アカデミスト分散型研究所構想 ver.0 - 新時代の研究スタイルを探究する
先日、academist Prize 第3期の採択者発表会を実施しました。2023年9月から1年間、選ばれた若手研究者たちとともに第3期のテーマである「AI×◯◯学」の未来について考えていく予定です。採択者の専門分野も心理学、認知科学、ダイバーシティ、イノベーション、ロボット、社会学、材料科学、歴史学と多様でとても楽しみです。
学術系クラウドファンディングの本質とは
私たちはこれまで、研究資金源の多様化を実現するために、学術系クラウドファンディングサイト「academist」を運営してきました。サービスを運営するなかで、学術系クラウドファンディングの本質は資金集めではなく、仲間集めであることがわかってきました。そこで現在は、1〜2ヶ月間で目標金額の達成を目指す「スポット支援型」と、毎月定額の支援を募る「月額支援型」の仕組みを運営し、研究者とサポーターとの信頼関係づくりをサポートしています。
academist Prize の挑戦
2021年には月額支援型の仕組みを利用した「academist Prize」というプログラムを立ち上げました。このプログラムでは、私たちが若手研究者たちのサポーター企業を募り、選ばれた月額支援型チャレンジャーに対して賞金総額100万円を配分しています。
第1期(2021年9月〜2022年8月):Quadratic Voting の導入
第1期では、研究テーマではなく研究者を応援する仕組みを確立するために、賞金総額100万円を一般投票で配分する仕組みを導入しました(詳細は下記記事もご覧ください!)。また、第1期の最後にチャレンジャーをはじめとした若手研究者対象のハイブリッドイベントを開催したところ、コロナ禍明けということもあり、大変盛り上がりました。
第2期(2022年11月〜2023年8月):若手研究者コミュニティの形成
そこで第2期では、チャレンジャーである若手研究者たちの横のつながりを強固にするために、年4回のハイブリッドイベントを開催しました。若手研究者たちの研究Visionを起点に、研究者や研究支援者、博士起業家、事業会社の方など、多様なステークホルダーとのつながりも生まれました。第2期を通じて、新しい知をコミュニティで創造する可能性を感じました。
第3期(2023年9月〜2024年8月):「AI×◯◯学」研究コミュニティの形成
そして第3期では、テーマを「AI×◯◯学」に設定しました。AIとの協働によって、各研究領域はどのように進化するのか。また、どのような新しい研究領域が生まれるのか。そして研究者(人類)が生み出す本質的な価値は一体何になるのか……。私たちはこれらの問いを大学や専門分野、世代はもちろん業種を超えて考える場に価値があると考えており、academiest Prize 第3期を通じて実装していく予定です。
第3期でなにをやるのか
具体的には、academist Prize のマイルストーンイベント(年3回)と毎月のオンラインランチMTGを通じて、「AI×◯◯学」をキーワードとしたディスカッションを実施します。
各回のマイルストーンイベントの様子は academist Journal を通じて一般公開したうえで、特定のサポーターが参加できるオンラインサイエンスカフェにて共有いたします。一定金額以上のサポーターの方々には、ステークホルダーの参画するオンラインコミュニティで継続的に議論いただくことも可能です。
分散型研究所 ver.0
なぜこのような取り組みを進めるかと言うと、academist Prize 第3期の設計そのものが、私たちの掲げるVision「開かれた学術業界(Open academia)」のひとつの体現であるためです。
Open academia が実現された社会とは、研究者の研究Visionを起点に多様なバックグラウンドを持つ人たちが集い、コミュニティ全体で新しい価値を継続的に生み出している社会です。価値を創り続けるには、そこに資金が流れ続けなくてはなりません。そのためには、コミュニティの価値を言語化し、コミュニティ参加者がそこに価値を感じるシナリオを描き、仲間を増やしていくことが重要です。今回、私たちアカデミストのスタッフがコミュニティのオーガーナイザーとなり、仲間を広げる役割を担いたいと考え、クラウドファンディング形式でコミュニティ参画メンバーを募集することに決めました。(すでに研究者や研究支援者、博士起業家、VC、弁護士など、多様な方々にご参画いただいています!)
今回のプロジェクトの進めかたやノウハウは、分散型研究所のコンセプトに共感し、実際に行動する方々に公開し、「AI×◯◯学」以外のテーマでも活用できる仕組みをつくりたいと考えています。研究資金源が多様であること、そして横展開を前提とした設計であることが、私たちの考える分散型研究所の特徴であり、Open academia の体現であると考えています。
コミュニティメンバー募集🔥
まずは academist Prize 第3期の1年間(2023年9月〜2024年8月)で、分散型研究所 ver.0 をコミュニティ全体でバージョンアップさせていきたいと考えています。現在、私たちの目指すビジョンにご参画いただける方々を募集中です。ご関心のある方々は、こちらのプロジェクトページをご覧いただき、ぜひご参画をご検討いただけると幸いです。
何かご質問がございましたら、@RShibato までお気軽にDMください!