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『稲盛和夫一日一言』 9月11日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 9月11日(月)は、「損益計算書」です。

ポイント:毎日の経営数字に注意を払わずに事業を行うということは、どこに着陸するのかも分からずに、飛行機を操縦しているようなもの。損益計算書は、経営者の日々の行動を描き出した大切な指標。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、「日々採算をつくる」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 経営というものは、月末に出てくる採算表を見て行うものではありません。細かい数字の集積であり、毎日の売上や経費の積み上げで月次の採算表がつくられるのですから、日々採算をつくっているのだという意識を持って経営にあたらなければなりません。
 毎日の数字を見ないで経営を行うのは、計器を見ないで飛行機を操縦することと同じです。これでは飛行機はどこへ飛んでいき、どこに着陸するのか、分からなくなってしまいます。同様に日々の経営から目を離したら、目標には決して到達できません。
 採算表は、一人一人の毎日の生き様が累積した結果であることを忘れてはなりません。
(要約)

 このフィロソフィ項目には、「日々採算をつくる」というタイトルがついています。
 「採算をつくる」といっても、例えば粉飾決算のように、都合のいいように数字を操作して経営状態を良く見せようとする、といった意味ではなく、「採算は自分の意志でつくるもの」ということを表しています。

 本来、採算は、事業活動を一生懸命にやった結果、自ずと生まれてくるものです。それならなぜ敢えて「採算をつくる」という必要があるのか。
 事業では、毎日数字の動きを追っていかなければなりませんが、ただひたすら頑張ってその日一日を過ごせばいい、採算は毎日の成り行きで出てくるものであって、いつも気にする必要などない、と思っておられる人もいるかもしれません。

 しかし、採算が単なる成り行きの数字だとすると、そこからは経営者や事業を預かるリーダーの意志は伝わってきません。
 事業は、経営者、リーダーの意志でつくるものです。なぜなら、自分の意志で自分の行動を変えることによって、例えばその日の売上や経費といった数字を変えることができるからです。
 売上を増やすことも、経費を抑えることも、経営者、リーダーの意志で可能です。そこが非常に大事なポイントです。

 今日の一言のタイトルである「損益計算書」とは、ある一定期間にその企業がどれだけ損益を出したかを表した財務諸表のひとつで、収益・費用・利益の3つの要素から成り立っています。会社の経営戦略を立てる上で重要な指標となるものです。
 事業の損益は、単純に対象となる期間のすべての収入からすべての費用を差し引けば求められますが、損益計算書の特徴は、損益の計算を五段階に分けて階層別に表示し、その企業における経営課題がどこにあるのかが明らかになるようにしてあるという点にあります。

 「売上を最大にし、経費を最小にする」というのが経営の大原則であり要諦なのですが、株式会社で上場している企業には、損益計算書のような経営資料の開示が法律で義務付けられています。

 経営に言い訳は通りません。採算というのは、良くも悪くもすべて、経営者、リーダーの意志のあらわれですから、例えば、「先月は利益が出ませんでした」というような場合は、利益が出ないような経営を、経営者、リーダー自らが行ったということなのです。
 日々の行動を決めていくための重要な指標のひとつとして、損益計算書を活用されることも大事なことではないでしょうか。


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