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赤道直下のブルース  生きているということ

Noteで、自分の演奏を載せている人がいたので、勇気づけられ、過去の演奏をあげてみようと思った。

下手の横好きながらやらせてもらっていた過去のライブとかの動画は結構あるのだが、自分でやっているときは他人任せなので、動画はとりっぱなし、ファイルも無駄にメモリーを占めて塩漬けになっていたりする。知り合いがYouTubeにそのまま載せたのも、再生15回とかだったりする。悲しいな。

近年はシンガポールなので、土地柄、趣味の音楽ライフはなんだかんだ多国籍軍団になって楽しい。シンガポールは不思議な場所で、中華圏といえばそうだし、英語圏ともいえなくないし、人口が5百万人くらいいると、ライブハウスやら楽器屋やら、音楽ライフのインフラもそれなりにあるし、同好の士もそれなりにいる。ローカルもいるし、いろんな国のやつもいる。

僕はジャズを数人で細々とやっていたのだが、5年くらい前に、Sさんというベースの日本人知人がブルース・バンドをやるのでホーンが何人か必要ということでお声がかかり、光栄にもそれから何年か、総勢10数人、メンバーの国籍カウント数8こくらいの多国籍バンドにいれてもらって、数ヶ月に一度くらいのペースでライブをやっていた。

Herosというダウンタウンのライブハウスでは、最初の2度くらいはバンドメンバーはその晩飲み放題というのがギャラだったので、当然我々は朝までしこたま飲んだのだが、やはり店としてはそれでは割りに合わない(笑)と、飲み放題が12時までとなり、10時までとなり、それは無くなる。シンガポールは、酒税が高いので、店でも酒は高い。

これは、ちょうど5年前の10月のライブ。編集されていない画像、だだ撮りなので(編集しろよな)あれだが、あの晩の盛り上がりは伝わってくる映像。フロアは大盛りあがり。16分あたりから始まるアレサ・フランクリンの”Think"のコピーは、今聞いてもいい。シンガポール人のボーカルVがパワフルに歌い上げている。総勢11人バンドで舞台に収まらず、ホーンセクションは前のスペースに。ノリノリで踊る酔った観客がぶつかってくるのから楽器を守りながら吹いている。

明らかに、今、こういうライブをやって、観客に1人でも感染者がいたらあっという間に全員が感染だろう。管楽器なんて、飛沫を拡散して音をだすようなもんだし、サックスもトランペットもトロンボーンも先端に音を広げる形になっているし。

シンガポールでは当然ながら春先からライブハウスは閉鎖。ここ数週間、新たな感染がほぼゼロの日が続く中で近々予定の緩和のPhase IIIでもライブとかは再開の予定なし。将来的に、入場前に検査してOKなら入れるという形で再開できないか模索しているようだが。

人はなぜ集って、音楽を聴いて盛り上がって、踊ったりするのか?なぜ、めんどうなリハを積み重ねてライブ演奏をやったりするのか?

答えは簡単で、「楽しいから」。働いたりの日々の営みは当然生きていくのに必要だが、楽しいことをして、生きていることを謳歌するというのも生きている目的の大事なひとつだ思う。

あの狭い場所に、芋を洗うように客がはいって、大音響のなかで踊ったり叫んだり笑ったり。えらく楽しんでいる。それを見ると、こういうライブハウスも、エッセンシャルではない娯楽だと今般の感染禍で廃れてさせてはいけない、人類にとって生きているために必要なもんだとつくづく思う。はやくやっかいな感染が、サーズみたいに消えてなくなってくれないか。

(タイトル画像は、H.Suzuki氏デザインのライブポスターから)

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