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柏木流香
2021年10月13日 20:31
私がまだ小学生の頃、父の会社の社宅に住んでいたことがある。父は転勤族で、私が小学校へ入ってから、これで三度目の引越しだった。住む家も、学校も、友達も、何度も変わっていくうちに、いつしか私は友達を作らなくなっていった。社宅は、多摩川にほど近い場所にあった。「着いたぞ!」父の運転する車が、新しい社宅へ到着した。私は黙って車から降りると、父の後に着いて行った。今度の部屋は5階で、