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神さまのジャンプ
むかしむかし、そのむかし、神様は人間と同じ大地で暮らしていました。
神様は1日のほとんどを眠って過ごしました。
神様の起きている時間はとても短くて、せっかく人々がお参りに訪れても、
願い事を聞いてもらえずにいたのです。
やがて、国は乱れ、戦が起こりました。
「騒がしいのは嫌じゃ」
神様は、おうちごとジャンプして、お山へ引っ越しました。
「ここなら静かに過ごせるじゃろう」
神様は安心して、来る日も来る日も眠っていました。
人々は、いなくなった神様を必死に探しました。
ようやく神様を探し出して、人々は神様のもとへお参りに行きました。
けれども神様は、また眠りを邪魔されたとお怒りになり、
別のお山へジャンプしたのです。
大地では再び戦が起こりました。
人々は、その度に神様を探し出しては、世の平和を願いました。
神様はそのたびに、人々を避けてはジャンプしました。
神様が何度ジャンプしても、神様の行く先には、人々が訪れました。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63542850/picture_pc_dc23f0a87ad8c58facca8f79eff8f460.png?width=1200)
いつしか時がたって、地上には高いビルが立ち並んでいました。
神様はビルの屋上へ行ってみたくなりました。
神様は、おうちごと大きくジャンプしました。
神様のおうちは、ビルの屋上へ移りました。
ここには、木も草も生えていません。神様は急に寂しくなりました。
すると、人々がやってきて、神様のためにビルの屋上に、田んぼや茶畑や小川まで造ってくれたのです。
神様が耳を澄ますと、小川のせせらぎが聞こえて来ました。
神様はそっとおうちの扉を開けて、外へ出てみました。
神様は田んぼへ行きました。
風に揺れる青い苗が、お日様の陽を浴びて煌めいていました。
神様は、自分のために皆が作ってくれた、自然の素晴らしさに感動しました。
あれから、どれくらい時が経ったのでしょう。
人々は、戦や災害や流行り病と戦いながらも、神様を守ってきたのです。
「何と言うことだ、守るべきは私の方だ」
自分の使命がはっきりとわかった神様は、それからは、お参りに訪れる人の
お話に、耳を傾けるようになりました。
おしまい。**
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64178190/picture_pc_6778aeba3930786fb03c49786ed1c7d7.jpeg)
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このお話は、JA大手町スカイガーデンをヒントに書きました。
祠の神様にご挨拶をした際に、
「神様がここまでジャンプしたら面白いだろうな」と思ったのです。
ビルの上にある人工の小川も茶畑も、まさに、人が神様のために造ったものです。
人が神様をお護りし、そして人もまた、神さまに守られています。
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