僕がラグビー登山家になるまで 30歳 | エンブレムを見てこの冒険を思いついた時の話 ②
僕は芸術の専門家ではないが、世界中放浪している身として、そこそこの数の博物館と美術館に訪れている。
世に知られている名作だけなく、名だたる美術館に置かれている美術品というのは作成者の遊び心やメッセージが記号として描かれている。何かしらの秘密がそこにはあり、絵画を眺め、それを読み解く作業というのは芸術ならではの楽しみになのだと思う。
世界的スポーツイベントのデザインには何かしらの秘密が隠されている。東京オリンピックについて、エンブレム騒動湧いた佐野氏が作成したデザインは1964年に開催された東京オリンピックの「オマージュ」であると読み取れる。その後に発表された野老氏が作成されたオリンピックとパラリンピックとのデザインは同じ図形をずらされてデザインされており、「粋な日本らしさ」が表現されいる。
RWC2019のエンブレムを見た時に、みんなはどう思ったのであろうか?
単にダイヤモンド富士が爪みたいなフレームの中に描かれているものと思ったのではなかろうか?
エンブレムには大会そのものをデザインするパワーがあり、何も意図がなく、単にカッコイイから、カワイイからでデザインは採用されないはずだ。
2014年11月。世界のラグビーの統括団体がIRBから組織名称をWorld Rugby(ワールドラグビー)に変更した。エンターテイメントの多様化の時代、ラグビーをもっと開かれたスポーツに変わらなければならないとの願いがそこにはある。
それまでのラグビーW杯のエンブレムというのは、同じデザインの使い回しであった。しかし、2018年のサンフランシスコでのセブンスラグビーW杯から一新した。
爪みたいなフレームはWRの「伝統」を象徴したものであり、そこに開催都市のシンボルを重ね合わせるというのが、ラグビーW杯のエンブレムの方程式である。そこには「伝統」と「拡大」双方を重んじるものとの文脈が読み取れる。
ではなぜあのデザインであるのだろうか?
海外の人から見て、日本のシンボルは「富士山」であるのは十分に理解できる。しかし、なぜ「ダイヤモンド富士」なのか?「日の出」は何を意味するのか?
一つの仮説として「日の出」は「地球」であること。もう一つは「ラグビーボール」。
あのデザインを眺めながら、各々の記号が何を意味しているのか想像に耽るのも楽しい一時である。
ちなみに僕は「富士山」の山頂に「ラグビーボール」がトライされているイメージを想起させる意図があるものだと僕は読み取った。
それを作成チームが意図したかどうかは知らないが、仮に意図しなくても、エンブレムから生まれたこの冒険は「地球」そのものをキャンパスにした壮大な芸術になり得ると考えている。そのキャンパスの大きさはオリンピックの聖火リレー(アテネからオリンピック開催都市)よりも大きく、3 polls challenge や世界七大陸最高峰よりもきめ細かいものだと個人的には考えている。
この冒険は芸術であり、発見であり、2019年9月とお尻が決まっているからこそ、何としてもやりきりたい。
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