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【読書ノート】『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』
七月隆文著


一目惚れした彼女は、実は、未来がわかる。

美大に通う「ぼく」は、彼女に一目惚れする。ぼくは、意を決して声をかけ、交際にこぎつけた。いつも、涙もろい彼女には、大きな秘密が隠されていた。

物語の主題は何か?

人生は決まっているのだろうか?

「あなたの未来がわかるって言ったら、どうする?」という問いに対して、何と答えたらよいのか。未来を知っていることは、興味深いことではあるのだけど、怖い気もする。いや、むしろ、バカにされているような気分にもなり得るのかもしれない。運命は決まっているものなのか!よく考えたりする項目ではあると思う。

私たちは、自分の人生のゴールを知ることで、より、効果的な、洗練された時間を過ごすことができるのかもしれないのだけど、一方で、先が見えていることは、生きる希望を失わせてしまうかもしれない。

私自身は、生まれて来た以上、何らかの使命があたえられているのだろうと思っている。そして、行き着く先は、神様が決めたゴールなのかもしれないのだけど、ゴールまでの道のりの中で、遭遇する分岐点で何を選択するか、ということが、自分らしさなのではないかと思う。

二人は同じ思い出を共有できない。二人の時間は逆行している。彼女が本来生きていた世界では、未来から過去に向かって時間が進む。「ぼく」の時間軸とは真逆だ。というなかなか想像するのが難しい状況なのだけどね。「ぼく」にとっては初めての出来事は彼女にとっては最後の出来事となる。

ここが何とも切なく、こころにしみる。

こんな、ファンタジーっぽい世界観の中での純愛物語なんて感動できなそうに思っていたのだけど、なかなか涙をそそられた。

映画版もビデオで見た。少し、原作とは違うのだけと、原作同様、非常に切なく、泣ける作品になっている。

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