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【レビュー】vs富山|J3 第8節(続き)【松本山雅2023】

選手たちが、戦う術を十分に与えてもらえない。

そんな試合を、イングランド・プレミアリーグが好きで全試合観ている、戦術オタクな自分の視点で振り返っていきたい。



2023.4.29
J3 第8節

カターレ富山
×
松本山雅FC



※前回の続きになっています。


~スタメン~

富山(青):4-2-3-1
山雅(白):4-2-3-1


~技術は足りないのか~

失点シーン

以下は1失点目についての監督のコメント。

――失点するまではチャンスを作っていましたが、そこから失点して暗転しました。失点するまでと失点してからの展開は、どう見ていましたか?

1失点目は我々がやろうとしているピルドアップが後ろ向きになって、そこにプレッシャーをかけられて拾われてのシュートでした。自分たちの自滅で失点をしてしまうとなかなか難しいと思っています。それをきっちりはがせるようになるにはまだまだ技術が足りないし、割り切って思い切り蹴るところにはまだまだ勝負強さが足りない。両方足りなかったと思います。

8節の監督コメント

技術が足りないから失点した、ということだが、本当にそうなのだろうか。

失点までの一連の流れを振り返っていきたい。

38:32のシーン。
パウリーニョが常田へパス。

パウリーニョから常田へ。

パスした直後、パウリーニョはボールにただ背を向けてジョギングしているのだ
が、このときすぐにポジションを取り直してパスコースを作れば、常田からパスを受けることができたはず。

すぐにパスコースを作っていれば…

まず、そこがもったいない。

そして、その後の38:36のシーン。
常田が村山へパス。

村山へ。

このとき、富山FW高橋が村山に寄せるのだが、高橋一人で常田とパウリーニョへのパスコースを両方塞ぐことができている。

常田にもパウリーニョにもパスを出せない。

常田には、もっと下がって、パウリーニョとしっかり角度をつけてパスコースを作ってほしかった。

常田がしっかり下がっていれば…

結局、村山は野々村にパスを出すしかなかった。

野々村へ。

そして、38:41のシーン。
野々村が下川へパス。

下川へ。

このとき、まずパウリーニョには、もっと近寄ってパスコースを作ってほしかった。

パウリーニョが近寄ってあげていれば…

また、野々村には、下川からのバックパスのコースをしっかり作ってほしかった。
作っていないとまでは言わないが、不十分だった。

野々村が下川の後ろにしっかり入ってあげていれば…

実際、下川からのバックパスが来て、ロングボールを蹴ることになるのだが、コース作りが不十分だったため、野々村は身体がやや後ろ向きの状態で強引にロングボールを蹴らなければいけなくなっていた。

そのため、飛距離が伸びず、危険な位置でパスカットを食らってしまい、そのまま失点した。


失点シーンを振り返ってみて分かるのは、技術どうこう以前にまずポジショニングが足りない、ということ。

パウリーニョも常田も野々村も(もしかしたら他の選手も)、ボールホルダーを助けるために、より良いポジショニングを取れたはずである。

どういう状況でどういうポジショニングを取るか、というのは、やはり監督が示すべきなのではないかと思う。


不遇なSB

最近の監督からは、選手の技術やクオリティのせいで勝てていない、というようなニュアンスの発言が少し目立つ。

両サイドバックにはもう少し奮起してもらいたいと思っています

5節の監督コメント

という言葉からも、特にSBに対して不満を感じている気がする。

しかし、SBの選手たちは(少なくともJ3の中では)十分高い技術を持っているはず。

8:04では山本、14:32では下川、53:46では藤谷が、パスコースがない状況でも完全に個人技で局面を打開してくれている。
特に下川は三人に囲まれた状況を一人でこじ開けている。

それでもまだ技術が足りないと言うのか。


矛盾

技術が低い選手は、確かにいる。

パウリーニョと榎本は、技術に関しては大分足りていないと自分は思う。

ただ、だとしたら、技術を求める監督が、どうしてこの二人を起用し続けているのだろうか。
二人よりずっと技術の高い選手たちが山雅にはいるはずだ。

おそらく、技術以外の面で二人を起用する理由があるのだろう。
ただ、もしそうなら、その二人を起用しても勝てるような仕組みを整えるべきなのではないのか。

技術不足の選手を起用しておいて、それで結果が出なかったら、技術が足りないと嘆く。
それはおかしい。

身長の低い選手を11人起用しておいて、「セットプレーで勝てないから負けました」と言い訳していたら、誰だって「そりゃそうやろ」と思うはず。
同じようなことが起きている。

言っていることとやっていることが矛盾している。


戦術不足の中で戦わされ、それで負けたら技術やクオリティのせいにされてしまう。
そんな選手たちがかわいそうだと、個人的には思う。


~試合結果~

カターレ富山 3
40' 高橋  45+1' 吉平  90+1' 安藤
松本山雅FC   0


~希望があるとすれば~

この試合から強引にでも希望を見出すとすれば、菊井がボランチでプレーする機会を得たということだろう。

58分に住田が交代してから、菊井はボランチとしてプレーしていた。

ボランチでプレーしていて、菊井はなかなかパスコースが見つからなくて苦しんだはずだ。
前線の選手たちのポジショニングが悪いということに気づいたはずである。

この経験を活かして、次に前線でプレーするときには、ポジショニングをもっと大事にしてほしい。

去年は、ポジショニングセンス抜群の佐藤和弘という選手がいた。
でも今はいない。

この試合が、菊井にとって何かに気づくきっかけとなる試合になればと思う。


~終わりに~

以前、下川が理不尽な状況に苦しんでいるという話をした。

もしかしたら、住田も同じようなことになってしまうかもしれない。
(と思っていたら、早速メンバー外になってしまった)


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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