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『稲盛和夫一日一言』 1月10日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1月10日(水)は、「強烈な願望を持つ」です。

ポイント:ひたむきに、強く一筋に思うことが、物事を成就させる原動力となる。

 今日の一言には、「願望を成就につなげるためには、並みに思ったのではダメだ。生半可なレベルではなく、強烈な願望として、寝ても覚めても四六時中そのことを思い続け、考え抜く。頭のてっぺんからつま先まで全身をその思いでいっぱいにして、切れば血の代わりに『思い』が流れる。それほどまでに、強く一筋に思うこと」とあります。

 そして同時に、強烈な願望が純粋であることも求められています。

 1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)「純粋な心からの情熱」の項で、強く純粋な願望を持つことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 強い思い、情熱は成功をもたらします。しかし、それが私利私欲から生じたものであれば、成功は長続きしないでしょう。人間にとって何が正しいかということに対して鈍感になり、自分だけがよければ良いという方向に突き進み始めるようになると、はじめは成功をもたらしてくれたその情熱が、やがては失敗の原因にもなるのです。

 理想としては、「私利私欲を捨て、世のため人のために」という形の、完全に利他的で純粋な願望を持つことが一番良いことです。しかし人間にとって、生きるための私利私欲は自己保存のために必要不可欠なものですから、それを完全に捨て去ることはまず不可能です。ですから、利己的な欲望の肥大化を抑制するために努力することが求められるわけです。

 せめて、働く目的を「自分のために」から、「集団のために」へと変えるべきです。利己から利他へと目的を移すことにより、願望の純粋さは増すでしょう。
 成功というものは、潜在意識に到達する願望の純粋さにかかっているのです。
(要約)

 さらに、2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、願望を達成するための方法論について、名誉会長は次のように説かれています。

 まずは、「私はどうしてもこういう人生を生きていきたい」「どうしてもこの仕事を成功させたい」といった強烈な願望を心に抱くことが大切です。
 そして願望を抱いたなら、次はその願望を達成するためにどうすればいいのか、ということを理知的に考えていかなければなりません。つまり、戦略・戦術を練らなければならないわけです。

 強く思えば思うほど、物事は実現し、成就するというのは真理ですが、同時に、それを成就させるためには、具体的な方法論がいるわけです。
 どうしても成就させたいという強い思いを持ちながら、方法論も同時に考えなければなりません。本当に成就させたければ、次から次へと湯水のごとく方法論が思い浮かんでくるはずです。つまり、強く思っている度合いに応じて、具体的な方法論も出てくるはずなのです。
(要約)

 私は、京セラ入社後すぐに研究所配属となり、新規セラミックス材料の研究開発を担当することになりました。窯業が専門ではなかったのですが、担当したテーマは待ったなしの状態で、せかされるように過去の研究成果や先行文献等の調査と並行しながら、計画を組んでは実験を繰り返す、という毎日をスタートさせました。

 得られた実験結果は、日報や週報、月報といった報告書にまとめて上司に提出するのですが、その際に投げかけられるのが「見えてきたか?」という言葉でした。

 それは、「(目標達成までの)見通しは立ったか」という単純な問いかけにも聞こえるのですが、本当のところは違います。
 「どうしても目標を達成したい」「研究テーマを完遂させたい」という強烈な願望を抱き、それを寝ても覚めても思い続け、あらゆることを想定しながら考え続けていると、それが日々の実験の組み方や出てきた結果の分析・解釈にも影響を与えてきます。ついにはまだ実験もしていないのに、良い結果が出るのがわかる、といった状況に至ります。それが「見えてくる」ということなのです。

 名誉会長は、そうした状況を「あまりにも必死に頑張っているので、それをみた神仏がかわいそうになって『ひらめき』を与えてくれるのだ」と話されています。私も何度かそうした「見える」状況を経験してきました。

 「強烈な願望を持つ」
 言葉にすればそういうことなのでしょうが、当人にとってはそんな生易しいものではありません。
 「七転八倒(しちてんばっとう)」という言葉がありますが、まさに「苦しくて転げまわる」ような状況になるまで思い、行動し続ける。そうした過程なしに物事は成就しないのではないかとさえ思っています。


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