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【山雅】完勝は実力か|J3第19節【レビュー】

イングランド・プレミアリーグが好きで全試合観ている戦術オタクによる、松本山雅のレビュー。



2023.7.22
J3 第19節

松本山雅FC
×
ヴァンラーレ八戸FC



監督・選手のコメント↓



~スタメン~

山雅(緑):4-2-3-1
八戸(白):5-3-2


~はじめに~

3-0で大勝し、ビルドアップにおいても縦パスを何度も通したりと、山雅が強くなった「ように見えた」試合だった。


-ビルドアップがうまくいった理由-

なぜ縦パスを繰り返し刺すことができたか(特に前半)と言えば、それは相手のプレスがハマっていなかったからである。

八戸は、前節の福島と同様、守備ブロックの内側へのパスコースを切れていなかった。

プレスをかける際、2トップの佐々木と佐藤が縦に並び、左IH姫野がCB野々村に対してプレスをかけることが多かった。

八戸のプレス

この時、縦パスのコースを消すことができていないことが多く、縦パスを容易に刺せる状態になっていた。

守備ブロックの内側へのパスコースが開いてしまっていた。

山雅のビルドアップが良かったというよりは、相手の守備がうまくいっていなかった。


~試合結果~

松本山雅FC     3
19' 滝裕太  78' 鈴木国友  81' 渡邉千真
ヴァンラーレ八戸FC 0


~山雅は強くなったのか~

3-0の完勝を受けて、山雅は強くなったと考える人も多いのではないだろうか。
しかし、そう結論づけるのはまだ早いと思う。

前節の福島、そして今節の八戸は、共に5バックだった。
まだ、5バックの相手に対してうまくいっただけである。

5バックの場合、4バックとは違い、FWとMF合わせて、当たり前だが5人しかいない。
(4バックの場合は6人)

つまり、丁寧に守らなければ、前の人数が一人少ない分、守備ブロックの内側に簡単にスペースを与えてしまう。

しかも、福島も八戸も、ボールを奪いにガンガン前に出てくる。
だから尚更スペースが生まれる。

更に、両チームとも、そのスペースへのパスコースを消し切れていないままプレスをかけてくる。

だから山雅からすれば縦パスを通し放題だった。
うまくいって当然とも言える。

だから、今回勝ったからといって山雅が強いということには必ずしもならない。

そもそも、今までそれほどできていなかったビルドアップが急にできるようになるなんておかしい。
そこには何か理由があるはずだし、実際、相手の守備には綻びがあったというわけである。


山雅はこれまで4-4-2でコンパクトに守ってくる相手に対して散々苦しんできた。

やはり、4-4-2の相手に対してどれだけやれるかを示さなければいけない。

そうでなければ、強くなったとは言えない。


次節の相手である愛媛はおそらく4-4-2で守ってくるだろう。

ブロックの内側へのパスコースをなかなか与えてくれないはずだ。

前回の対戦とは違い、山雅はボールを持てる、というか、持たされるかもしれない。

ビルドアップが引っ掛かって、カウンターでサクッと失点、という未来も十分あり得る。


-不安な要素-

今回の試合を観て改めて感じた不安な要素について二つ挙げたい。


一つ目は、パスコース作りが雑だ、ということ。

例えば、53:56のシーン。

安永が前を向いてボールを持った時、前線の選手が誰もパスコースを作っていない。

このシーンでは鈴木、滝、菊井の3人が前線にいたのだが、3人とも相手DFのすぐ近くに立っていて、到底パスを受けられるような立ち位置ではない。

鈴木も滝も菊井もパスを受けられそうにない。

この時、安永は「なんでパスコースを作らないんだ」と言わんばかりに、両手を広げてフラストレーションを見せている。

ボランチが前向きでボールを持っているということは、縦パスを刺す大チャンスのはずなのだが、前線の選手たちはパスコースを作ろうともしていない。

「相手を見て立ち位置を決める」と監督は言っているけれども、本当にそれができるのであれば、もっとパスを引き出せるような立ち位置を取れるはずである。

パスを受けられるような立ち位置を取らなければ、縦パスを出せない。


二つ目は、サイドを崩す術が見られない、ということ。

このブログでずっと言い続けていることだが、高い位置でSBにボールが入った時のサポートがない(または、あるけどイマイチ)。

満足なサポートがなければ、SBとしては強引にクロスを上げるという選択肢しかない。

百歩譲って、高い位置で幅を取っているのがWGならまだいい。

ドリブルが得意な滝や村越なら、ドリブルで仕掛けて突破できればチャンスを作れることもあるだろう。

しかし、このチームでは幅を取るのはWGではなくSBの役割になっている。

ドリブルの得意な滝や村越をわざわざ内側に入らせてまで、SBに幅を取らせている。

なんだか勿体無い気がする。


要は、遅攻で上手に点を取れるチームではないということ。

今回は3-0だったが、ビルドアップからの得点は一つもなかった。

堅守速攻のチームを目指しているわけではないのだから、これでは物足りない。


-うまくいくとしたら-

一応、希望もある。
ここでは三つ挙げたい。


一つ目は、安永玲央が上手すぎる、ということ。

安永は走れて戦えて捌けて運べる、なんでもできてしまう選手である。
一つ一つのボールタッチなどを見ても、J3では明らかにトップレベルのクオリティを備えている。

特に、ボールを奪った際に、誰かにパスする必要もなく、ある程度自分で運んでいってしまう推進力は頼もしい。

この選手が無双してくれれば、なんだかんだ勝っていけるかもしれない。


二つ目は、鈴木国友の動きである。

小松がもっと下りてきてパスを受けることができれば、という話をこのブログでよくしているが、鈴木は頻繁に下りてきてパスを引き出す動きが特徴の選手である。

今後も鈴木が試合に出るのかは分からないが、鈴木の1トップがうまくハマる可能性はある。


三つ目は、國分龍司のポジショニングである。

菊井のポジショニングが良くないという話をブログでよくしているが、國分は菊井よりポジショニングが良いと思っている。

國分は相手から距離を取り、簡単に寄せられないように立ち位置を取ろうとする意識が菊井よりも高いように見える。

國分がいることでパスが回るようになる、ということはあるかもしれない。


~終わりに~

愛媛戦は今後を占う重要な試合になる。
最悪、負けるのは仕方ないとしても、せめて内容だけでも、今後に期待できるものを見たい。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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