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【山雅】山雅は変わるのか|J3第22節【レビュー】

イングランド・プレミアリーグが好きで全試合観ている戦術オタクによる、松本山雅のレビュー。



2023.8.12
J3 第22節

松本山雅FC
×
カターレ富山



監督・選手のコメント↓



~スタメン~

山雅(緑):4-2-3-1 
富山(白):4-2-3-1

~はじめに~

  • 最近の成長

  • 試合展開・失点した理由

  • 点が取れない理由

について、見ていきたい。


~成長~

-相手ゴールキック時の立ち位置-

相手のゴールキックの時、これまではSHが非常に高い位置に立っていた。
そのため、SHとSBの間に大きなスペースが空いており、セカンドボールの回収率が低くなっていた。

そのせいで、前節鳥取戦ではセカンドボールを拾われ、そのまま失点してしまっていた。

その反省からか、今節ではSHが控えめの立ち位置を取っていた。

そのため、セカンドボールの回収率が普段より高くなっていた。

過去から学んで未来に活かす、と言えば聞こえは良いのだが、個人的には、ずっと前に改善しておくべきだったのではないかと思っている。

SHの位置が高すぎるのは以前からずっと見られていた問題である。
特に第6節北九州戦では、セカンドボールを相手の10番岡田優希に拾われ、そのままドリブルで仕掛けられていて、怖いなあと思いながら観ていたのを今だに覚えている。

改善したから良かった、というよりは、なぜ失点するまで気づけなかったのか、という気持ちの方が大きい。


-前線の選手たちのポジショニング-

以前、前線の選手たちのポジショニングが悪く、パスを引き出すことができていない、という話をした。

(以下、引用)

例えば、53:56のシーン。
安永が前を向いてボールを持った時、前線の選手が誰もパスコースを作っていない。
このシーンでは鈴木、滝、菊井の3人が前線にいたのだが、3人とも相手DFのすぐ近くに立っていて、到底パスを受けられるような立ち位置ではない。

鈴木も滝も菊井もパスを受けられそうにない。

この時、安永は「なんでパスコースを作らないんだ」と言わんばかりに、両手を広げてフラストレーションを見せている。
ボランチが前向きでボールを持っているということは、縦パスを刺す大チャンスのはずなのだが、前線の選手たちはパスコースを作ろうともしていない。
「相手を見て立ち位置を決める」と監督は言っているけれども、本当にそれができるのであれば、もっとパスを引き出せるような立ち位置を取れるはずである。

パスを受けられるような立ち位置を取らなければ、縦パスを出せない。

(引用ここまで)


特に菊井はポジショニングが甘く、その話を何度もブログで取り上げてきた。

そのポジショニングが、ここ2,3試合で急に改善されてきたような気がする。

味方からの縦パスを引き出せることが増えてきたように感じる。

変わる気配がなさそうだなと感じていたことがこのタイミングで急に改善されてきた、ということが少し不思議にも思えるのだが、とにかく、これがたまたまではなく意図的に改善されたものであるなら、非常に大きな変化である。


~試合展開~

-前半-

富山はかなりアグレッシブにボールを奪いに来ていた。

富山は2トップが山雅のCBに、ダブルボランチが山雅のボランチに積極的に寄せに行くようなプレスをしていた。

しかし、そのせいで、ライン間にスペースが空いてしまい、何度も縦パスを通されていた。


-後半-

後半はプレスを少し修正してきた。

ボランチが二人とも出て行くのではなく、片方だけが出て行き、もう一人は低めの位置で留まるようになっていた。
基本的には、アルトゥール・シルバが出て行き、碓井が留まる形が多かった。

この修正により、ライン間で受けようとする山雅の選手に対して、碓井が潰しに行くことができるようになった。

そして、それがこの試合唯一の得点にも繋がった。

失点シーンにおいて、下川が米原にパスをしたとき、前半であれば、米原はライン間で待つ鈴木に縦パスを出すことができたはずである。
しかし、このシーンでは、ボランチ碓井が鈴木のことをマークしていた。

そして、他にパスコースもなかったため、米原はボールを奪われてしまい、そのまま失点してしまった。

そもそも、FW大野のマークを受けていた米原にパスを出してしまった下川の判断も良くなかったと思う。
ただそれ以上に、富山が守備をしっかり修正できたということが、この得点に繋がったと考えられる。


~試合結果~

松本山雅FC   0

カターレ富山 1
66' 大野耀平


~点が取れない~

山雅が勝てないのは、ビルドアップから点を取れないからだ。

セットプレーまたはカウンターによる得点がほとんどのはずだ。

堅守速攻のチームならそれでも構わないと思う。
しっかり守って失点を抑え、セットプレーやカウンターを狙っていく、という戦い方なのであれば問題ない。

しかし、山雅はそうではない。
ボールを保持して、パスを繋ぎ、流れの中からの得点を狙っている。

でもそれができない。
両SBを高い位置に上がらせるというリスクを背負ってまで点を取ろうとしているが、山雅は点が取れない。

だから、今回のように、点を取るどころか、どこかでボールを奪われてカウンターで失点してしまう。


なぜ、山雅がビルドアップから点を取れないかというと、サイドを崩す術がないから。

そして、なぜサイドを崩す術がないかというと、サイドにボールが入った時のサポートが足りないから。

このブログで何度も言い続けていることだが、高い位置でSBがボールを持った時の、周りのサポートが足りないことが多い。

特に、片方のサイドから逆サイドへ一気にサイドチェンジした時は、これが顕著である。

例えば、左から右へサイドチェンジするとき。

ボランチの選手は左サイドに寄っているため、サイドチェンジした後、しばらく右サイドへサポートに行けない。

右サイドでボールを受けたSBは、後ろや横へ繋いで攻撃を作り直すという選択肢がない。
そのため、強引にでも縦に仕掛け、強引にクロスを上げるしかない。

しかし、単にクロスを上げているだけでは得点できない。
今年の山雅の試合を観ているだけでも、それを十分痛感する。

これまでクロスからの得点はあるにはあったが、実は相手DFの対応が良くなかったから得点できた、というシーンもある。
(14節讃岐戦の2点目など)

相手が集中力を切らさず守っていれば、単純なクロスではなかなか得点できない。
だから、クロスを上げ続けているだけではダメだ。
サイドへのサポートを増やして、クロス以外の選択肢を作らなければいけない。


3バック+2ボランチの形でビルドアップする場合は、それができる。

この場合は、例えば左から右にサイドチェンジした時、3バックの右の選手が右サイドでボールを持つ選手のサポートに入ることができる。

だからクロスだけではなく、様々な選択肢が生まれる。

更には、オーバーラップやインナーラップで攻撃に厚みをつけることもできる。

この試合では後半途中から篠原を投入して3バック+2ボランチのような形に変更したが、個人的にはこの形をずっと見たいと思っていた。

この形が今後うまくハマれば、山雅は今までの試合が嘘のように、どこからでも点を取れるチームに化けるかもしれない。


~終わりに~

3バック+2ボランチの形を続けてほしいと個人的には思っているのだが、果たして山雅は変わるのだろうか…



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


今年のレビューのまとめ↓


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