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【課題解決・問題解決】04 日本型・PMO支援サービスからの脱却のすすめ


はじめに

アールツリー・イノベーション 辻隆盛です。PMO支援サービスを提供するビジネスコンサルタントの皆様へのメッセージを記します。PMOとは、Project Management Officeの略称です。

私は、1990年代中期に外資系コンサルティングファームが提供するPMO支援サービスをはじめて学びました。先進的な欧米企業がグローバルに展開する拠点を対象にして業務を変革するべく、新たな課題解決アプローチ、方法論・技法を適用するプロジェクトでした。BPR構想策定においてプロジェクト プランニングを実施したチームが、お客様の投資意思決定後にプロジェクト推進の支援、新たな方法論・技法に関する研修プログラムなどを提供するプロフェッショナルサービスであったことを覚えています。

この記事では、私がお客様へビジネス構想策定においてプロジェクト プランニングを支援させていただいた経験およびビジネスコンサルタントの皆様へ課題解決 研修プログラムを提供させていただいている経験の中で感じてきました日本型・PMO支援サービスについて記します。


企業がPMO支援サービスの提供を必要とするとき

企業がコンサルティング会社によるPMO支援サービスの提供を必要とするときは、以下のとおりです。

 新たな課題解決アプローチ、方法論・技法を適用するとき。
 課題解決において複数の経営資源を変革するとき。
 課題解決において複数の組織・拠点を対象にするとき。
 課題解決において複数のコンサルティング会社、SI会社、ITベンダー会社が参画するとき。


PMO支援サービス提供に必要とするスキル

PMO支援サービスは、品質の高いプロジェクト プランニングのもとで価値を創出することができます。品質の低いプロジェクト プランニングのもとでは、PMO支援サービスは機能しません。

PMO支援サービスを提供するビジネスコンサルタントは、プロジェクトマネジメント知識体系を理解し、経営資源を変革するための課題解決アプローチ、方法論・技法を習得した上で、課題解決プロジェクトをプランニングし、課題解決プロジェクトを推進する経験を重ねる必要があります。


日本でPMO支援サービスを提供するコンサルティング会社の分類

日本でPMO支援サービスを提供するコンサルティング会社を、「課題解決プロジェクトをプランニングすることができる能力」の観点で2つに分類します。

コンサルティング会社 【分類1】

 新たな課題解決アプローチおよび方法論・技法の開発に投資をしている。
 コンサルタントへ課題解決アプローチ、方法論・技法を習得する機会を提供している。
 お客様へ課題解決プロジェクト プランニングの支援を提供することができる。
 お客様へ方法論・技法に関する研修プログラムを提供することができる。

コンサルティング会社 【分類2】

 新たな課題解決アプローチおよび技法の開発に投資をしていない。
 コンサルタントへ課題解決アプローチ、方法論・技法を習得する機会を提供していない。
 お客様へ課題解決プロジェクト プランニングの支援を提供することができない。


課題解決プロジェクトを推進する日本企業の分類

日本企業を、「課題解決プロジェクトを推進することができる能力」の観点で2つに分類します。

日本企業 【分類1】

 組織内に課題解決アプローチに関するノウハウを蓄積している。 
 組織内に課題解決プロジェクトをプランニングすることができるリーダーが存在する。
 課題解決プロジェクトを主体的に推進することができる。

日本企業 【分類2】

 組織内に課題解決アプローチに関するノウハウを蓄積していない。
 組織内に課題解決プロジェクトをプランニングすることができるリーダーが存在しない。
 課題解決プロジェクトを主体的に推進することができない。


日本において二局化しているPMO支援サービス

少数派ドメイン: 日本企業 【分類1】 x コンサルティング会社 【分類1】

このドメインに所属する日本企業は、自らで課題解決プロジェクトをプランニングする際に、新たな課題解決アプローチ、方法論・技法の適用が必要になるとき、または課題解決に必要とする専門スキルを組織内に保有していないときに、コンサルティング会社の支援を受けます。

一方、このドメインに所属するコンサルティング会社は、PMO支援サービス提供に際して課題解決プロジェクトをプランニングすること、さらには推進することを支援できるプロジェクトリーダー人財およびエキスパート人財をアサインメントします。さらに必要に応じて、お客様へ方法論・技法に関する研修プログラムを提供します。

多数派ドメイン: 日本企業 【分類2】 x コンサルティング会社 【分類2】

このドメインに所属する日本企業は、課題解決プロジェクトをプランニングすることができず、混沌とした状況の中でプロジェクトを立ち上げてしまいます。

一方、このドメインに所属するコンサルティング会社は、PMO支援サービスと称して混沌とした状況の中に、経験の浅いコンサルタント人財を投入します。アサインメントされたコンサルタントは、プロジェクト プランニングが曖昧であり混沌とした状況に対応しなければなりません。私はこのような安直なサービスを「日本型・PMO支援サービス」と呼んでいます。


日本型・PMO支援サービスからの脱却のすすめ

私の記憶では、2000年代中期以降に日本で活動するコンサルティング会社が、経験の浅いコンサルタントの稼働率を上げるために、PMO支援サービスと称してコンサルタントをお客様先へ常駐させるサービスの提供を始めたことが「日本型・PMO支援サービス」のはじまりです。

当時、大手日本企業は、人員削減、人財不足の状況の中で課題解決プロジェクトを立ち上げなければならず、不足する人員をコンサルティング会社のコンサルタントで補充する方法を拡げました。

一方、日本で活動するコンサルティング会社は、2000年以降に発生したコンサルティング業界再編の中で、3つを必要としない(課題解決プロジェクト プランニングを必要としない、お客様への提案活動を必要としない、コンサルタント人財の育成を必要としない)、安直なサービスとして「日本型・PMO支援サービス」提供を拡げました。

そしてリーマンショック発生後には、さらに「日本型・PMO支援サービス」提供を拡げました。約20年以上続いている「日本型・PMO支援サービス」による弊害が顕在化しています。

課題解決におけるプロジェクト プランニングの品質が低く、投資意思決定後に迷走するプロジェクトが増えている印象があります。また、「日本型・PMO支援サービス」を提供するコンサルティング会社に所属しているコンサルタントは、課題解決アプローチ、方法論・技法を習得する機会もなく、スキルおよび経験が著しく低下している印象があります。

日本企業の課題解決プロジェクトの難度が高まる中で、本来のPMO支援サービスを提供することは容易ではありません。本来のPMO支援サービスは、課題解決アプローチ、方法論・技法を習得し、プロジェクト プランニングおよびプロジェクト推進の経験豊富なプロジェクトリーダー人財およびエキスパート人財が担当するサービスであり、「日本型・PMO支援サービス」とは全く異なります。

「日本型・PMO支援サービス」において迷走する課題解決プロジェクトに関わり、経験を積んでしまうと、課題解決アプローチ、方法論・技法を習得することはできず、属人的な仕事の仕方だけを身につけることになります。

ビジネスコンサルタントとしてプロジェクトリーダー人財およびエキスパート人財を目指すのであれば、課題解決アプローチ、方法論・技法を習得する機会がある環境で、さらには品質の高いプロジェクト プランニングのもとで、課題解決プロジェクトを推進する経験を重ねることをおすすめします。


【次に参考にしていただきたい記事】

以下のマガジンでは、プロジェクト プランニングについて解説しています。ご参考になさってください。

r.tree ビジネスデザインのすすめ プロジェクト プランニング
https://note.com/rtree_b_design/m/m0d69dbdc0a64



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