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『メディアミックスをしない方が平和に漫画を描ける』との選択

「芦原先生がブログでドラマの脚本家とのやり取りを告発してから、何故か突然そのブログやXのポストを消して、自殺に至った経緯、その『何故か』が解りません。闇の中です。それがわからないと、これから同じ事件が起こらないために出版社が作家を守るために何をするのかも解りません。私はこのコメント文を読んで、自殺に至った経緯は『表に書けない酷いことが起こった』としかとれません」と私見を述べた。
さらに「あのコメント全文では、何と言うか、編集者達の後悔などを沢山書いていましたが、言ってしまえばその情に訴えるコメントで肝心な部分を誤魔化しているようにも見えます。多分漫画家さん達の不安は取れないでしょう。もちろん私も同じで、これから自分の漫画をメディアミックスしようとする時に『メディアミックスをしない方が平和に漫画を描ける』との選択も大いにあります。少なくとも100%安全な契約書が確認できない限りは動かないでしょう。出来れば日本テレビの方でも事情を説明して欲しいのですが、絶対に出そうも無いですね。小学館ももう触れないのでしょう」と続けた。


1次創作者において、この流れが主流になってほしいと個人的に思っている。
今回で言えばマンガではあるが、自分は趣味で文章を書くタイプのニンゲンなのでこれには小説も当てはまると思っている。
理由はシンプルで、小説と言うモノは、ドラマはもとより、アニメはもちろん、マンガの『原作』にもなるためである。

原作者は自分の書いたモノの扱われ方についてよく考えるべきであるこれは当然。
昨今の問題は、その原作者が自分の書いたモノの扱われ方を論じた際に、何故かそれを使わせてもらう側がナマイキであることに因ると思っている
スゴいよな、『首輪付けとけ』だの「黙らせろ」だのという言葉が制作側・出版側から原作側に行くんだから。流石に界隈まるごとの体質を疑う。何様のつもりでいるんだか。

今回の件の諸悪の根源とも言える部分はテレビ局——というか、映像制作の側であることは概ね共通認識として広まってきていると思う。
が、本来であれば中庸の折衝役でなければいけない立場なのに、制作側に阿る出版社側も同罪だと思っている。原作はそれなりに保持保有する(保護するとは言ってない)が原作者は割合どうでもいいものという考えを持っている雰囲気を、何となく察することは難くないはずだ。



この記事の最後でも言っているが、再掲する。

創作の形態に貴賤関係が生じてはならない。
    〜中略〜
私は「メディアミックスを文芸賞典の景品にすること」を是と思わない。

御子柴流歌note『「『ゼロからの創作』が一番強い」、本来であれば』より引用


何らかの賞典で『出版化・書籍化』がダシにされる。それはまぁ良い。何歩か譲っても、あるいは譲らなくても、それなりに許容できるし自然なところだ。
書いたモノがカタチになって世に出されるのだ。しかも、書いたモノが(ほぼ)そのままで。だとすれば、比較的悪い話ではないと思われる。
——まぁ、言わせてもらうなら、出版社から販売されることを箔が付くことだと思わない限り、本にして綴じるくらいならば自分でも出来てしまうことだが。

まぁ、いい。今回のポイントはそこではない。

この『書籍化』というところに加えて『マンガ化・コミカライズ』になると話は少し違ってくる。

その物語を、『原作者』という立場になるために書いていたか?
中にはそういう人も実際居るとは思うが、でも本来は違うと思う。


出版社は体よく扱える原作が欲しいだけなのではないか——という可能性を今後は疑ってかかるべきなのだ。
メディアミックスというのは結局出版社と映像制作側がお手軽にドラマなどの元ネタを回収するための口実に過ぎないのではないか——という可能性を今後はしっかりと疑ってかかるべきなのだ。




かつては自分も、賞レースに勝ってどこかの会社から本になったら良いね、副収入として印税って書けるようになったらすごいね——くらいのことは思っていた。

が、今はもう違う。

正直に言ってしまえば、好き勝手な話を書いて、それがどこかの界隈で一定のウケを採れたら充分だと思える。
出版社から書籍として出ることも「箔が付いた」とは思えなくなった。何なら「第三者の手垢が付けられた」とすら思えてしまう(原作と制作の話からは逸れるが、昨今は賞を獲らせた作家を育てようとする風潮も消えていて、『何か人気っぽいし、本にしたらカネになるんじゃね?』みたいな香りを強く感じている)。


——お高く止まる出版業界&映像制作界隈のことだから、彼らからすれば『クソ生意気なことを垂れ流す素人』、『モノ言う原作者』なんか使いたくないと思うので、これはある意味では「Win-Win」だろう。

界隈の穢い話に巻き込まれるのは真っ平御免だ。

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