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『稲盛和夫一日一言』 7/3(月)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7/3(月)は、「人間としての生き方」です。

ポイント:一生懸命働くこと、感謝の心を忘れないこと、善き思い、正しい行いに努めること、素直な反省心でいつも自分を律すること、日々の暮らしの中で心を磨き、人格を高め続けること。そのような当たり前のことを一生懸命行っていくことに、まさに生きる意義がある。

 2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)のプロローグにおいて、人間としての「生き方」について、稲盛名誉会長は次のように問題提起されています。

 私たちはいま、混迷を極め、先行きの見えない「不安の時代」を生きています。衣食は足りているはずなのに礼節に乏しく、自由なはずなのにどこか閉塞感がある。やる気さえあれば、どんなものでも手に入り何でもできるはずなのに、無気力で悲観的になり、なかには犯罪や不祥事に手を染めてしまう人もいます。

 そのような閉塞的な状況が社会を覆い尽くしているのは、いったいなぜなのでしょうか。それは、多くの人が生きる意味や価値を見い出せずに、人生の指針を見失ってしまっているからではないでしょうか。今日の社会の混乱が、そうした人生観の欠如に起因するように思えるのは、私だけではないと思います。

 そういう時代に最も必要なのは、「人間は何のために生きるのか」という根本的な問いではないかと思います。それには、まずそのことに真正面から向かい合い、生きる指針としての「哲学」を確立することが必要なのではないでしょうか。ここでいう哲学は、理念あるいは思想などと言い換えてもよいかと思います。

 それは、砂漠に水を撒くようなむなしい行為であり、また早瀬に杭を打ち込むのにも似た難しい行為なのかもしれません。しかし、懸命に汗をかくことを、どこかさげすむような風潮のある時代だからこそ、単純で真っすぐなそうした問いかけが重い意味を持つのだと、私は信じています。

 私は本書の中で、生きる意味と人生のあり方を根本から問い直してみたい、そうしてそれを時代の急流に打ち込む、ささやかな一本の杭としたいと考えています。(要約)

 『生き方』は、約20年前の上梓以降、国内外で500万部以上の発行部数となっているロングセラーです。

 1981年、京セラに定期入社して社会人一年生となった私には、生きていく意味だとか、何のために働くのかといった人間としての根幹的な部分について思考を巡らすほどの心の余裕も時間も全くありませんでした。

 ただひたすら、日々目の前の課題に取り組む。そうした日々の中においても、京セラフィロソフィを通して人間としてのあり方をわずかでも血肉化できていたのではと感じることができたのは、2006年、京セラフィロソフィの継承啓蒙を目的とした経営研究部という部署に異動となってからでした。

 それから60歳定年で京都本社を離れるまでの10年間、フィロソフィという言葉を口にしない日はないという毎日を過ごす中で、人間として正しい生き方を志し、それをひたすら貫くことの大切さについて学び続けるという得難い機会をいただけたと感謝しています。

 聖人君子には程遠い存在ではあっても、「人間として間違ったことをしていないか」「根本的な倫理や道徳に反した言動をしていないか」といったことを、生きていく上で最も大切なことだと肝に銘じ、残りの人生を愚直に誠実に生きていこうと努める毎日でありたいと願っています。


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