【読書ノート】『水曜日が消えた』
『水曜日が消えた』
本田壱成著
一つの身体に宿った“七人の僕”。曜日ごとに切り替わる人格のうち火曜日を担当するのが、「僕」だ。
ある朝目覚めると「僕」は、水曜日にいた。
以下の要点をまとめる。
ひとは、与えられている時間の中で自分のアイデンティティを認識する。火曜日の「僕」にとって、あくる日は、翌週の火曜日なのであって、「僕」にとって、他の曜日は、認識できない状態だった。
偶然にも水曜日を体験した火曜日の「僕」は、図書館に行って、図書館の職員の女性に恋する。水曜日という未来を切望して、水曜日を取り戻して行く。未来への意識や態度の変化によって、「僕」のアイデンティティが、影響を受けるということ。
ひとは自分が過去から現在、そして未来にわたって同じ人であることを認識できるということが、アイデンティティの基盤となるのだった。
物語の主題は何か?
ひとにはいろいろな側面があるということ。自分を受け入れることがアイデンティティの基盤になる。自分の弱点や過ちを受け入れ、自分を愛することで、アイデンティティは、強化される。すべての要素が、そのひとのアイデンティティを構成するということなのだと理解した。
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