教育現場でも私たちの社会においても、この前提が驚くほど共有されていない。その要因の一つとして、子ども不信又は過剰な保護に基づく「校則」の存在は外せないだろう。子どもが道を外れないように大人が先回りして多くの制約を課してしまう。子どもに対する愛の表れともいえるかもしれないが、失うものも極めて多い。
4つの校則の根底には、子どもに対する厚い信頼がある。子どもたちは、4つを指針に自分の頭で考えて行動し、結果として自分のことも他者のことも尊重している。私たちはもっと「子どもを信頼する自分たち」を信頼してよいのではないか。
古川真愛さんより
グランプリ受賞おめでとうございます。まず、タイトルがとても好きです。このタイトルだけで、「今の校則がどうなっているのか、これからどんな校則を目指していけば良いのか」を考えさせられました。ご自身のアメリカでの体験談は、生徒が校則を活用してより良い生活を手に入れる、というお話だったのが印象的です。私たちがこれから紡いでいく校則がどのようなものであれば幸せな生活を送れるのか、を明確に示しているものでした。校則を架け橋に生徒や先生の絆が生まれているという事実や、校則は私たちで命を吹き込むものであるというメッセージを、この作品を通して多くのルールメイカーたちに知ってほしいです。

審査員特別賞

■「生徒会でもない、ただの生徒の僕が校則改正に取り組む理由」

LGBTQ+の友人と出会い「男子の長髪禁止」の校則を変えようと活動するが、そもそもルールを変えるためのプロセスが複雑で、ルールが変わりにくいということに気付いた作者の藤田崇都さん。校内でアンケートを取るなど生徒会ではない個人としての活動のなかで得てきた藤田さんの経験を多くの人に読まれたい作品として特別賞に選ばれました。

浅野大介さんより
高校生ながら、プロの役人が日々の仕事で感じる葛藤と、ほぼ同じような葛藤を抱えながら、試行錯誤に熱中している様子をビビッドに描いた好作品でした。まず感じた「疑問」「怒り」「なんとかしてやりたい欲求」というアクションの原点を大事にしている。しかし「どんなルールにも理由がある」視点で知ろうとする謙虚さや、無関心な人や自分と正反対の意見の人たちが大勢いることに驚きつつ受け止める姿勢もある。そして「手続きの適正さがすべてであるが、それにしてもこの手続きはなんだ!!」というもどかしさを抱えながらも手続きを踏む姿勢。「基本のキ」を見事に押さえた経験は、一生ものだと思いました。社会で、きっと楽しい仕事が待ってますよ。

■「サッカーばかりしてきた私が変えたいと思った学校の現状。」

自身の学校の校則を見直そうと活動してきた作者のMireさん。先生たちと理解し合えず、精神的にも追い詰められ一時は学校内での活動からしりぞきました。しかし追い詰められていたので先生と自分が常に対立してきたことによるものだと反省したMireさん。正義を押し付けている自分を見つめ直し、対話を試みているという成長があらわれた作品として特別賞に選ばれました。

古川真愛さんより
審査員特別賞受賞おめでとうございます。個人的に、一番強い印象を受けたのがこの作品でした。一つひとつの出来事も衝撃的でしたが、それと同時に校則を変えるということが抱えている「意識的な問題」を、先生、生徒の両面から書き出されていたのが、素晴らしかったです。一度活動を離れ、再び戻ってきたというのも印象的でした。自分の正義感を問い直し、活動を離れたからこそ、自分の思いを再度確かめることができて、より高い次元で問題に対する洞察を行うことができたのだと思います。そして、校則という所から対話の重要性を抜き出すことができた。これは、間違いなく武器になります。今後の活動も頑張ってください。応援しています。

■「とある学校の校則改革にNHKのディレクターが1年かけて参加してみます」

校則見直しに取り組む栃木県の高校に、本プロジェクトの社会人コーディネーターとして参画してくださったNHKのディレクターの藤田さん。はじめは取材をする側の立場だったが、話を聞いていくうちに課題解決に取り組んでみたい、新しいことに挑戦したいとコーディネーターを志願。記者として、また一人の社会人として生徒・先生と共に向き合う様子が綴られています。

若新雄純さんより
とあるジャーナリストの友だちが、僕にこんなふうに教えてくれました。「ジャーナリストの仕事は、“現場を代わりに見てきて伝える”ことなんだよ。でも、結論はみんなのもの。そこは残しておかなきゃ」 この作品はまさに、「ルールメイキング」という新しい現場を、代わりに学んでみてくれて、そして伝えてくれています。でも、その学びの結論は、はっきりとは書かれていません。その続きは、僕たちが、それぞれの現場をつくり、自分たちなりに学んで、見つけていこう、ということなんだと思います。

■「たとえ校則が変わっても、わたしがズボンを履くことはありません。」

中学生になり「スカートを履きたくない」という自分の違和感を起点にはじまった、kodamaさんの校則見直しに向けた活動。自身の育ってきた環境からおかしいものにはおかしいと言うことを学び、実際に声をあげたものの物事は変わらなかった経験から、先生と対話を重ね言葉の背景に共感する姿勢が綴られた作品として特別賞に選ばれました。

真下麻里子さんより
「なぜ女性という理由でスカートを履かねばならないのか」というシンプルな問いにドキッとした。スカートを履いたら安易に足を大きく開いたり上げたりできなくなる。身に着けるだけで行動が制約されるのだ。「スカートを履かせる」という些細な行為が「女性らしい振る舞いの押し付け」に繋がるかもしれないことに、恥ずかしながら今気づいた。少なくとも「選択肢を与えない」ことが「特定の行為を強制する」という意味で、ある種の暴力性を孕むことは間違いないだろう。
「多くの人が納得する解を」と結んでいるが、大人は彼女にそんな“譲歩”をさせて本当に良いのか。求められるのは“互譲”という名の“対話”なのか。大人たちの価値観が問われている。

・・・

入賞作品

審査結果については以上となります。投稿期間は終了しましたが、校則についての考え・アイディアを「#みらいの校則」に投稿すると、みんなのルールメイキングプロジェクトのWEBサイトnoteで紹介されることがあるかもしれません!

是非、これからも引き続き投稿してみてください。
ほかの投稿作品についても、以下URLよりご覧いただけます。

コンテストを振り返って

以下、みんなのルールメイキングnote担当からのコメントです。

まずは「#みらいの校則」投稿コンテストに応募してくださった、すべての皆さまにお礼申し上げます。素晴らしい作品を寄せてくださり、本当にありがとうございました。ユーモア溢れる作品や「あの頃」を思い返す作品、中高生として今まさに葛藤している様子を描いた作品を通じて、さまざまなエピソードに出会えました。ルールってなんなんだろう?みらいの校則ってどういうことなんだろう?といった「問い」に多くの方が取り組んでくださった機会になったのではないかと思っています。わたしたちが取り組んでいる「ルールメイキング」という活動は、まさにこの問いからすべてがスタートします。この投稿コンテストが身の回りの当たり前のルール、校則に対して立ち止まって考えてみるきっかけになれば幸いです。これからも一緒に「みらいの校則」をつくっていく仲間として、皆さんの校則・ルールに対するアイディア・考えを発信し続けていただきたいです!

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みらいの校則