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『稲盛和夫一日一言』 6/15(木)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 6/15(木)は、「哲学を求める」です。

ポイント:リーダーには人を正しい方向へと導く羅針盤となるものが必要であり、その指針となるのが理念や思想、哲学といった次元の高い考え方。

 2016年発刊の『稲盛和夫経営講演選集 第5巻 リーダーのあるべき姿』(稲盛和夫著 ダイヤモンド社)の中で、リーダーに求められる次元の高い考え方について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 人間はどんな考え方をしようと、その結果を自分自身で負う限り、それは自由です。しかし、企業経営者をはじめ、集団のリーダーはそうではありません。リーダーの考え方が及ぼす結果は、自分一人だけではなく、従業員にも、また社会にも累を及ぼすからです。

 ですから、集団を率いるリーダーは、どんな考え方をしても自由だ、ということは決してありえないのです。集団を幸せにし、また社会を豊かなものにするための考え方をもつことは、リーダーの義務でもあるはずです。

 そのことを、長たる人はもちろん、これからリーダーを目指す人たちは深く理解しておく必要があります。なぜなら、どんなに環境が変わろうとも、不動の人格を確立していなければ、真のリーダーにはなりえないからです。

そして、その考え方の大切さをよく理解し、一度学べば十分などと考えることなく、日々絶えざる反省を繰り返すことを通じて、自分のものとしていかなければならないと強く思っています。

 そうすれば、われわれの人生や仕事は、今まで以上に豊かで実り多いものになると、私は確信しています。(要約)

 今日の一言には、「理念や思想、哲学といった次元の高い考え方が不足し、人格が未熟であれば、いくら才覚に恵まれていても、せっかくの高い能力を正しい方向に活かしていくことができず、道を誤ってしまうことになる」とあります。

 京セラでは、京セラフィロソフィについての社内研修が継続的に行われています。会社のフィロソフィ、つまり理念や考え方を共有しましょう、というと、「どんな考え方をしようが、それは個人の自由ではないか。なぜ京セラに入社したら、考え方を教えられなければならないのか。これは思想統制ではないか。私たちは自由な社会に生きているのだから、各自が自由に考えていいはずなのに、考え方が強制されるのはおかしい」と反発する人がかならず出てきます。

 名誉会長は、「確かに、どんな考え方をもつのも自由だが、かといって勝手気ままな考え方をしたのでは、仕事は決してうまくいかない」という自らの確信を基に、あえて会社の考え方である「京セラフィロソフィ」を社員に説き続けるということをされてきました。

 「考え方」は、「何を目指すか」ということによってまったく変わってきます。つまり、「どういう考え方をもつべきか」ということは、「どんな山に登りたいのか」と言い換えることもできるのではないでしょうか。

 おもしろおかしく経営をしたいという人が目指している会社と、京セラが目指している会社とはまったく異なっています。ですから、いまだに京セラの経営はストイックで厳しすぎる、といった批判が出るのかもしれません。

 京セラの経営理念は、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」です。

 今後とも、全従業員の物心両面の幸福を実現していくためにも、そして京セラが素晴らしい企業として発展し続けるためにも、社員全員が京セラフィロソフィを正しく理解し、その実践に努めていく。京セラに40年間在籍してみて、そのことが、京セラが目指すべき高い山に登るための強力なパワーになっているのは間違いない事実だと感じています。


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