『稲盛和夫一日一言』 9月26日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 9月26日(火)は、「ガラス張りの経営者」です。
ポイント:経営者は、お金を自由に使ったり、役得だからといい目をみてもいいではないかなどと考えたりせず、まずは後ろめたさのない、従業員をグイグイと引っ張っていくために必要な迫力、自信、勇気といったものを身につけるべきである。
2015年発刊の『「稲盛和夫の実学」を語る』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部・経理部編/非売品)の中で、「透明な経営を行う」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
私は創業以来、心をベースとした経営、つまり社員との信頼関係に基づいた経営を心がけてきました。中小企業であった京セラが厳しい競争に打ち勝っていくためには、経営者と従業員が固い絆で結ばれ、団結していることが不可欠だったからです。そのような信頼関係を構築するためには、会社の置かれている状況を包み隠さず従業員に伝える必要があります。
そう考えた私は、「ガラス張りの経営」を行い、全従業員から京セラの経営状況が分かるようにしてきました。また京セラが株式を上場してからは、一般投資家からの信頼を得ることが大切だと考え、ディスクロージャーを徹底してきました。
私は、企業経営は公明正大に行うことが最も重要であると考えていますが、それを保証するため、経営を衆人環視の下に置くことにしたのです。
中小企業の経営者の中には、社員に会社の現状をなるべく知らせないで、自分の指示に従わせようとする人がいます。それは、現状をありのままに知らせてしまうと、自分の失敗までもが明るみに出るリスクがあるからです。
しかし、会社の現状を包み隠さず従業員に知らせる「ガラス張りの経営」ができていなければ、経営者がいくら頑張っても、従業員は「自分たちが汗水たらして得た利益はどうなっているのだろうか」という疑念を抱くようになります。それでは、従業員の信頼を得ることはできません。
従業員との間に強固な信頼関係を築くためには、「ガラス張りの経営」をすることが前提となるのです。
会社は、決して経営者の私的な利益を追求する道具ではありません。会社の使命は、そこに働く全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献することにあります。
ですから、経営者は率先垂範して、この使命を達成していくために最大限の努力をしなければならないのです。(要約)
例えば、経営トップが会社のお金を少しでも私的なものに流用したり、接待だからといってゴルフや飲食などに多額のお金を使っていれば、やがてそれらは従業員の知るところとなり、従業員から信用されなくなるばかりでなく、かえって離反を生み出すことにつながりかねません。
ですから京セラでは、現在に至るまで、さまざまな形で従業員とのコミュニケーションを図り、経営関連情報の伝達が行われています。
ディスクロージャーには、「企業が投資家や取引先などに対し、経営内容に関する情報を公開すること」といった意味がありますが、簡単にいえば、「真実をありのままに伝える」という当たり前のことを当たり前のこととして徹底していきましょうということです。
たとえ「良くない事態」が起きたとしても、勇気を持ってただちに社外に対して情報を公開する。そうした姿勢を貫くことによって、会社に対する信頼は確実に高まっていきます。
自社のありのままの姿を包み隠さずオープンにするという企業姿勢を貫いていくためには、「利益よりも公正さを優先する」とする、経営者の確固たる経営哲学、勇気、迫力といったものが不可欠なのです。
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