得体の知れぬ洋館の主。
昼間でも薄暗い、しゃがれた木々がざわめく不気味な森。命の気配は乏しいのに、光を必要としない「なにか」は棲んでいそうな、そんな森。
見上げてじっと目を凝らせば、陽の光を覆うそれは木々ではなく無数の鳥であることが伺い知れる。どれくらいいるのか、見当もつかないほどの羽の塊まりが身を寄せ合い、感情の存在など到底あやしい瞳で地上の私をじっと見返してくる。
そんな森の奥には、小さな洋館がある。電波と電気に頼らなければ何もなせないようなこの世の中で、どう暮らしを成立させているのか謎だが