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『最後の一句』

『最後の一句』
森鴎外著


一言で言うと、大阪の船乗り業を営む桂屋太郎兵衛が、従業員の不正に巻き込まれて、死刑を言い渡されるのだけど、自分の父は無実だと信じた長女が、奉行所に「願書」を提出して、父親は、死刑を免れるという話。

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「お上の事には間違いはございますまいから」
この一句が、「最後の一句」、奉行たちをビクつかせる一言だった。
お役所というところは、間違いのあってはいけないところ。桂屋太郎兵衛を死罪とする判定には、どんな根拠があるのか?長女らは、自分たちの命をかけて、父祖は無罪だと主張する。

「桜町天皇大嘗会執行」
天皇の恩赦がタイミングよくあった名目で、死罪を免れることができた。

今も大して変わらないのだろうけど、お役所というところはなかなか、硬直的で、一度下した判断を覆すことが、難しい。

いま、のマイナカードなんて、まさに、そのものだなあと思ったりした。何か合理的な理由があれば対応もするのだろうけどね。

以上のように考えると、本書の主題は、「お上や権力者に対する批判」ということになるのかな?

ちなみに、
江戸時代の「願書」の受理基準について探ってみた。以下のような要素が重視されたと考えられる。

1. 願いの合理性と公正性:願書の内容が合理的で、公正、公平に基づいているか否かは重要な要素。特に民衆からの願書が問題点を明確に指摘し、改善のための具体的な要望を含んでいれば、その要望が認められる可能性が高まる。

2. 社会的影響:願書が示す問題が広範囲な影響を及ぼす可能性がある場合、その願書は重視される。

3. 提出者の地位や信用:提出者の地位や社会的な信用も受理の可否に影響を与える。

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