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『人生に、上下も勝ち負けもありません 精神科医が教える老子の言葉』

『人生に、上下も勝ち負けもありません 精神科医が教える老子の言葉』
野村総一郎著
著者は、1949年広島県生まれ。1974年慶應義塾大学医学部卒業。米国留学、藤田学園保健衛生大学精神科助教授、立川共済病院神経科部長などを経て、現在、防衛医科大学校精神科学教授。日本うつ病学会理事。六番町メンタルクリニック院長。

メインテーマは、
老子哲学のなかでも重要な概念の一つが 「所詮 、物事は相対的 」というものだ 。「勝ち負け 」という概念自体あやしい、 「上下 」 「高低 」 「美醜 」などの価値観は 、すべて相対的なものだ。幸せや満足というものも、そもそも絶対的なものではなく、すべて相対的なものにすぎない。ひとと比べる必要がないのだ。。
印象に残ったこと

① 悩める人が陥りやすい「4つの心的傾向」

よく見られる心の傾向というのは次の 4つに分類することができます 。ちなみに 、これはうつ病の心理特性を表したものです 。 ❶自分は弱い =劣等意識 強い者が勝つ 、弱い者が負けるというのは思い込み❷自分は損をしている =被害者意識多くを望まなくていい ❸自分は完璧であるべきだが難しい =完璧主義 所詮 、価値は相対的なもの 。絶対的な価値基準など存在しない❹自分のペースにこだわる =執着主義自然のまま 、流れに任せて生きるのがいい

② 「パナソニックを一代で築き上げた松下幸之助さんの有名なエピソードに 、採用面接のとき 「これまでの人生 、あなたは幸運でしたか ?不幸でしたか ? 」と質問するというものがあります 。 「幸運だった 」と答えた人を採用し 、「不幸だ 」という人は不採用にしたという話です 。」

③ 「自分は何も残していない 」と嘆く必要はまったくない 。ほんとうに優れた生き方をしている人は 、自分の跡に 、何も残していかないものだ 。

④ 老子は 「水こそが最強である 」と説いています 。 「上善 」というのは 、一般的な 「善 」よりさらに上のもの 、老子の考える 、最高の生き方 。それほど 「水 」という存在を理想的だと話しているのです 。

⑤ 怒りをぶちまけても 、いいことなんて何もない 。相手のためじゃなく 、自分の平穏のために心を大きくする 。

⑥ 本当に優れた雄弁家は無駄なことを言わなかったり、深く考えてより的確な言葉をさがしたりするので、人から見れば口下手に映ってしまうものです

孔子の教え 、すなわち 『論語 』というのは 、社会の中で生きる術が書かれたもので、 礼儀を重んじ 、自らを厳しく戒めるような儒教の思想。一方 、老子はそんな社会の外側に立って 「まあまあ 、そのままでいいじゃないか 」という考え方なのです 。完璧な準備をしたってうまくいかないことはある。良かれと思ったことが裏目に出ることもある。いつも正しい因果関係があるわけではないのだ。
本当に大事なことは自然が教えてくれる。ひどい暴風雨も一年中吹いたりはしないし、どんな雨も降り続いたりしない。そして、直面している挫折が大きければ大きいほど、屈辱がつらければつらいほど、その人生の意味は深まっていくというものなのだ。

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