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何をやっても無駄、、、学習性無力感②

前回、学習性無力感のメカニズムについて書きました(前回記事はこちら)。今回は、学習性無力感に陥った時の対処方法について書こうと思います。

学習性無力感は、問題解決への失敗を繰り返した結果、何をやっても無駄だと学習した状態です。この状態を変える場合、「自分で状況を変えられる」と再学習するのが有効です。「何をやっても無駄」を上書きするということですね。そうすると、無力感から抜け出せることがわかっています。

環境調整が優先される場合も

では、どうやったら「自分で状況を変えられる」感覚が得られるか?について書く前に、1つ大事なポイントがあります。
実は、学習性無力感に陥っている背景には、ハラスメント、DV、虐待、いじめ、などの被害にあわれている方が多くいらっしゃいます。そういう方は、まず、置かれた環境を変える方が先決です。自分の受け取り方や行動を変えることも有効ですが、そのような環境下では難しいです。何より心理的な被害を受け続けることにもなりますので、優先順位としては環境調整が先です。現在そういった環境におられる方は、まず環境に働きかける方法を探ってみてください。

I canがポイント

コップに水が半分入っている時に、「半分しかない」と思うのか、「半分もある」と思うのかで受ける印象は全く異なります。「何をやっても無駄」というのも、私たちがどう受け取るかによって変わる可能性があります。
例えば、仕事に関して「何をやってもダメ」「全然能力がない」「失敗ばかりしている」と言う方も、本当に100%の確率で失敗しているわけではありません。うまくできている部分もあるものです。つまり、できている部分に注目せず、できていない部分にばかり注目している可能性があるのです。その構えがあると、周囲から見てうまくやれている場合でさえ、学習性無力感に陥ってしまいます。自分はこれができる、I can〜という感覚は、無力感とは逆であり、回復の糸口になります。

他者との比較よりも個人内の比較

こう書くと、「いやいや。それはできている所はあるけれど、周囲に比べたら全然できていない」「求められる基準には達していない」といった反論を持たれるかもしれません。もちろん他者と比較したり、周囲が求めるレベルを基準にすると、できていない部分はあるでしょう。けれど、学習性無力感から脱するという点では、他者との比較は一旦置いておく方が良いです。それよりも、以前の自分と比較してみるとどうでしょう。「以前に比べたら、ここはできるようになっている」という点はありませんか?この感覚が、無力感から脱するのに大切なのです。

数値化するのも有効

「そうはいっても、できているところなんて見当たらない」という方もいるかもしれません。そんな場合、自分の状態を数値化してみる方法もあります。10点満点で数値化すると「10点には達していない。けれど、以前5点だったのが、今は7点になっている」となるかもしれません。「その差は、何ができるようになったのか?」を想像してみてください。できるようになった部分がはっきりしてくる場合があります。

このように受け取り方を変えることで、学習性無力感から脱する方法があります。うまくいかない状況が続き、すっかり意欲を無くしていたら、まずはできている所に注目してみてはいかがでしょうか。

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